AFTER DEAD「最後の帰路」

ハンドアイランド

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終わりのための旅

街に響く大声

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今日も昨日と同じ、平和な朝を迎えた。
まるでこの世界が夢で、やつらが溢れる前の世界に戻ったように。
そろそろ現実に戻らなければ。
次の一歩が踏み出せなくなる。

ガチャ。
寝室のドアが開けられる。

「行くよー!」

少女だ。
そうだ、思い出した。
今日は俺と少女で資材を回収しにいく予定だった。

準備をして、二人で街の探索に出た。
目的は必要な資材の回収と、念の為の街のパトロールだ。

資材や食料の保管場所に着き、必要なものをリュックに詰めていく。
ふと横を見ると、少女の口元が緩んでいる。
多分だが、この食料を老婆が調理してくれる。それを想像して、ワクワクしているのだろう。

胸の奥が複雑になる。
俺はここに長くいるつもりはない。
だが、少女の子供らしさに心地よい気持ちにもなる。

必要な分をリュックに詰め、周辺の探索をする。

ある程度、住処の周辺を回った後、

「一旦、戻ろうか」

そう声をかけると、

「うん!!!」

食い気味に少女が返事をした。


帰り道、少女は俺の前を走っては、少し先で振り返り俺が追いつくのを待った。
早く帰って、食事にしたいのだろう。

その様子を見て、俺はふと思った。
もし自分に子供がいたら、こんな感じなんだろうか。

そんなことを考えていたら、少女は軽い足取りのまま、先の角を曲がっていった。
視界から少女の姿が消える。
正直心配ないと思ったが念の為、俺は小走りになり少女を追いかける。

俺も少女が曲がった角を続いて曲がった。

すぐ少女が視界に入った。
それは尻もちをついている少女の姿だった。

急いで走りすぎて、転んだのか。
そう思い、思わず笑いそうになる。

「はしゃぎすぎだ」

笑いながらそう言おうとして、言葉が止まる。

少女の前に、足が見える。
太い。
かなり太い、多分男の。

俺は尻もちをついた少女から、視線を上に向ける。


そこに立っていたのは、大柄な男だった。
身長は二メートル近くありそうで、見るからにガタイが良い男だ。
まるで、ヘビー級の格闘家のようだった。

そして、その大男は満面の笑みを浮かべていた。

だが、少女を見るなり、表情が変わり、

「少女よ!!
  私に助けを求めに来たのか!!!」

鼓膜が破れそうなほどの大声。
思わず半歩後ろに下がってしまった。

少女が尻もちをついていたのは、この大男が正体だった。

サッと、大男の視線が俺に突き刺さる。

「おい、お前!!」

太い指が、まっすぐこちらを指す。

「お前がこの少女を襲っているのか!!!」

怒鳴り声と、強烈な目力。
視線だけで圧倒される。
筋肉の塊が、半歩こちらへ踏み出す。

やばい。
この大男は、俺が少女を追い回していると勘違いしている。
厄介な誤解だ。

「少女よ!
  そうなのだろう!!!」

大男は、少女の方を見下ろして叫んだ。

だが、その声量と威圧感に少女は完全に呑まれている。
さっきまでのウキウキした様子は吹き飛んでいる。
口を開いたまま、言葉が出ていない。

その様子を見て、大男の表情がさらに険しくなる。

「お前、、、」

「恐怖で喋れないほどのことをしたのか!!!」

怒りをむき出しにして、俺に向かって怒鳴る。
拳が強く握られ、血管が浮きでている。

この男、わかってないのか、、、。
俺の中に、呆れと焦りの感情が同時に湧き上がる。
完全に誤解されている。
最悪な状況だ、、、。
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