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第一章 外れスキル
23.久しぶりのリハビリ
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俺はまずマルクスに椅子に座らせ問診をすることにした。椅子に座る時でもマルクスはゆっくりと腰掛けていた。
「一番気になるとこは腰ですか?」
俺の言葉にマルクスは大きく目を見開いていた。
「なんでわかったんだ? 前よりは良いけど動くと腰が痛くて武器もまともに振れない状態だ」
「いつぐらいから痛いんですか?」
「冒険者ランクがBランク辺りになった時だから三年前ぐらいから少しずつ痛みだしたな。それから去年ぐらいからはあまり動けず、変なプライドが妨げて低ランク依頼も受けずこのザマだ」
マルクスはエッセン町唯一のAランク冒険者のため周りに落ちぶれた姿を見せたくなかった。
しかし、ランクも降格しお金が無くなったからかどこか吹っ切れたところに俺の話を聞いて探していたらしい。
「治療は過去にしましたか?」
「教会に行ったが高位の回復魔法でも無理だった」
教会の祈りでも治らなかったため諦めていたらしい。
ここの世界って慢性痛には教会の回復魔法は効かないのだろうか。
薬師のハンスが言うには重症者は教会で治療すると言っていたはずだが、考えれば考えるほどわからなかった。
「痺れとかは感じたことありますか?」
「痺れはないが痛みが一番ひどいな」
「とりあえずもう1度立ってもらってもいいですか?」
そう言われたマルクスは椅子の肘掛に手を置き、押すように立ち上がった。
今の様子から腰の動きに伴う痛みから逃避しているのか筋力が落ちて手を使わないと立てない可能性が考えられた。
「少しだけ体を反ることって出来ますか?」
「こんなああああ痛たたたたっ!」
ほんの少し体を反ることで叫ぶほど痛みが誘発されていた。
俺の頭の中では二種類の病気が浮かび上がった。それは"脊柱管狭窄症"と"椎間板ヘルニア"だった。ちゃんと検査をしなければわからないが予想としては間違いないだろう。
「次は鎧を脱いでベッドの上に寝てもらってもいいですか?」
「わかった」
マルクスは鎧を脱ぎ、言われるがままベッドに寝ると今度は膝を伸ばしたまま脚を上げてもらうように伝えた。
「痺れはありますか?」
「全然ないぞ」
今の動きは下肢伸展挙上テストという検査で坐骨神経痛がないか見ていた。
マルクスは痺れもなく特に痛みが出現しなかったため腰椎椎間板ヘルニアの可能性を見送った。
また下肢を挙上した際にわずかに体幹がぐらついたのを俺は見逃さなかった。
やっぱり腰部の慢性痛なのか体幹機能も落ち腹腔内圧も低めのように感じた。
こんな時にX線やMRIがあればすぐに解決できてただろう。
X線やMRIが存在していれば椎間板の脱出や神経への接触が確認出来たがこの世界では確認出来る手段がなかった。
俺はまず腰部筋の緊張を確認してみてから今後どうするか決めることにした。
「そのまま寝返りしてうつ伏せって出来ますか?」
「こうか?」
マルクスはそのまま寝返りすると特に痛みを訴えなかった。
「少し腰の部分を触りますね」
俺は骨盤のあたりから筋肉を触診した。触った瞬間にどこの筋肉も硬くなっているのがわかった。
「少し押しますが多分痛いかも知れないです。少しだけ我慢してください」
俺は筋肉に回復魔法をかけながらマッサージをした。
いつもより治さないといけないという思いと、久々に理学療法を行っている感覚がさらに魔力を高めていた。
次第に緊張も落ちていき筋肉の柔軟性も向上してきていた。
「ああ、気持ちいいぞ」
マルクスはあまりの気持ち良さに体の力が抜けてリラックスしていた。
「じゃあもう一度仰向けに戻って貰ってもいいですか」
「ん? もう終わりか?」
「少し運動をしますね」
「そうか、運動もあまりしてこなかったからな……」
マルクスは痛みが出始めてから運動量は減少し、痛みが強くなった一年はほぼ寝たきりで筋力は落ちていた。
「まずは軽く僕の手を蹴りましょうか」
まずは蹴る運動から始め、肩側ずつ脚の挙上を行っていくことで次第に腹筋に力が入り体幹のぐらつきが減っていた。
「久々に動いたからえらいな」
「腰は痛く無いですか?」
「ああ、そういえば全く痛くないな」
「ではもう一度立ってください」
言われるがままマルクスは立ち上がると今度は手を使わずにすぐに自身の脚で立ち上がった。
動作の速度としてはまだ速いためまだスピード重視なんだろう。
「ああ、なんか腰が軽くなったぞ」
「腰の痛みの原因ははっきりとわかりませんが、慢性痛による筋肉の過剰努力と筋力低下だと判断しました」
「はぁ……?」
「そのため腰回りの筋肉をほぐし、筋の緊張を落とし、徒手ストレッチで柔軟性を確保しました。あとは腰への負担を減らすためにお腹への力の出し方を再学習させました」
「……」
俺の言葉にマルクスと近くにいたスターチスは無言になっていた。そういえば今までちゃんと説明したことがないことに言ってから気づいた。
「スターチスはわかるか?」
「いえ、私もケントくんが何を言っていたのかさっぱりですね。ただ良くなったってことですかね?」
「そうだな」
マルクスはスターチスに確認をするが、二人とも俺の話に理解が追いついていなかった。
「一番気になるとこは腰ですか?」
俺の言葉にマルクスは大きく目を見開いていた。
「なんでわかったんだ? 前よりは良いけど動くと腰が痛くて武器もまともに振れない状態だ」
「いつぐらいから痛いんですか?」
「冒険者ランクがBランク辺りになった時だから三年前ぐらいから少しずつ痛みだしたな。それから去年ぐらいからはあまり動けず、変なプライドが妨げて低ランク依頼も受けずこのザマだ」
マルクスはエッセン町唯一のAランク冒険者のため周りに落ちぶれた姿を見せたくなかった。
しかし、ランクも降格しお金が無くなったからかどこか吹っ切れたところに俺の話を聞いて探していたらしい。
「治療は過去にしましたか?」
「教会に行ったが高位の回復魔法でも無理だった」
教会の祈りでも治らなかったため諦めていたらしい。
ここの世界って慢性痛には教会の回復魔法は効かないのだろうか。
薬師のハンスが言うには重症者は教会で治療すると言っていたはずだが、考えれば考えるほどわからなかった。
「痺れとかは感じたことありますか?」
「痺れはないが痛みが一番ひどいな」
「とりあえずもう1度立ってもらってもいいですか?」
そう言われたマルクスは椅子の肘掛に手を置き、押すように立ち上がった。
今の様子から腰の動きに伴う痛みから逃避しているのか筋力が落ちて手を使わないと立てない可能性が考えられた。
「少しだけ体を反ることって出来ますか?」
「こんなああああ痛たたたたっ!」
ほんの少し体を反ることで叫ぶほど痛みが誘発されていた。
俺の頭の中では二種類の病気が浮かび上がった。それは"脊柱管狭窄症"と"椎間板ヘルニア"だった。ちゃんと検査をしなければわからないが予想としては間違いないだろう。
「次は鎧を脱いでベッドの上に寝てもらってもいいですか?」
「わかった」
マルクスは鎧を脱ぎ、言われるがままベッドに寝ると今度は膝を伸ばしたまま脚を上げてもらうように伝えた。
「痺れはありますか?」
「全然ないぞ」
今の動きは下肢伸展挙上テストという検査で坐骨神経痛がないか見ていた。
マルクスは痺れもなく特に痛みが出現しなかったため腰椎椎間板ヘルニアの可能性を見送った。
また下肢を挙上した際にわずかに体幹がぐらついたのを俺は見逃さなかった。
やっぱり腰部の慢性痛なのか体幹機能も落ち腹腔内圧も低めのように感じた。
こんな時にX線やMRIがあればすぐに解決できてただろう。
X線やMRIが存在していれば椎間板の脱出や神経への接触が確認出来たがこの世界では確認出来る手段がなかった。
俺はまず腰部筋の緊張を確認してみてから今後どうするか決めることにした。
「そのまま寝返りしてうつ伏せって出来ますか?」
「こうか?」
マルクスはそのまま寝返りすると特に痛みを訴えなかった。
「少し腰の部分を触りますね」
俺は骨盤のあたりから筋肉を触診した。触った瞬間にどこの筋肉も硬くなっているのがわかった。
「少し押しますが多分痛いかも知れないです。少しだけ我慢してください」
俺は筋肉に回復魔法をかけながらマッサージをした。
いつもより治さないといけないという思いと、久々に理学療法を行っている感覚がさらに魔力を高めていた。
次第に緊張も落ちていき筋肉の柔軟性も向上してきていた。
「ああ、気持ちいいぞ」
マルクスはあまりの気持ち良さに体の力が抜けてリラックスしていた。
「じゃあもう一度仰向けに戻って貰ってもいいですか」
「ん? もう終わりか?」
「少し運動をしますね」
「そうか、運動もあまりしてこなかったからな……」
マルクスは痛みが出始めてから運動量は減少し、痛みが強くなった一年はほぼ寝たきりで筋力は落ちていた。
「まずは軽く僕の手を蹴りましょうか」
まずは蹴る運動から始め、肩側ずつ脚の挙上を行っていくことで次第に腹筋に力が入り体幹のぐらつきが減っていた。
「久々に動いたからえらいな」
「腰は痛く無いですか?」
「ああ、そういえば全く痛くないな」
「ではもう一度立ってください」
言われるがままマルクスは立ち上がると今度は手を使わずにすぐに自身の脚で立ち上がった。
動作の速度としてはまだ速いためまだスピード重視なんだろう。
「ああ、なんか腰が軽くなったぞ」
「腰の痛みの原因ははっきりとわかりませんが、慢性痛による筋肉の過剰努力と筋力低下だと判断しました」
「はぁ……?」
「そのため腰回りの筋肉をほぐし、筋の緊張を落とし、徒手ストレッチで柔軟性を確保しました。あとは腰への負担を減らすためにお腹への力の出し方を再学習させました」
「……」
俺の言葉にマルクスと近くにいたスターチスは無言になっていた。そういえば今までちゃんと説明したことがないことに言ってから気づいた。
「スターチスはわかるか?」
「いえ、私もケントくんが何を言っていたのかさっぱりですね。ただ良くなったってことですかね?」
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マルクスはスターチスに確認をするが、二人とも俺の話に理解が追いついていなかった。
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