81 / 139
第53話
しおりを挟む
「反対の丘にはレインボーボアの生息地がある。俺たちはそこからの帰りだ。ピンクちゃんがユリウスの元婚約者である事は何となく分かっていた。ユリウスとは隣国の王子同士って事で交流があった。だから最近の婚約者のいざこざは耳にしていたよ。そして新しい婚約者の容姿も耳にしていた。一度お祝いの手紙を送ったからな。形式的なものだけど、お礼状としてユリウスからのメッセージも書かれていた。ピンク色の髪をした天使だってね。
しかしその二人が紅茶ショップに揃っていた時はびっくりしたよ。二人ともユリウスの元婚約者な訳だしね。そんな二人が揃って並んでるんだから。今日何となくピンクちゃんが冒険者ギルドに登録に行ったのは分かっていた。冒険者ギルドの近くの店に隠れていただろう?」
「おい、マオ。俺たちにもなんの事だか教えてくれないか。レインボーボアを追うのを止めて急に薬草の池に行こうなんて言うし、いきなり火の玉を打つし、びっくりするだろう」
マオの行動が分からないガロが文句を言う。
「サンダーボルトだ。なんか嫌な予感がしたんだ。ガロなら何か気が付いていたかもしれないと思ったがそうでもないのな」
「いや、全然分からなかった。でもなんでシンはリアを襲ったんだ。リアが元婚約者だなんて気が付いてなかっただろう?」
「それは俺にも分からん」
「それは…私が迂闊にモグリベルの出身だと言ってしまって…」
「え?なんでそんな事を言ったの?」
「関わりたくなかったから。仲良くなんてしたくなかったし声を掛けないでほしかったから。でも別に何かを要求するつもりなんてなかった…」
「シンは脅されると思ったのかな?だからここで死んで貰おうとしたのか…」
「ここで死ねば誰にも気が付かれる事もないもんな。薬草のエキスになるだけだ」
キトが言った。
「ここの場所は俺がシンに教えた場所だ。新人の冒険者には教えている。金に困らないようにな。ここで剣も教えたな」
リアはまだ少し震えている。
「無理もない急に剣を向けられたんだから、今日はもう宿に戻ろう」
「シンも連れていくか?まだ生きている。火傷がひどいが」
シンの様子を見ていたドクが言った。
「俺が運ぼう」
体の大きなベアが言った。
「リア、歩けるかい?」
「はい…」
シンはそのまま門番に渡された。リアを襲った罪として裁かれるようだ。
宿に戻ったリアは夕食を取り、湯を浴びてぐっすりと眠った。
朝起きて外出の準備をする。もう隠す事はないと黒のショールを巻かずにマオたちのいる宿の最上階に向かった。昨日のお礼を全く伝えていない事に気が付いたからだ。
ドアをノックしてリアは返事を待った。
「はいよ、誰だい。こんな朝早くに…」
ドアを開けたのはキトだった。キトは息を吞んだ。白い肌に澄んだ青い瞳のピンクプラチナにゆるフワヘアの美少女が目の前に立っているのだから。
「やあ、リア。何々どうしたの?」
マオがキトの後ろから声を掛けた。
「リア?あの地味っ子のリア?」「信じられん…」「気は一緒だな」「…」
「ああ、ドクは纏っている気が分かるんだっけ。リア、お入りよ。今朝食をしていた所だ。リアも一緒にどうだい?」
「その前に昨日は助けて頂いてありがとうございました。昨日は動転してしまってお礼も言えないまま部屋に戻ってしまって」
「いいの、いいの。男が女を守るのは当たり前の事だろう。そんなんでいちいちお礼貰っていたらきりがない」
「おかみに追加の朝食を頼むよ。みんなで食べよう」
ガロがリアを部屋に入れた。
「ありがとうございます」
リアは5人に聞かれた事に返事をした。そしてありのままの話をした。婚約破棄からの魔の森に追放と兵士の事とそれからの体験した話をしたのだ。しかしその話からモジャは外して答えた。ウソを付かなければマオには疑われない。なので本当の話だがモジャを上手く入れずに話をした。
そして黒のショールを見せた時はヨモと同じように大騒ぎだった。しかもリアにしかその術は効かないものだったため、また驚いた。
「何だか出来過ぎている感じはするが…今はその説明だけでいいよ」
やはりマオは鋭い。
「…」
「これからどうするの?」
「叔父の所に行こうかと…」
「ついて行こうか?」
「いえ、たぶん叔父から遣いか来ると思いますから」
「叔父さんって貴族なの?」
「そうです」
「名前は?」
「ショーン・コバック男爵です」
「え?」
「茶葉のコバックかぁ」
「じゃあ俺とガロが付き添うよ」
「いえ、そこまでして貰わなくても…」
「コバックとも話がしたいしね。それにリア、君はモグリベルから追われているんだろう?だったら王族に力を借りた方がいいんじゃないのか?」
「それはとても助かりますが…」
「よし、明日向かおう!」
「え?まだ叔父に連絡してなくて…」
「大丈夫!俺はこの国の王子だよ。余裕、余裕」
何が?
「私がこれからコバック男爵に連絡して訪問する事を伝えるよ」
ため息交じりにガロが言った。
「…はい」
リアは薬草を摘んだりしながら1週間は暇を繋げようとしていたのにいきなりこの国の第2王子を叔父の所に連れていくことになってしまった。叔父と言っても昔、数回会った事があるだけの親族なのになんだか申し訳なく思ってしまった。
しかしその二人が紅茶ショップに揃っていた時はびっくりしたよ。二人ともユリウスの元婚約者な訳だしね。そんな二人が揃って並んでるんだから。今日何となくピンクちゃんが冒険者ギルドに登録に行ったのは分かっていた。冒険者ギルドの近くの店に隠れていただろう?」
「おい、マオ。俺たちにもなんの事だか教えてくれないか。レインボーボアを追うのを止めて急に薬草の池に行こうなんて言うし、いきなり火の玉を打つし、びっくりするだろう」
マオの行動が分からないガロが文句を言う。
「サンダーボルトだ。なんか嫌な予感がしたんだ。ガロなら何か気が付いていたかもしれないと思ったがそうでもないのな」
「いや、全然分からなかった。でもなんでシンはリアを襲ったんだ。リアが元婚約者だなんて気が付いてなかっただろう?」
「それは俺にも分からん」
「それは…私が迂闊にモグリベルの出身だと言ってしまって…」
「え?なんでそんな事を言ったの?」
「関わりたくなかったから。仲良くなんてしたくなかったし声を掛けないでほしかったから。でも別に何かを要求するつもりなんてなかった…」
「シンは脅されると思ったのかな?だからここで死んで貰おうとしたのか…」
「ここで死ねば誰にも気が付かれる事もないもんな。薬草のエキスになるだけだ」
キトが言った。
「ここの場所は俺がシンに教えた場所だ。新人の冒険者には教えている。金に困らないようにな。ここで剣も教えたな」
リアはまだ少し震えている。
「無理もない急に剣を向けられたんだから、今日はもう宿に戻ろう」
「シンも連れていくか?まだ生きている。火傷がひどいが」
シンの様子を見ていたドクが言った。
「俺が運ぼう」
体の大きなベアが言った。
「リア、歩けるかい?」
「はい…」
シンはそのまま門番に渡された。リアを襲った罪として裁かれるようだ。
宿に戻ったリアは夕食を取り、湯を浴びてぐっすりと眠った。
朝起きて外出の準備をする。もう隠す事はないと黒のショールを巻かずにマオたちのいる宿の最上階に向かった。昨日のお礼を全く伝えていない事に気が付いたからだ。
ドアをノックしてリアは返事を待った。
「はいよ、誰だい。こんな朝早くに…」
ドアを開けたのはキトだった。キトは息を吞んだ。白い肌に澄んだ青い瞳のピンクプラチナにゆるフワヘアの美少女が目の前に立っているのだから。
「やあ、リア。何々どうしたの?」
マオがキトの後ろから声を掛けた。
「リア?あの地味っ子のリア?」「信じられん…」「気は一緒だな」「…」
「ああ、ドクは纏っている気が分かるんだっけ。リア、お入りよ。今朝食をしていた所だ。リアも一緒にどうだい?」
「その前に昨日は助けて頂いてありがとうございました。昨日は動転してしまってお礼も言えないまま部屋に戻ってしまって」
「いいの、いいの。男が女を守るのは当たり前の事だろう。そんなんでいちいちお礼貰っていたらきりがない」
「おかみに追加の朝食を頼むよ。みんなで食べよう」
ガロがリアを部屋に入れた。
「ありがとうございます」
リアは5人に聞かれた事に返事をした。そしてありのままの話をした。婚約破棄からの魔の森に追放と兵士の事とそれからの体験した話をしたのだ。しかしその話からモジャは外して答えた。ウソを付かなければマオには疑われない。なので本当の話だがモジャを上手く入れずに話をした。
そして黒のショールを見せた時はヨモと同じように大騒ぎだった。しかもリアにしかその術は効かないものだったため、また驚いた。
「何だか出来過ぎている感じはするが…今はその説明だけでいいよ」
やはりマオは鋭い。
「…」
「これからどうするの?」
「叔父の所に行こうかと…」
「ついて行こうか?」
「いえ、たぶん叔父から遣いか来ると思いますから」
「叔父さんって貴族なの?」
「そうです」
「名前は?」
「ショーン・コバック男爵です」
「え?」
「茶葉のコバックかぁ」
「じゃあ俺とガロが付き添うよ」
「いえ、そこまでして貰わなくても…」
「コバックとも話がしたいしね。それにリア、君はモグリベルから追われているんだろう?だったら王族に力を借りた方がいいんじゃないのか?」
「それはとても助かりますが…」
「よし、明日向かおう!」
「え?まだ叔父に連絡してなくて…」
「大丈夫!俺はこの国の王子だよ。余裕、余裕」
何が?
「私がこれからコバック男爵に連絡して訪問する事を伝えるよ」
ため息交じりにガロが言った。
「…はい」
リアは薬草を摘んだりしながら1週間は暇を繋げようとしていたのにいきなりこの国の第2王子を叔父の所に連れていくことになってしまった。叔父と言っても昔、数回会った事があるだけの親族なのになんだか申し訳なく思ってしまった。
56
あなたにおすすめの小説
【完結】遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!
天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。
魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。
でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。
一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。
トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。
互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。
。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.
他サイトにも連載中
2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。
よろしくお願いいたします。m(_ _)m
水精姫の選択
六道イオリ/剣崎月
ファンタジー
見た目が美しくも奇異な小国の王女パルヴィは、財政難から大国に身売りすることになったのだが、道中で買うと言った王が死亡したと聞かされる。
買われ故国を救いたいと願う王女は引き返さずに大国へと赴き
平民に転落した元令嬢、拾ってくれた騎士がまさかの王族でした
タマ マコト
ファンタジー
没落した公爵令嬢アメリアは、婚約者の裏切りによって家も名も失い、雨の夜に倒れたところを一人の騎士カイルに救われる。
身分を隠し「ミリア」と名乗る彼女は、静かな村で小さな幸せを見つけ、少しずつ心を取り戻していく。
だが、優しくも謎めいたカイルには、王族にしか持ちえない気品と秘密があり――
それが、二人の運命を大きく動かす始まりとなるのであった。
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
【完結】令嬢は売られ、捨てられ、治療師として頑張ります。
まるねこ
ファンタジー
魔法が使えなかったせいで落ちこぼれ街道を突っ走り、伯爵家から売られたソフィ。
泣きっ面に蜂とはこの事、売られた先で魔物と出くわし、置いて逃げられる。
それでも挫けず平民として仕事を頑張るわ!
【手直しての再掲載です】
いつも通り、ふんわり設定です。
いつも悩んでおりますが、カテ変更しました。ファンタジーカップには参加しておりません。のんびりです。(*´꒳`*)
Copyright©︎2022-まるねこ
【完】瓶底メガネの聖女様
らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。
傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。
実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。
そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。
キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる
藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。
将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。
入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。
セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。
家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。
得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。
モブで可哀相? いえ、幸せです!
みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。
“あんたはモブで可哀相”。
お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる