もしかして私ってヒロイン?ざまぁなんてごめんです

もきち

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第50話

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 リアは宿の予約を済ませオレンジサンダーとは逆の方向に向かった。「ピンクちゃん、どこに行くの?途中まで一緒に行こうよ」とマオから言われたからだ。マオ達は冒険者ギルドに向かうだろうからと、用事もないのに「私は向こうに…」と言って無理やり別れた。
 
 リアは今日も黒のショールを頭に巻き水色のカツラをしている。ショールを首に巻けばカツラなど面倒な事をしなくて済むのだが、今更だった。ヨモにもまた説明をしなければならない。しかしこれからも毎日カツラはキツイとは思っていた。今後の生活をどうするのか、カツラの事は叔父と会ってから考える事にしていたリアは今はまだカツラを着ける事にしていた。

 王都の商人ギルドで素材や魔法円の取引をしようかと思っていたがまだお金は十分に残っている。あまり目立つのはよくなかろうかと思い、王都の商人ギルドの取引は辞めておこうと思っていた。
 これも叔父の所から戻って考えればいいのだ。しかし叔父に到着をしたと連絡するのはまだ早かった。

 朝早かったため、街の人々はまだ動いていない。リアは街中をウロウロして時間を潰していた。そしてリアが冒険者ギルドの近くを通るとオレンジサンダーのメンバーが冒険者ギルドから出て来た。また絡まれると面倒なので開店したばかりの雑貨屋に隠れた。依頼をするためにどこかに行くようだ。通り過ぎるのを待ってメンバーが見えなくなった頃、リアは冒険者ギルドに入った。

 なぜ、リアが冒険者ギルドに来たのかというと冒険者ギルドに登録をしようとやって来たのだ。もちろんルールが厳しいのは知っている。しかし薬草など魔の森に住んでいると沢山取れるのだ。麻袋中に沢山入っている。商人ギルドでの薬草の取引は安いとヨモから聞いていた。
 秋に収穫した果実の取引も店頭に出された料金を見て驚いたものだ。リアが取引した5倍の値段になっていたのだ。その時はそれでもお金が必要だったからそれでよかったのだが、今は遊び心が勝っている。ちょっとだけ冒険者ギルドに憧れがあった。少しの間だけ冒険者ギルドに登録してムリそうなら辞めればいいのだ。そんな使い方をしている人はたくさんいるらしい。登録するときも退会するときも無料だ。

「ご用件は?」
 カウンターの女性に聞かれた。
「冒険者ギルドに登録に来ました」
 受付の女性に登録に必要な事項を言われ説明を受けた。ほぼヨモから聞いていた内容と同じだった。ただし週2回の依頼達成は撤廃されたとの事だった。クラスが上がる事を必要としない場合は拒否も可能との事だ。規則が変わっていたようだった。危険な依頼を強制的に受けなくてもよくなるのだ。

「女性冒険者や子供冒険者などが危険だと言う事で1年前に変わったんですよ。まだあまり規制が変わったことを理解してない人はたくさんいます」
 冒険者ギルドにあまり関わっていない人達などは昔の規制のままで変更された事が伝わっていないようだった。この事を言うと冒険者ギルドに持ち込まれると思って伝えないって事もあるかもしれない。

 無事に登録を終えたリアは依頼リストに目をやる。EやFクラスは掃除や街のゴミ拾いなど簡単なものから薬草などの採取などもあった。ロシなどの魔の森の果実はAクラスの依頼だった。しかも依頼料は3倍だ。果実や薬草に関してはAクラスの依頼をFクラスが受けてはいけないという事はないらしく、春夏の果実を偶然見つけたとして依頼を達成すれば取引は出来そうだった。

 

 キリン草、ロコモコ草、ハワイ草などの数種類の薬草名をメモした。メモした薬草などは魔の森の近くにいくらでもあった。いつもモジャに教えて貰って薬草を採取していたので麻袋の中に沢山あるのは分かっていた。
 ただ最近モジャから『いつになったら覚えるんじゃ?』と言われてしまった。草を覚えるのは苦手だ。どれも同じに見えるのだからリアの頭は覚えるのを拒否していた。

 リアはそこで考えた。一目見てそれが何の薬草が分かる魔術具を作ればいいのだ。そもそもいずれ作ろうと考えていた。それはアルディが残してくれた地図にヒントがあった。

 アルディの地図には空中に透明な液晶画面のようなものが現れ、ナビのように道案内をしてくれた。その他にも魔獣の位置や果実のありかなどを示してくれた。
 リアが知りたいのは薬草の位置と情報だ。魔獣や果実を薬草に置き換えれば自分で覚えなくても位置や情報を教えてくれる魔術具を作れるはずなのだ。

 その名も「薬草レンズ」だ。レンズに薬草リストの魔法陣を取り込ませれば、薬草の情報が知れるというものだった。しかし魔法陣に沢山の情報を入れ込む事は不可能であった。しかしアルディは成功した。なぜかリアはすぐに思い当たった。どこかにデータベースがあるのだ。パソコンの中にあるようなデータがどこかにあり、そこにアクセスするようなシステムがあるはずなのだと思った。
 案の定それはすぐに見つかった。アルディの本棚の端の方に大きな木箱があった。その木箱には小さな魔石が木箱に張り巡らされ、色々な魔石が光り輝いていた。箱の中には色々な情報が個別にしまってあった。それは羊皮紙にひとつひとつ虹色のインクで手書きしたものだった。それは膨大な量であった。


 その中身を利用してメモをしてきたリストを同じようにデータベースを作ってレンズに魔法陣を取り込もうとした。しかし安いレンズだとデータ量が持たず砕け散った。そこでガラスペンを作っている工場にお願いをして平な魔力を通すガラス板を作ってもらった。ガラスペンは魔力が通りやすく混ざりやすいので少々の事では砕ける事はないだろう。

 どうやってアクセスしていたのか、それはどの呪文なのか、などいくつも試練はあったが黒のショールの事を解読していたら偶然に見つけていた。そして「薬草レンズ」は完成した。数個の薬草だけに特化した「薬草レンズ」だ。アルディの地図のようにあれもこれもとは取り込む事は出来なかったが薬草さえ分かればいいのだ。

 しかしはっきり言ってお金が掛かり過ぎて、こんなものが魔術具として売れるものかと思ったが、リアが自分で好きで作ったものだ。お金が掛かっていようと自己満足なのだ。
 覚えた方が早いって?もちろんリアは作っている最中に何度も頭を過《よ》ぎったものだ。しかしのび太脳であるリアは便利グッズに頼って楽がしたかったのだ。

 薬草をかざすとデータに入っている薬草ならば名と用途が出て来る。データに入っていないものは何も出ない。リアはこれでモジャから文句を言われないだろうと森の中で薬草メガネを翳した。データは10種類ほど、探知機能も付けたかったがそこまでの技術はない。次回に期待するしかあるまい。

 リアは冬に完成させていた「薬草レンズ」を取り出し森に薬草を探す事にした。やっと日の目を見る事が出来た。モジャはやはり呆れていた。そんな事知った事ではないリアは迷子にならないように河原で拾った白い石を所々に森に落としながら薬草を探していた。ヘンゼルとグレーテル方式だ。しかし思いのほか薬草はなく収穫はゼロであった。

「ないなぁ…やっぱり探知機能があった方がよかったかな」
 と、ブツブツと言いながら小石を落とし薬草メガネを見ながら歩いて探していると少しずつ薬草が見つかり出した。その周辺には小さな池があった。池の周辺にはたくさんの薬草が生えていた。薬草レンズにもばっちりと確認できた。

「ずごい、沢山ある。ここはきっと穴場ね。取り放題だわ、ラッキー」
 薬草メガネにはどういう取り方をすれば高値で取引が出来るかなどの記載もあり、リアは「これこれ」と思いながら薬草を採取していた。薬草だけを覚えていたとしても売り物になりはしないのだ。だからリアは「薬草レンズ」を作ったのだ。すべてを覚える事をリアは放棄したのだ。
 根っこまで必要な薬草なのか葉のみでいいのか様々だった。そして薬草レンズにはすべて採取しないように書かれている。ひとつ飛ばしてなど間引きするように書かれていた。

 カバンに入れていた麻袋に採取した薬草を夢中で入れていた。そこに誰がいるなんて思いもしなかった。
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