もしかして私ってヒロイン?ざまぁなんてごめんです

もきち

文字の大きさ
76 / 139

第49話

しおりを挟む
 その日お店が終わり、夕食をヨモと一緒にした。シシリーの兵士の話、アンバーでタルと遭遇した事やユグンでの事、時系列がぐちゃぐちゃにはなりそうだったが、そこは曖昧に話をした。ヨモは楽しそうに聞いてくれ、またリアの迂闊さに呆れられた。
 ヨモはお店の2階に住んでいる訳ではなかった。2階はオーナーが住んでおり今はカフェ部分だけ貸して貰っているだけだ。
 ヨモは毎日1時間歩いて店まで通っているようだった。
「1時間も歩いているの?」
「そうなの、ごめんね。先に言っておけばよかったね。店の周りの家は家賃が高いの。だから払える家賃の所を探していたら街から外れた所になっちゃって、あはは」
「私はいいけど、毎日じゃ大変ね」
「ちょっと足がいたいけど、余裕が出てきたら引っ越すわ」
 リアはその日はヨモの家に泊まらせて貰った。まだ荷物などはあまりなくベッドとテーブルがあるだけだった。二人は同じベッドに仲良く眠った。
 ヨモが寝息を立て始めた頃、リアはシンの事を思い出していた。

 まさか出会うなんて。しかも私の友達と友達になっている。でも私を介して友達になった訳ではない。ヨモは言わば陽キャだ。誰とでも仲良くなれるのだろう。たとえ私がシンに対して過去の事を言ったとしてもシンとの付き合いをやめる事はしないだろう。私もそんなヨモは見たくない。
 リアは複雑な心境だった。

 翌日の朝、まだ道が分からないのでヨモと一緒に街に戻って来た。今日は早めに宿を探すべきだろう。ヨモと別れて宿に向かって予約をした。
 少し大通りを外れた場所に目的の宿があった。商人ギルドもヨモのお店からも近い。比較的キレイでお手頃な所を昨日は狙っていたが満室だったのだ。
「3泊お願いできますか?」
「ああ、大丈夫だよ。昨日は済まなかったね。他の所も満室だったてねぇ。いつもはあんなに満室とかないんだよぉ。たまたま人の出入りが重なっちゃったんだね」
「そうなんですか。昨日は友人の所に泊まらせて貰いました」
 世間話をしながら支払いを終えると、声を掛けられた。

「ピンクちゃん!」
 振り向くと、昨日シンと一緒に帰って行ったオレンジ頭のマオがいた。
「おはよう、ピンクちゃん」
 マオの後からも2階からドカドカ数人の輩どもが降りて来た。
「なんだい、いきなり。お客さんがびっくりしているじゃないか!」
「おかみ、ごめん。お客さんか。じゃあ宿が同じな訳だ」
 なんかいやだ。

「おい、マオ。ピンクちゃんってなんだよ。どこがピンクちゃんなんだ?水色ちゃんとかエンジちゃんだろ?」
 マオのすぐ後ろから降りて来た紺色の髪と、銀色の瞳の男が話しかける。リアの臙脂のローブを見て言っているようだ。そしてこれまた美形である。
 こやつも貴族かな。
「シンの友達だよな?」
 オレンジ頭が言う。
「…」
「シンの?」
 紺の男がなぜかリアをジロリと睨む。
「紅茶ショップをやっている友達のリアです。シンとは昨日初めてお会いしました」
「ああ、ヨモね」
 紺の男はなぜか安堵した。

 男は全部で5人いた。マオたちのパーティーメンバーのようだ。みんなガタイのいいイケメンぞろいの集団だ。
「俺のパーティーメンバーだよ。この宿の最上階を俺のパーティーで貸し切ってるんだ。パーティー名は「オレンジサンダー」って言うんだ。何か依頼がある時は指名してくれたらサービスするぜ」
 バチンとウインクを貰った。
「そ、その時はよろしくお願いします」
「黒がドクで、水色がキト、金髪がベアで、俺がガロだ」
 ガロが他の3人の紹介を髪色でしてくれた。よろしく、ども、ああ、とそれぞれ生返事をくれた。興味がないのだろう。やたらとリアに興味を示しているのはマオだけだ。
「ピンクちゃんはこれからどうするの?」
「商人ギルドに…ピンクちゃんって何ですか?」
「え?言ってもいいの?」
 リアに顔を近づけチカチカと目で煽って来る。もうこいつには黒のショールの効き目がないのだろうと思った。
「マオ、やめろ。何をそんなに気にしてるんだ」
「いや…」
 リアを見てニヤリとしている。元貴族なのか現貴族なのかは知らないがヤな奴に目を付けられてしまった。
 王都に3日ほど探索して、叔父さんの所に行こうかと思っていたが宿に籠っていた方がいいかもれない。



---------------------------------
次回から21時の投稿にさせてください^^;
16時に読んでいてくれている方はすいません( ;∀;)
しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

【完結】遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!

天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。  魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。  でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。  一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。  トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。  互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。 。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.  他サイトにも連載中 2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。  よろしくお願いいたします。m(_ _)m

水精姫の選択

六道イオリ/剣崎月
ファンタジー
見た目が美しくも奇異な小国の王女パルヴィは、財政難から大国に身売りすることになったのだが、道中で買うと言った王が死亡したと聞かされる。 買われ故国を救いたいと願う王女は引き返さずに大国へと赴き 

平民に転落した元令嬢、拾ってくれた騎士がまさかの王族でした

タマ マコト
ファンタジー
没落した公爵令嬢アメリアは、婚約者の裏切りによって家も名も失い、雨の夜に倒れたところを一人の騎士カイルに救われる。 身分を隠し「ミリア」と名乗る彼女は、静かな村で小さな幸せを見つけ、少しずつ心を取り戻していく。 だが、優しくも謎めいたカイルには、王族にしか持ちえない気品と秘密があり―― それが、二人の運命を大きく動かす始まりとなるのであった。

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

【完結】令嬢は売られ、捨てられ、治療師として頑張ります。

まるねこ
ファンタジー
魔法が使えなかったせいで落ちこぼれ街道を突っ走り、伯爵家から売られたソフィ。 泣きっ面に蜂とはこの事、売られた先で魔物と出くわし、置いて逃げられる。 それでも挫けず平民として仕事を頑張るわ! 【手直しての再掲載です】 いつも通り、ふんわり設定です。 いつも悩んでおりますが、カテ変更しました。ファンタジーカップには参加しておりません。のんびりです。(*´꒳`*) Copyright©︎2022-まるねこ

【完】瓶底メガネの聖女様

らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。 傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。 実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。 そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。

キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる

藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。 将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。 入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。 セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。 家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。 得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。

モブで可哀相? いえ、幸せです!

みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。 “あんたはモブで可哀相”。 お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?

処理中です...