突然ですが、侯爵令息から婚約破棄された私は、皇太子殿下の求婚を受けることにしました!

星ふくろう

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第一章 婚約破棄と新たなる幸せ

第十三話 天空の大公令嬢

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 私は自分の大事なものを汚されて黙っているほど、お人よしではないのでな。

 そう、殿下はおっしゃり、はた、と気づかれたように言われます。

「あ、いや。

 もの、と言うのは言葉の、あやだ。

 大事な女性、というべきだった」

「いいえ、殿下。

 女は家に属するもの。

 殿下の良いように、お使いくださいませ」

 と、わたしは一礼します。

 しかし、それ以外の会話を聞いていても、お二人にはまるで身分がないようなご様子で話されます。

 これは、とてもとても不可思議な光景でした。

 どうやら、ルサージュ侯はそれに気づかれたご様子。

「殿下とは、先ほども申し上げましたが、もう腐れ縁でして‥‥‥。

 なんど、心を砕いてきたことか」

「は、はあ‥‥‥」

 どうやら、殿下は思ったよりも破天荒なご性格のご様子。

 ルサージュ侯はその補佐に大層、苦労なさったのかもしれません。

「おいおい、シェイルズ。

 それはないだろうーー。まあ、今回のようなことはもうないようには、したい‥‥‥」

「当たり前だ!

 尻拭いをする俺の身にもなれ! イズバイア」

 そのお二人の仲が本当に羨ましい。

 微笑んでみているわたしを見て、御二方は冷静に戻られたよう。

「はあ……それでだ。

 場内各所に、うちの連中の配置は終わった。

 あちらの王族諸侯はーー」

「余興の範囲では収まらぬ、とは言われなかったか?」

「難しいな。

 イズバイア、お前が上で先に話を、まとめてしまったからだ」

 それは失敗だったな、と殿下は頭に手をやられます。

「ユニス様がここから身を投じられ、イズバイアがそれを助けに行く。

 そういう構図は、あまりにも演技がかっているからな」

 まあ、そうだろうな、と殿下は悩まし気におっしゃいます。

「しかし、銀鎖の闇はあの三角州。

 ブルングト島に一部、その領地をもっていたはずだ。

 それをーー」

 と、わたしを見られる殿下。

「輿入れの資金に頂戴するのは、悪くない」

 輿入れの資金?

 殿下、何をなさりたいのですか?

「で、シェイルズ。

 このテラスの光景はーー」

 テラスの光景?

「あちら側からは、お前がユニス様に膝をついて求婚したまま。

 そう見えるようにはしてある」

 光景を見えるようにしてある?

 いまのわたしたちは、あちらからは見えてはいないーー???

 そして、殿下はわたしにそっと手を伸ばして言われました。

「では、ユニス。

 魔法というものをご存知かな?

 まあ、魔導というべきかもしれんが」

「はい、殿下。

 使えはしませんが、聞き及んではおります」

 と、わたしが乏しい知識から返事をするとーー

「なかには、天空を舞う魔導もあってな。

 それを今回は使おうと思う」

 --???

 わたしにはなにを言われているのか、まったくわかりませんでした。

「では、ユニス。

 私を信じて頂けるかな?」

 信じる?

 何を???

 でも、返事はたった一つです。

「それはーー

 はい、殿下」

 その返事を待っていたように殿下は、微笑まれます。

 あの時と同じように。

 第二幕を開けようと宣言された、あの時のような不敵な笑みをーー

「では、我が将来の妻たる姫君よ。

 すまん。

 まずは、天を舞って頂けるかな?」

 天を舞うーー????

 その言葉が言い終わらぬうちに、ルサージュ侯が何かを唱え、わたしは緑色の何か。

 大きな力に包まれて。

 殿下に抱き上げられたと思うとーー

 テラスからはるか下の大河へと、放り出されていたのでしたーー
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