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第一章 外れスキル

274.俺達の決断

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「どういうことだ? 力が戻ったの?」

「今回だけはお前達の力になってやるからな! こいつにも言っておけよ」

「へっ?」

 ラルフは驚いた表情で聞いてくるが、俺もなんて答えればいいのかはわからない。

「力は……どうやら使えるみたい」

 試しに異次元医療鞄を発動すると使うことができた。

  ただ、魔力の消費量が激しいのは首輪から伝わる継続的に魔力が吸収されているからだろう。

 俺は自分の首を触りスキルを発動させた。

――カラン

 取れた首輪は異次元医療鞄に入る前に俺の手から落ちた。

「おい、ケントに戻ったのか?」

 そんな様子を見ていたラルフは戸惑っていた。

「それはひどいな。どっちも俺だよ」

「あっ、そうだったね。でもさっき力を貸すのは今回だけと言っていたぞ」

「ははは、俺は嫌われちゃったからな」

 首輪が消えた女は小さく息をしていた。それでもあと少しで命が尽きるのは目に見えてわかっていた。

「今回はお前の力だけじゃ助からないからな俺の力と貸してやるよ」

 俺は両手を女に近づけるとスキルを発動させた。

「魔力が二つある?」

 俺の手からは片手ずつ違う魔力が流れていた。

 一つはケトのスキル【理学療法】による治癒効果。

 そして、もう一つは相澤健斗のスキル【魔力療法】による治癒効果だ。

「おおおお!」

 しばらくすると女の呼吸は深くなった。

 ラルフの目から見ても状態が良くなったのか、俺と女を交互に見ていた。

「やっぱり規格外は私じゃない気がするよ」

「こんな姿を見せられたらオラも頑張らないといけないって思うよ」

「いや、スキルを使えるのは今のうちだからね」

 俺の中でもスキル【理学療法】が使えるのは今回だけのような気がした。

「お前ら今すぐ逃げろ!」

 突然の声に俺達が視線を向けると、公爵が勢いよく近づいてきていた。

「私の邪魔をするのはお前らだったのか! 何度も何度も俺の魔力供給の邪魔をしやがって!」

 きっと強制進化の首輪を使って魔力を吸収していたのだろう。

「今すぐ全力でケント達を守れ!」

 公爵を追いかけるようにマルヴェインとセヴィオンは飛び込み、ハワードとカタリーナは呪文を唱えた。

 それでも俺達は間に合わないと感じた。

 亡き冒険者クロスのため、そして外れスキルの子ども達のために戦ってきた俺。

 亡き家族のため、そしてスラム街の人達のために戦ってからラルフ。

 この国の民のため、そして自分自身のために戦ってきたガレイン。

 俺達はいつも一緒だった。

 あの時の決断はこの時のためにしたのだ。

「いくぞ!」

「おう!」

 俺達は武器を構えると公爵に向かって飛び込んだ。
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