もしかして私ってヒロイン?ざまぁなんてごめんです

もきち

文字の大きさ
77 / 139

こぼれ話

しおりを挟む
 リアは冬の間に黒のショールがどんな構造をしているのか調べていた。魔力を通せば魔法陣が浮かび上がるのだ。しかしアルディが作った魔法陣が再現できるとかの代物ではなく、一目見た所でその呪文の内容すら分からないものだった。そこでリアはひとつずつ呪文を書き出したしのだ。それは骨が折れる作業だった。
 大きくひとつは存在が薄くなる呪文、これが基本だった。そして顔が地味に見えるという呪文、髪色と瞳の色が変わる呪文、そして寒さや暑さが防げる呪文、特定の人物しか扱えない呪文、それらはすべて古代文字の呪文だった。リアに分かるはずがない。アルディの本棚に古代文字の辞書らしき物を必死に調べ上げここまでたどり着いたのだ。

 頭に巻いていたので暑さ寒さは防げていないようだった。これは首に巻くものとして作られたようだ。首に巻くとまだ真冬の時期だったのだが首の周りから仄かに温かくなった。そして鏡を見たら髪と瞳がブラウンになっていた。頭に巻いていた時は鏡には変わらぬリアの姿しか映らなかった。呪文と呪文の間にある記号があるのだが、リアにはまだ分からない細かい呪文があるのだろう。
 首に巻いてさえいればカツラも要らなかったしヨモに見つかる事もなかった。瞳の色が灰色に見える人とブラウンに見える人の違いは解明出来なかった。変な付け方をしていたから誤作動を起こしたのだろうと考えた。

 ちなみに名前を理解しないとその黒のショールを身に着けている人は相手から認識されないようだ。なので自分で紹介したりヨモが紹介したりすると相手がリアの顔を認識するらしい。店の店員などの他人はリアが話しかける事で人として認識するらしい。リアの瞳の色を聞かれた店員はその時に初めてリアの顔を認識したのだろう。
 古代文字ではその呪文は特定出来なかった。アルディは魔法陣になにか特殊な仕掛けをしたようだ。アルディがどこかに隠したメモをいつか発見出来ればどんな作りになっているか分かるだろう。ちなみにリアは自力で解明などしない。





 朝、宿でリアと別れたイケメンパーティーことオレンジサンダーのメンバーは依頼達成するのため森の奥深くに来ていた。魔の森と違って狂暴な魔獣がいないとはいえ、それなりの魔獣はいる。本日は値が高く付き春先によく出没するというレインボーボアを仕留めに来ていた。レインボーボアはBクラス以上でないと依頼が出来ない。
 
 ボアの肉は安値であり住民達の生活基盤になっている。そして皮はカバンや靴に、角は熱さましの薬として住民達の大切な素材である。しかしレインボーボアになるとその皮はレインボーに変化するという貴重な素材になるのだ。貴族の女の小さなカバンや靴などはレインボーボアの皮から出来ている。そのため高値になるのだ。


「魔の森まで行くか?知っているか?春先に魔の森の丘にキングダムウルフが出たらしいぞ」
 オレンジ色の髪のマオを先頭に森を歩いている。
「今は発情期で動いているらしいな。しかしあんなの相手に出来るわけないだろう」
 いつも冷静なガロは暴走しないようにマオを見張っている。
「キングダムウルフの目を自分のヴァナに取り込めば一国の主になる事が出来るらしいじゃないか」
「真意は如何いかにってね」
 水色の髪のキトがマオの言葉を請け負う。
「そんな事で国盗りが出来れば苦労はないだろうな」
 冷酷なガロが夢のない事を言う。
「しかし由来からその名が付いたのだろう?」
「おとぎ話だな」
「魔の森の王って事じゃないの?」
 キトが言う。
「まずシルバーウルフを倒せよ。冬に合同でやっとローウルフを3体やっただけだろう」
 順位的にはキングダムウルフ>シルバーウルフ>ローウルフなのだ。黒髪のドクが冷静に3人を現実に戻す。
「シルバーウルフは厄介なんだよな。一匹オオカミだけど氷魔法がっパねぇ」
 キトが藪を突きながら言う。
「冬はローウルフの毛皮が結構出回ってたらしいな。どこのパーティーが討伐したか分からないんだろう?」
「秋ぐらいじゃなかったか?シシリーから市場に出ていたらしい」
「どこの誰だよ」

「それよりさっきの女は何が見えてたんだ?ピンクピンクって」
 ガロは朝の出来事を思い出して話をマオにした。
「あっそうそう、あんな地味っ子なんかどうして気にするんだ。シンの方がそそるだろう」
「やっぱり、見えるのは俺だけか。あの地味子は色々となにかとすげぇよ。友達になりたい」
「はあ?友達?」「じゃあシンは愛人?」「友達と愛人?」「…」
 メンバーはマオの言葉に納得行かない。ひとり金髪のベアだけは当たりを見渡し仕事をしていた。
「マオ、何度も言うがシンはやめとけ」
 ガロが言う。
「分かっているよ。シンは気になるだけだ」
「シンは気にして、リアは友達?」「まだ秘密か?」「…」
「その内分かるよ。ガロ、おまえも分からないのか?」
「分からん」
「やっぱ、すげーな」
「「「「???」」」」「…」
しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

モブで可哀相? いえ、幸せです!

みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。 “あんたはモブで可哀相”。 お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?

【完結】遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!

天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。  魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。  でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。  一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。  トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。  互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。 。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.  他サイトにも連載中 2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。  よろしくお願いいたします。m(_ _)m

【完結】回復魔法だけでも幸せになれますか?

笹乃笹世
恋愛
 おケツに強い衝撃を受けて蘇った前世の記憶。  日本人だったことを思い出したワタクシは、侯爵令嬢のイルメラ・ベラルディと申します。 一応、侯爵令嬢ではあるのですが……婚約破棄され、傷物腫れ物の扱いで、静養という名目で田舎へとドナドナされて来た、ギリギリかろうじての侯爵家のご令嬢でございます……  しかし、そこで出会ったイケメン領主、エドアルド様に「例え力が弱くても構わない! 月50G支払おう!!」とまで言われたので、たった一つ使える回復魔法で、エドアルド様の疲労や騎士様方の怪我ーーそして頭皮も守ってみせましょう!  頑張りますのでお給金、よろしくお願いいたします!! ーーこれは、回復魔法しか使えない地味顔根暗の傷物侯爵令嬢がささやかな幸せを掴むまでのお話である。

平民に転落した元令嬢、拾ってくれた騎士がまさかの王族でした

タマ マコト
ファンタジー
没落した公爵令嬢アメリアは、婚約者の裏切りによって家も名も失い、雨の夜に倒れたところを一人の騎士カイルに救われる。 身分を隠し「ミリア」と名乗る彼女は、静かな村で小さな幸せを見つけ、少しずつ心を取り戻していく。 だが、優しくも謎めいたカイルには、王族にしか持ちえない気品と秘密があり―― それが、二人の運命を大きく動かす始まりとなるのであった。

騎士団の繕い係

あかね
ファンタジー
クレアは城のお針子だ。そこそこ腕はあると自負しているが、ある日やらかしてしまった。その結果の罰則として針子部屋を出て色々なところの繕い物をすることになった。あちこちをめぐって最終的に行きついたのは騎士団。花形を譲って久しいが消えることもないもの。クレアはそこで繕い物をしている人に出会うのだが。

【完結】虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!

アノマロカリス
恋愛
テルナール子爵令嬢のレオナリアは、幼少の頃から両親に嫌われて自室で過ごしていた。 逆に妹のルーナリアはベタベタと甘やかされて育っていて、我儘に育っていた。 レオナリアは両親には嫌われていたが、曽祖母には好かれていた。 曽祖母からの貰い物を大事にしていたが、妹が欲しいとせがんで来られて拒否すると両親に告げ口をして大事な物をほとんど奪われていた。 レオナリアの事を不憫に思っていた曽祖母は、レオナリアに代々伝わる秘術を伝授した。 その中の秘術の1つの薬学の技術を開花させて、薬品精製で名を知られるまでになり、王室の第三王子との婚約にまでこぎつける事ができた。 それを妬んだルーナリアは捏造計画を企てて、レオナリアを陥れた。 そしてルーナリアは第三王子までもレオナリアから奪い取り、両親からは家を追い出される事になった。 だけど、レオナリアが祖母から与えられた秘術の薬学は数ある中のほんの1つに過ぎなかった。 レオナリアは追い出されてから店を構えて生計を立てて大成功を治める事になるのだけど? さて、どんなざまぁになるのでしょうか? 今回のHOTランキングは最高3位でした。 応援、有り難うございます。

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

【完結】令嬢は売られ、捨てられ、治療師として頑張ります。

まるねこ
ファンタジー
魔法が使えなかったせいで落ちこぼれ街道を突っ走り、伯爵家から売られたソフィ。 泣きっ面に蜂とはこの事、売られた先で魔物と出くわし、置いて逃げられる。 それでも挫けず平民として仕事を頑張るわ! 【手直しての再掲載です】 いつも通り、ふんわり設定です。 いつも悩んでおりますが、カテ変更しました。ファンタジーカップには参加しておりません。のんびりです。(*´꒳`*) Copyright©︎2022-まるねこ

処理中です...