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第一章 外れスキル

20.ランクアップ

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 冒険者に登録してから1週間程度経った頃、俺に向けてなのか同じような依頼が増えていた。

「ケントくん今日もマッサージの依頼が来てるわ」

「わかりました」

 最近では俺が冒険者ギルドに入るとすぐに依頼を渡されることが増えてきた。

 しかも基本的な依頼内容は変わってないがある部分が変化していた。それは募集人数のところに俺の名前が入っていたことだ。

――――――――――――――――――――

【F.マッサージをして欲しい】
募集人数:人数1人 できればケントを頼む。
報酬:銀貨3枚
内容:鍛冶屋の店主のマッサージ。
時間:時間は昼頃であればいつでも可能。

――――――――――――――――――――

 基本的にはBランクからしか個人依頼はできないため、あえて"できれば・・・・"という記載になっていた。


 しかも俺しかここ最近マッサージの依頼を受けていないため、冒険者ギルドでも当たり前になっていた。

 それにしても時間の指定がないって楽だ。とりあえず俺は鍛冶屋、武器屋、主婦の依頼を受けることにした。





 俺はいつも通り依頼を終えると冒険者ギルドに戻った。依頼による拘束時間も比較的短いため最近では夕方には冒険者ギルドに戻って来れるようになった。

「依頼報告お願いします」

 俺は依頼主から貰った紙を受付にいるスターチスに渡した。

「そういえばギルドマスターから話しがあるって言ってたわ」

 俺は座って待っているとギルドマスターが来た。

「ケント待たせたな」

「そんなに待ってないですよ」

「そういえば依頼件数が十件以上達成されたからEランクにしておいたぞ」

 どうやら俺が呼ばれたのはランクアップの報告なんだろう。

「ありがとうございます。では僕は帰りますね」

 俺は立ち上がって冒険者ギルドから出ようとすると止められた。

「いやいや、本題はこれからだ。最近ケントに対しての個人依頼みたいなのが多くなっているだろ?」

「はい」

 きっとマッサージの依頼のことを言っているのだろう。

「個人依頼はBランク以上からではないと出来ない仕組みになっているのは知っているか?」

「はい」

 俺は内心やはりその話かと思った。

「そこで対策としてギルドからの依頼で冒険者ギルドでマッサージをしてもらおうと思う」

「どういうことですか?」

 急なことで俺の頭は混乱していた。

「いや、個人依頼が出来ないからギルドからケントに依頼を出して件数に合わせてお金を出そうと思う」

 依頼の値段も基本的には同じため冒険者で常時スタッフみたいに働くイメージだろう。

「Fランクの時は依頼件数もあるから出来なかったが、Eランクになれば依頼件数は問題なくなるからな」

 Fランクの依頼を受けても依頼件数には入らない。Eランクで採取が中心になってくるため、Fランク依頼のマッサージだけではランクが下がってしまうのだ。

 ランクダウンやランク執行には、基本的に同じランクの依頼を数件受ける必要があるためランクアップした今話しかけて来たのだった。

「他にもお前にクレームつけてくる冒険者もいるからその対策だな。それにしても住民にこんなにケントのマッサージが広がるとは思わなかったぞ」

 ギルドマスターは俺の頭を撫でた。どこかゴツゴツした大きな手に俺は心地良さを感じた。

 ケトもこうやって撫でられたかったんだろうな……。

 俺は特に何も思っていなかったが回りでは首が折れるからやめてあげてくださいと大騒ぎになっていた。

「依頼も増えてきて生活もしやすくなったのでありがたいですね」

「ここは門番と鍛冶屋の店主のおかげだな」

「えっ?」

 俺は突然知っている名前が出て驚いた。

「ああ、依頼主が主にお店関係者と門番関係者なのは知っているか?」

「確かにそうですね」

 俺はただ渡される依頼を受けていたため、依頼主がどういう繋がりで俺に依頼を出しているのかわからなかった。

 きっかけはロニーが門番で働く仲間に話をしたのと鍛冶屋近隣のお店のスタッフが以前よりテキパキと仕事をしている店主を見たのが始まりだった。

 そこから俺のマッサージを受けた人達が口コミして俺への依頼が増えたらしい。

 俺はここでもみんなに助けられていることを実感した。

 そもそも以前だとマッサージを依頼する人は週に一件あるかないかだったらしい。

 それがいつのまにかエッセン町ではマッサージブームとなっていた。

「それで冒険者ギルドでマッサージをはじめてもいいか?」

「大丈夫ですよ!  準備とか必要ですよね?」

「ああ、それなら裏にベッドがあるからこっちで用意しておくよ」

 スターチスやギルドマスターから頼まれてた時に使っていたベットを使うらしい。

「お願いします」

 明後日の依頼から冒険者ギルドに来てもらう方向性で話は進んでいった。

 こうして冒険者ギルド内で俺のマッサージ屋がオープンすることになった。

 俺は"理学療法ってマッサージする仕事じゃないのにな"と内心思うのだった。
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