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第一章 外れスキル

119.元冒険者

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 今日は依頼を受けようと冒険者ギルドに来ている。

「こんにちは! 異世界病院への依頼って来てますか?」

「まだ来てないわよ」

「そうですか。では違う依頼を探してきます」

 まだ異世界病院への依頼はなく、今もコルトンの介護のみだ。
 
 依頼を見ていると一つ気になったものがあった。

――――――――――――――――――――

【F.歩く練習を付き合って欲しい】

募集人数:1人
報酬:銀貨3枚
内容:歩く練習に付き合って欲しい。
時間:日中であればいつでも

――――――――――――――――――――

 すごく理学療法士向けの依頼が目に入ったのだ。

「歩く練習を付き合って欲しい……」

「あー、坊主それはやめとけ!」

 ボソッと呟くと鎧を被った男性が俺に話しかけてきた。

「何かあるんですか?」

「そいつ元冒険者なんだけど依頼に失敗して歩けなくなったんだよ。今は義足を付けて何とか生活出来てるけど、同じ冒険者としては見てられないぐらいだぞ」
 
「そうなんですね。なら受けてみます」

 そこまで言われると本当に俺のためにある依頼のような気がした。

 どこか埃が被っている依頼書を取り外した。

「すみません、依頼受理をお願いします」

「依頼ですね! この依頼本当に受けますか?」

 さっきの冒険者同様になぜか受付嬢の態度がいつもと変わっていた。

「ダメなんですか?」

「私達としては受けて貰いたいのですが、新人冒険者が見るにはあまりオススメは出来ないのが正直なところですね」

 受付嬢が言うには冒険者としての終着点を見せることになるため、若手が受けてしまうと冒険者になるのをやめる可能性があると言っていた。

 実際に過去にこの依頼を受けて、若手冒険者が辞めてしまい他の職業についた人もいたそうだ。

 命がけの冒険者にとってはそれほど覚悟がいることなんだろう。

 実際に死亡率の方が高いため、俺も今まで生き残った冒険者を見たことがなかった。

「それでも良いですよ! こういう依頼を異世界病院でもやっていきたいですし」

「わかりました。絶対に冒険者を辞めるって言わないでくださいね」

 受付嬢は依頼を受理し、詳細の情報を受け取ると依頼主は孤児院の前に住んでいるようだ。





 俺は依頼主の家の前に立っていた。

 ウルがこの前言っていた人と依頼主は同一人物なんだろうか。本当に孤児院の前に住んでいたのだ。

「すみません!」

 俺は扉をノックするが、中からの反応はなくしばらく待っても返事はなかった。

 少し心配になり扉を開けるとそこには男性が倒れていた。

「大丈夫ですか?」

「ああ、疲れているだけだ。それでなんか俺に用か?」

 男性はほふく前進で玄関まで来たがそこで力尽きて倒れていたようだ。

「冒険者の依頼で来ました」

「冒険者の依頼……ああ、まだそんなのが残ってたのか。やめとけ」

 思ったよりも返ってきた反応は悪かったそれだけ依頼を受ける人はいなかったのか放置され続けていたんだろう。

「いやせっかく来たんでやりましょうよ。切断箇所は下腿なんですね。特に傷口ももう綺麗なので問題はなさそうですね」

「えっ?」

 俺は依頼主を気にせず切断箇所の状態を確認した。依頼を通して冒険者や街の人と触れ合って思ったのは、結構強引に攻めた方が関係が気付きやすいということだ。

 マルクスやキーランドもそれに当たる。

「義足はどこにあるんですか?」

「んあっ? 義足は向こうに――」

「失礼します」
 
 部屋に入っていくと壁に義足が立てかけられていた。

「埃が被ってるじゃん」

 誰も長いこと依頼を受けていないのが義足を見てもわかった。

 俺は服で埃を払うと義足を持って男性の元へ戻った。

「おじさん! 義足に埃か被ってるじゃないですかー! 大事なものだから綺麗にしておいてくださいよ」

「……誰がおじさんだ! 俺はこれでも三十二歳だ!」

「あっ……意外に若いんですね」

 まさかのまだまだ若い人だった。その年齢なら体力もすぐに戻ってくるだろう。

「本当に最近の冒険者は年上に配慮も出来ないんか!」

「義足を大事に出来ない人に言われたくないですよ!」

 俺の一言に男性も笑っていた。どうやら少しは落ち着いたのだろう。

「そういえば名前はなんて言うんだ?」

「ケントと言います。えーっと……」

「俺はフェーズだ! おじさんじゃないぞ」

 俺がおじさんと言う前にフェーズは名前を言った。

 よほどおじさんと言われたくないのであろう。

「フェーズさんよろしくお願いします」

「ああ、こっちこそ頼むわ」

 こうして俺は元冒険者フェーズとのリハビリが開始した。
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