19 / 281
第一章 外れスキル

19.依頼終了

しおりを挟む
 俺は早速依頼を受ける準備を始めた。

「どこが痛いとかはありますか?」

「仕事の影響で腕と腰がいつも痛くなるんだよ」

 俺は辺りを見渡すが流石に床に寝てもらうわけにはいかなかった。

「ならベットをお借りしてもよろしいですか?」

「ああ、こっちに来い」

 俺は言われるがままついて行くと店の二階は住居スペースとなっていた。

「二階が住むところになってるんですね」

「この辺の店は基本的には一階が売り場か作業スペースになってるところが多いからな。それで俺はどうすれば良いんだ?」

「まずは仰向けで寝てください」

 店主は俺に言われた通りに頭側に移動した。

「はじめに首からやっていきますね」

「ああ」

 俺は頸部から肩にかけて触るとギルドマスターの時と同様に全体的に筋硬結が出来ていた。
 
 スキル【理学療法】を発動しながらやったマッサージは鍛冶屋の店主も数分後には虜になっていた。

「ああ、気持ちいい……。あの世に行きそうだ」

 それはそれでやばい気もするが良くなるのであればいいだろう。

「だいぶ硬いですね。後でストレッチの方法も教えるので毎日やってくださいね」

「ストレッチってなんだ?」

 前世でもあまりここまで硬い人はいなかった。

 話を聞いていくとこの世界ではストレッチという概念はないため基本的に痛くなってもそのままにしておくらしい。

 入浴する文化がなければ筋肉は硬く、血流が滞っている人ばかりだろう。

「ストレッチって筋肉を伸ばすことを言うんです。運動前や運動後に軽くすると少し筋肉が動くので血流も改善されて動きやすくなりますよ」

「そうか」

 鍛冶屋の店主はだんだん眠くなってきたのか反応が鈍くなった。

「次は腰のストレッチを教えますね」

 こういう時は何か動く課題を与えた方がリハビリは持続する。

 そのため俺は肘をつけた状態で四つ這いになるジェスチャーをした。 

「小僧何をやっているんだ?」

 見たこともない動きに鍛冶屋の店主も困惑していた。

「今背中のストレッチをやってるんです。腰の部分を山なりにするように意識するだけで少し伸びるんですよ」

 驚いていた店主だが俺に言われた通り動きをマネていた。

「ああ、これは効いてそうだな。ここら辺が伸びてる感じがするぞ」

 しっかり反応をしてくれるため俺としてはやりやすかった。

「これを起きる前とか寝る前に少しやってみてください」

「小僧……いや、ケントだったか? お前のお陰でだいぶ楽になったぞ」

「ちゃんと効果が出てよかったです」

 体を動かしている店主はどこか嬉しそうな顔をしていた。この顔が仕事にはまったきっかけだ。

「そうだ! これが依頼報告書だ!」

 俺は依頼報告書を渡されると、"また次回も頼む。最高のマッサージだった"と一言付け加えられていた。

「こちらこそありがとうございました! 」

 俺はお礼を伝えるとその足で冒険者ギルドに戻って依頼達成の報告した。

 戻ってからも冒険者ギルドではスターチスが待機しており、気づいたら辺りは日が暮れていた。
しおりを挟む
感想 120

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

悪役令嬢の身代わりで追放された侍女、北の地で才能を開花させ「氷の公爵」を溶かす

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の罪は、万死に値する!」 公爵令嬢アリアンヌの罪をすべて被せられ、侍女リリアは婚約破棄の茶番劇のスケープゴートにされた。 忠誠を尽くした主人に裏切られ、誰にも信じてもらえず王都を追放される彼女に手を差し伸べたのは、彼女を最も蔑んでいたはずの「氷の公爵」クロードだった。 「君が犯人でないことは、最初から分かっていた」 冷徹な仮面の裏に隠された真実と、予想外の庇護。 彼の領地で、リリアは内に秘めた驚くべき才能を開花させていく。 一方、有能な「影」を失った王太子と悪役令嬢は、自滅の道を転がり落ちていく。 これは、地味な侍女が全てを覆し、世界一の愛を手に入れる、痛快な逆転シンデレラストーリー。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

処理中です...