62 / 281
第一章 外れスキル

62.引退間近の冒険者 ※キーランド視点

しおりを挟む
 俺は中年のBランク冒険者だ。今じゃ俺の時代も終わり、新しい世代の人達が活躍してきている。

 周りの同世代は冒険者を引退し、新たに始めた仕事で生計を立てている人ばかりだ。

 最近は自分の武器である大剣が振りにくくなってきたのを感じ引退を考えていた。

 昔から怪我はよくしていたが、大剣が使えなければ冒険者として一線を退くことになる。それは俺のスキルが【大剣士】だからだ。

 普通の剣でもある程度の効果は出るが、スキルの影響か大剣の方が威力は強くなる特性がある。

 そのため冒険者を続けるには大剣でなければいけない。

 そんな中俺はある少年に出会った。

「今日もよろしくお願いします」

 目の前にいる小柄で頼りなさそうな少年がケントだ。

「ああ、よろしく」

 とにかく元気な少年なんだがそいつの知識の量に驚いた。

 先日も昔から友人の冒険者に誘われるまま行った体操教室という変な団体に彼は講師でいた。

 場所も治療院で行うと聞いて行ってみたが意外に元気な奴が多かった。俺の仲間達が久しぶりに揃うのも珍しく、いつのまにかみんな老けたのだと実感した。

 そもそもケントと出会ったのは冒険者である鉄槌のマルクスが復帰したという知らせを聞いたからだ。

 引退を考えていた俺がたまたま冒険者ギルドの訓練場に来るとそこには彼らがいた。

 怖い笑みを浮かべた鉄槌のマルクスが少年にハンマーを振り回して追いかけていたのだ。

 少年は笑顔で避けているのを見ると将来有望な冒険者になると思った。

 しかし、そいつは外れスキル持ちの少年と聞いて世の中の理不尽さを感じた。
 
 周りの冒険者に聞くと同じことを言っているやつも多かった。それだけ訓練場での姿を他の冒険者も見ているのだろう。
 
 体操教室の人気は凄かった。まだトライン街に来て、そんなに日は経ってないが治療院では信頼されていた。

 だから俺もケントのために頑張った。俺もマルクスみたいにちゃんと復帰して、歴代最年長の冒険者になってやろうと思っていたのだ。

 ちゃんと毎日言われた数より多く、何倍の筋トレや片脚立ちもやった。

 それなのに……。

 何故か俺は怒られていた。

「なんでこんなに足が腫れてるんですか?」

「俺もお前のためにやろうと……」

「どうせ沢山やれば良いと思ったんですよね?」

 俺の考えはケントにバレていたようだ。何か魔法でも使っているのだろうか。
 
 いつも使う足湯のドラム缶を持ってくるとそこに足を入れるように言ってきた。

「ちょっと冷やしますが、数日らリハビリ禁止ですからね」

 ドラム缶の中は冷たかった。今日はケントの機嫌が悪いからさらに冷たく感じる。

「はぁー、俺が何をしたって――」

「やり過ぎなんです。リハビリはやり過ぎても悪くなるんですよ」
 
「はぁん?」

「落ち着くまで足を休ませてくださいね」

「わかった」

 俺は嫌われたらわけではなかったようだ。さっきからため息ばかり吐いているからリハビリがなくなると思った。

 とりあえずまだ歴代最年長の冒険者は目指せそう。

「よし、これからも――」

 俺は改めて気合を入れ直した。家に帰ったらまた筋トレでもやるつもりだ。

「絶対やめてくださいね!!」

 やっぱりケントは心を読む魔法を使っていたんだな。
しおりを挟む
感想 120

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

聖女の紋章 転生?少女は女神の加護と前世の知識で無双する わたしは聖女ではありません。公爵令嬢です!

幸之丞
ファンタジー
2023/11/22~11/23  女性向けホットランキング1位 2023/11/24 10:00 ファンタジーランキング1位  ありがとうございます。 「うわ~ 私を捨てないでー!」 声を出して私を捨てようとする父さんに叫ぼうとしました・・・ でも私は意識がはっきりしているけれど、体はまだ、生れて1週間くらいしか経っていないので 「ばぶ ばぶうう ばぶ だああ」 くらいにしか聞こえていないのね? と思っていたけど ササッと 捨てられてしまいました~ 誰か拾って~ 私は、陽菜。数ヶ月前まで、日本で女子高生をしていました。 将来の為に良い大学に入学しようと塾にいっています。 塾の帰り道、車の事故に巻き込まれて、気づいてみたら何故か新しいお母さんのお腹の中。隣には姉妹もいる。そう双子なの。 私達が生まれたその後、私は魔力が少ないから、伯爵の娘として恥ずかしいとかで、捨てられた・・・  ↑ここ冒頭 けれども、公爵家に拾われた。ああ 良かった・・・ そしてこれから私は捨てられないように、前世の記憶を使って知識チートで家族のため、公爵領にする人のために領地を豊かにします。 「この子ちょっとおかしいこと言ってるぞ」 と言われても、必殺 「女神様のお告げです。昨夜夢にでてきました」で大丈夫。 だって私には、愛と豊穣の女神様に愛されている証、聖女の紋章があるのです。 この物語は、魔法と剣の世界で主人公のエルーシアは魔法チートと知識チートで領地を豊かにするためにスライムや古竜と仲良くなって、お力をちょっと借りたりもします。 果たして、エルーシアは捨てられた本当の理由を知ることが出来るのか? さあ! 物語が始まります。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

処理中です...