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第一章 外れスキル
242.異世界のお父さん
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俺が門に行くとロニーは今日も働いていた。
「父さん!」
「あっ、お前達か」
ロニーはこっちに気づいて手を振っていた。
「あと少しで交代の時間になるからちょっと待ってて!」
何か用があって来たのを気づいたのだろう。俺らがロニーの仕事を見にくることなんて今までなかったからな。
しばらく待っているとロニーは他の男と嬉しそうに歩いてきた。
「あれ? お前って……」
「ああ、こいつらは新しい家族だ」
「そうかそうか! お前達ロニーをよろしく頼むな!」
男は俺達の肩を叩くと豪快に笑っていた。
「それでどうしたんだ?」
「ケントが警備団の仕事に門番の仕事があるのを知らなくて……」
ロニーは俺の方を見て笑っていた。
「ははは、そういうところもあいつとそっくりだな」
「あいつ?」
「あー、亡くなった息子もケントと同じで俺が警備団所属ってずっと知らなかったからな」
どうやら俺と亡くなった息子と似ているところがあるらしい。
「それで警備団がどうしたんだ?」
「警備の仕事を始めようかと思って――」
「おー、そうか。ロニーに似て勇敢な警備団の一員になりたいのか」
男は俺の頭を強く撫でていた。ただ、その様子を見てロニーは何か考えていた。
「それって新しい商売を始めたいってことだよな?」
「あっ、はい」
「ん? どういうことだ?」
「いや、こいつこう見えて孤児院の近くにある異世界食堂と異世界病院の設立者だぞ」
「はぁん?」
男は頭が追いついていないのだろう。確かに俺の年齢だと職業訓練中の年齢だからな。
だから冒険者も本登録ができずに冒険者見習いって感じだ。
「あの王族が御用達にしている――」
「いや、ちょっと待ってな! あそこの店の設立者でその親がお前だと……?」
「そうだな」
「うぇー!?」
そんなに驚くことなんだろうか。
「今中々店の予約が取れないって聞いて諦めてたんだ」
そのキラキラ光った目は俺に予約を取れということなんだろうか。
できる限りは考慮したいが地位関係なく入れるお店がコンセプトだから融通が利きにくい。
その意図がわかったロニーは俺の耳元で話し出した。
「どうにかすることはできないか? あの人のお陰で王都で働けるようになったんだ」
以前王都に来た時に言っていた知り合いとはこの人のことなんだろう。
「んー、中々難しいですからね」
「そうか……なら仕方ないか。俺も嫁と子どもに食べさせてあげたかったけどな」
そんなことを言われたら間接的には断っているもののすごく断りづらい。
目もさっきまでのきらきら感はなくドス黒い奈落の底みたいな瞳をしていた。
この人よっぽど奥さんと子ども達に予約しろと言われているのだろうか。
「この際ならケントが作りに行けばいいんじゃないか? その代わりにお仕事見学させて貰えばいいんだし」
ラルフの提案に男の瞳には光が灯った。
「ケント達は仕事の内容が気になって来たのか?」
「あっ、そうなんです。警備会社をやるのに仕事内容が被ってしまったらどちらにも損害がかかりますし、そもそもめんどくさいことに巻き込まれそうで……」
「あー、商業ギルドとかあるもんな」
ロニーは家を決めた時のことを思い出していた。確かに会社として設立させるなら商業ギルドを通さないといけなくなる。
異世界食堂は生誕祭の景品みたいなものから始まったからオープンできたけど、流石にもう一つは無理そうだ。
「だから異世界病院の一環として始めようかと検討はしていますね」
「そっちなら冒険者繋がりで警備という依頼になるもんな」
「それで俺の家には来てくれるのか?」
ロニーと話してて男の存在を忘れていた。この際、一回限りで行くしかないだろう。
「今回限りで――」
「やったあああー! これで父親としての面目が保てるぜー!」
「父親って大変なんですね」
「まぁ、お前らが利口過ぎて手がかからないから助かるよ」
どこか異世界のお父さんも前世と同様大変そうであった。
「父さん!」
「あっ、お前達か」
ロニーはこっちに気づいて手を振っていた。
「あと少しで交代の時間になるからちょっと待ってて!」
何か用があって来たのを気づいたのだろう。俺らがロニーの仕事を見にくることなんて今までなかったからな。
しばらく待っているとロニーは他の男と嬉しそうに歩いてきた。
「あれ? お前って……」
「ああ、こいつらは新しい家族だ」
「そうかそうか! お前達ロニーをよろしく頼むな!」
男は俺達の肩を叩くと豪快に笑っていた。
「それでどうしたんだ?」
「ケントが警備団の仕事に門番の仕事があるのを知らなくて……」
ロニーは俺の方を見て笑っていた。
「ははは、そういうところもあいつとそっくりだな」
「あいつ?」
「あー、亡くなった息子もケントと同じで俺が警備団所属ってずっと知らなかったからな」
どうやら俺と亡くなった息子と似ているところがあるらしい。
「それで警備団がどうしたんだ?」
「警備の仕事を始めようかと思って――」
「おー、そうか。ロニーに似て勇敢な警備団の一員になりたいのか」
男は俺の頭を強く撫でていた。ただ、その様子を見てロニーは何か考えていた。
「それって新しい商売を始めたいってことだよな?」
「あっ、はい」
「ん? どういうことだ?」
「いや、こいつこう見えて孤児院の近くにある異世界食堂と異世界病院の設立者だぞ」
「はぁん?」
男は頭が追いついていないのだろう。確かに俺の年齢だと職業訓練中の年齢だからな。
だから冒険者も本登録ができずに冒険者見習いって感じだ。
「あの王族が御用達にしている――」
「いや、ちょっと待ってな! あそこの店の設立者でその親がお前だと……?」
「そうだな」
「うぇー!?」
そんなに驚くことなんだろうか。
「今中々店の予約が取れないって聞いて諦めてたんだ」
そのキラキラ光った目は俺に予約を取れということなんだろうか。
できる限りは考慮したいが地位関係なく入れるお店がコンセプトだから融通が利きにくい。
その意図がわかったロニーは俺の耳元で話し出した。
「どうにかすることはできないか? あの人のお陰で王都で働けるようになったんだ」
以前王都に来た時に言っていた知り合いとはこの人のことなんだろう。
「んー、中々難しいですからね」
「そうか……なら仕方ないか。俺も嫁と子どもに食べさせてあげたかったけどな」
そんなことを言われたら間接的には断っているもののすごく断りづらい。
目もさっきまでのきらきら感はなくドス黒い奈落の底みたいな瞳をしていた。
この人よっぽど奥さんと子ども達に予約しろと言われているのだろうか。
「この際ならケントが作りに行けばいいんじゃないか? その代わりにお仕事見学させて貰えばいいんだし」
ラルフの提案に男の瞳には光が灯った。
「ケント達は仕事の内容が気になって来たのか?」
「あっ、そうなんです。警備会社をやるのに仕事内容が被ってしまったらどちらにも損害がかかりますし、そもそもめんどくさいことに巻き込まれそうで……」
「あー、商業ギルドとかあるもんな」
ロニーは家を決めた時のことを思い出していた。確かに会社として設立させるなら商業ギルドを通さないといけなくなる。
異世界食堂は生誕祭の景品みたいなものから始まったからオープンできたけど、流石にもう一つは無理そうだ。
「だから異世界病院の一環として始めようかと検討はしていますね」
「そっちなら冒険者繋がりで警備という依頼になるもんな」
「それで俺の家には来てくれるのか?」
ロニーと話してて男の存在を忘れていた。この際、一回限りで行くしかないだろう。
「今回限りで――」
「やったあああー! これで父親としての面目が保てるぜー!」
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