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第一章 外れスキル
272.愛する者
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俺は目の前の光景に驚いている。以前最前線に出ていなかったから知らなかったが、あの女がマルヴェインとハワードに圧倒されていた。
「女性一人を二人で襲ってくるなんて紳士として恥ずかしくないのかしら! あなた達一国の王子達よね!」
「ケントが起きたと同時に姿を現しやがって……。お前達はもう最上位犯罪者だからな」
「えっ……」
「お前の大好きな公爵様も今はセヴィオンとカタリーナに追いかけられているぞ」
「嘘よ……絶対マーベラスは私を助けに来てくれるわ!」
あれだけ見捨てられたといいながらも、心の中ではマーベラスが助けてくれることを願っているのだろうか。
見ててどこか可哀想な人にも見えてくる。
今は反撃するわけでもなくただ逃げ回っているようにしか見えないのだ。
「マルヴェイン後は頼むなぞー」
「また押し付けやがって」
ハワードが何かの魔法を唱えると地面からは無数の鎖が出現し、女を追いかけ回した。
「あっん!?」
そのまま鎖は女を捕まえると縛り上げるように身動きを封じた。
「ここでベズギット魔法国の王族魔法か見えるとは……」
「その王族魔法はどういう魔法なの?」
「ベズギット魔法国は名前に魔法国と付くだけあって魔法に特化した国ってのは知っているよね?」
たしかこのクレイウェン王国とは異なり、魔法スキルが使えるものも多く、魔法で発展した国ということぐらいは知っている。
魔法師団にいる人達も留学して勉強するぐらいだからな。
俺達が頷くと再びガレインは話し出した。
「その頂点である王族は王族魔法という特別な魔法を使うんだ。その一つがあの"這纏う鎖"と呼ばれている魔法なんだ」
「名前と見た目が王族が使うようなスキルじゃないね……」
俺が思っていたことをラルフが代弁していた。
「それだけ魔法国も昔は争いが絶えなかったってことだよね」
貴族達に派閥があるのもこの辺が少し関係するのだろう。
「離しなさいよ!」
「お前はこのまま牢屋に連れて行くからな」
「嫌よ……私はマーベラスと――」
「ふん、本当に使えないやつだな」
「マーベラス!」
突然、空中に異次元医療鞄のような切れ目ができると、そこからは俺らの敵であるマーベラスが現れた。
「ああ……あいつら見逃したのか」
その姿を見てどこか俺の心臓はバクバクとしていた。
ケトの意志はまだなくなったわけではなかった。
「あなた……早く私を助けてちょうだい」
「……情けないな」
「えっ……」
「なぜ私はこんな情けないな女を愛していたのだろうか!」
マーベラスの声は心の中に響くように広がっていた。
ここから逃げないと……。
どこか俺の中で危険信号が鳴り響いていた。
「どういうこと……私をこんな姿にして……」
たしかにアスクリス公爵家夫人は、この間パーティーで見た時より、肌や髪は荒れてみすぼらしい姿をしていた。
「俺にはもうあいつがいるからな」
「うっ……」
俺の嫌な予感は的中した。首元から強く押さえつけられる痛みに立っているのもやっとだ。
「ケント!」
「ラルフどうにかならない?」
ラルフの瞳の色は変わり、きっと俺のことをスキルで探っているのだろう。
「オラじゃわからないけど、魔力があいつに吸われているぞ」
ああ、苦しい。
今にも自分の首を引き抜きたい。
早く楽になりたい……。
「なんで私じゃないの……」
「そんなに愛してほしいならしてやるよ」
アスクリス公爵の言葉に視線を集めた。
するとどことなく息苦しさはなくなった。
公爵は夫人に近づくと口付けをした。その時間が短いのか、長いのかもその時はわからなかった。
みるみると見た目が変わる姿に俺達はただ見ているだけしかできなかったのだ。
「ただ愛していただけなのに……」
その場の衝撃に夫人の声は小さく漏れるが、誰の耳にも届くことはなかった。
「女性一人を二人で襲ってくるなんて紳士として恥ずかしくないのかしら! あなた達一国の王子達よね!」
「ケントが起きたと同時に姿を現しやがって……。お前達はもう最上位犯罪者だからな」
「えっ……」
「お前の大好きな公爵様も今はセヴィオンとカタリーナに追いかけられているぞ」
「嘘よ……絶対マーベラスは私を助けに来てくれるわ!」
あれだけ見捨てられたといいながらも、心の中ではマーベラスが助けてくれることを願っているのだろうか。
見ててどこか可哀想な人にも見えてくる。
今は反撃するわけでもなくただ逃げ回っているようにしか見えないのだ。
「マルヴェイン後は頼むなぞー」
「また押し付けやがって」
ハワードが何かの魔法を唱えると地面からは無数の鎖が出現し、女を追いかけ回した。
「あっん!?」
そのまま鎖は女を捕まえると縛り上げるように身動きを封じた。
「ここでベズギット魔法国の王族魔法か見えるとは……」
「その王族魔法はどういう魔法なの?」
「ベズギット魔法国は名前に魔法国と付くだけあって魔法に特化した国ってのは知っているよね?」
たしかこのクレイウェン王国とは異なり、魔法スキルが使えるものも多く、魔法で発展した国ということぐらいは知っている。
魔法師団にいる人達も留学して勉強するぐらいだからな。
俺達が頷くと再びガレインは話し出した。
「その頂点である王族は王族魔法という特別な魔法を使うんだ。その一つがあの"這纏う鎖"と呼ばれている魔法なんだ」
「名前と見た目が王族が使うようなスキルじゃないね……」
俺が思っていたことをラルフが代弁していた。
「それだけ魔法国も昔は争いが絶えなかったってことだよね」
貴族達に派閥があるのもこの辺が少し関係するのだろう。
「離しなさいよ!」
「お前はこのまま牢屋に連れて行くからな」
「嫌よ……私はマーベラスと――」
「ふん、本当に使えないやつだな」
「マーベラス!」
突然、空中に異次元医療鞄のような切れ目ができると、そこからは俺らの敵であるマーベラスが現れた。
「ああ……あいつら見逃したのか」
その姿を見てどこか俺の心臓はバクバクとしていた。
ケトの意志はまだなくなったわけではなかった。
「あなた……早く私を助けてちょうだい」
「……情けないな」
「えっ……」
「なぜ私はこんな情けないな女を愛していたのだろうか!」
マーベラスの声は心の中に響くように広がっていた。
ここから逃げないと……。
どこか俺の中で危険信号が鳴り響いていた。
「どういうこと……私をこんな姿にして……」
たしかにアスクリス公爵家夫人は、この間パーティーで見た時より、肌や髪は荒れてみすぼらしい姿をしていた。
「俺にはもうあいつがいるからな」
「うっ……」
俺の嫌な予感は的中した。首元から強く押さえつけられる痛みに立っているのもやっとだ。
「ケント!」
「ラルフどうにかならない?」
ラルフの瞳の色は変わり、きっと俺のことをスキルで探っているのだろう。
「オラじゃわからないけど、魔力があいつに吸われているぞ」
ああ、苦しい。
今にも自分の首を引き抜きたい。
早く楽になりたい……。
「なんで私じゃないの……」
「そんなに愛してほしいならしてやるよ」
アスクリス公爵の言葉に視線を集めた。
するとどことなく息苦しさはなくなった。
公爵は夫人に近づくと口付けをした。その時間が短いのか、長いのかもその時はわからなかった。
みるみると見た目が変わる姿に俺達はただ見ているだけしかできなかったのだ。
「ただ愛していただけなのに……」
その場の衝撃に夫人の声は小さく漏れるが、誰の耳にも届くことはなかった。
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