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第三章 開戦の幕開け
第五十八話 苦労する従者たち
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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ユニス視点)
「しかし、意外ですな姫様」
シェス大河の支流を行く船上でそう声を上げたのはアーベル商会のエド・アーベル船長。
その手には、前回約束した公用商人の認可書類がありました。
もちろん、我がハーベスト大公家の認可書類だけではありません。
今回は城塞都市ラズまでの航海ということもあるので、義父上様に無理をお願いしました。
「まさか、帝室の公用商人の認可を頂けるとは。
もう数か月か、数年先と思っておりました。
それもあのシェス大河の上流域だけではなく、城塞都市ラズまでの支流、外洋域の認可とか。
これは格別すぎではありませんか?」
「そうですか?
わたしは皇妃になった際にはその程度のお礼は当たり前と思っていましたが?」
呆れたような驚いたような顔をするばかりの船長。
何やら悩まれていた様子でしたが、思い切って言うことにしたらしく、船長室へと案内されました。
無論、二人だけでです。
「姫様。
いえ、公女殿下。わたしもこの商売を始めてもうすぐ三十年になります。
おかげさまで、商売も手広く、船だけでも30隻近くを年間で運行させて頂いております。
その経験から言いますと、ここまでの厚遇はよかった試しがありません。
だいたいは、何か。あるものです。ただーー」
「ただ、なんでしょう。船長」
ふーむ、と彼は言い、どう告げたものか。
迷っている様子。
「公女殿下、わたしは前回のあなた様の行いを見てこの賭けといえば変ですが。
ご提案を受けさせて頂きました。商人というのは、過分な返礼は期待しないものです。
欲目を狙うよりも、互いに信用の年数を重ねていざというときのために少しずつ利益を重ねる。
それが商売です」
「なるほど。それが船長の家訓なわけですね?」
「ええ、まあそうとも言えますね。
で、これですが。まあ、ラズまでの支流域はあくまで仮の臨時、としてならば分かります。
ですが、外洋域、それも大公家ではなく帝国正規のもの。
これは、正直、困るのです」
「商売繁盛となるのに、それが困るのですか?」
「いえ、姫様。商売には資金が要ります。
今月までは普通、翌月からいきなり数倍に売れた。その品物の仕入れ代金の支払いの方がですね。
売上金の入金よりも先に来るとしたら、我が商店は黒字のまま、信用を失って閉店となります。
仕入れ代金が払えない。そういう理由ですね」
なるほど。商売の基本がそれであれば、一気に商圏拡大は難しい。
船長の話の意味は理解出来ました。
「でしたら、その拡大を待てばよいのでは、船長?」
「姫様。いまは三国間が大きく動く時です。
積荷が大きく動く時でもあります。つまり、儲けることができる。
それも莫大にです。この機会を放る商人はいません。それもこんなお墨付きまで頂いたら。
冒険もしたくなるものです」
「つまり、船はあるが資金が足りない。
そうおっしゃってるのですか?」
いいえ、船長は首を振ります。
「いざとなればそれくらいはどうにでもなります。
問題は、姫様。引いては帝国。いえ、帝室がなにを望まれているか。
お帰りは、外洋域を帰られるおつもりではありませんか?」
「あら、どうしてそう思うのですか?」
「姫様。この支流は北の大公領も通過しますよ?
お帰りの際、殿下もご一緒なのでは?
本当に、二つの大公家が帝室と重なることを、北がよく思うでしょうか?
何より、この旅自体が、ラズまで。
高家との繋がりの縁なども気になりますな」
「船長、どこまで考えていらっしゃいますか?
それも商人として、心と建前とあることはわかりますが」
あなたは恐い御方だ。
そう船長は呟き、誰かを呼びました。
「帝室旗を降ろし、ハーベスト大公家の旗に差し替えろ、すぐにだ」
「船長?」
「姫様。
誰を載せ、どう動くかまでは聞きません。
ただ、わたしはあなたに大きな借りと言いますか。
これほどの宝物は、我が家を大きく長く商人として続ける礎になるものです。
北そして東の大公家は、南と西が強くなり、しかもハーベスト大公家と姫様の御実家。
もうすぐ隣ではないですか。
シェス大河の交易権を独占したも同じこと。
ここは無用な争いの種は消しておくべきです。
もし問われても、私はこの公用商人の認可書類は見せません。
いまはただ、御用船。ハーベスト大公家に船ごとお貸ししている。
それだけに留めておきましょう」
「ではわたしの実家の公用商人の認可書類もあれば、もっと仲良くなれますね、船長?」
ついつい意地悪を言ってしまいました。
「姫様。それはもう勘弁して下さい。で、まだ積荷が足りないのではありませんか?」
「積荷???」
これはわたしがわかりませんでした。
船長は帝室の書類を見せて下さいます。
「運ぶのがなんであれ、これを活かすのであれば。
近衛兵の方々のご協力が無ければ苦しい時もあるのでは?
帰路には東の大公家もあり、2つの高家もあります。
旗だけでは、足りない時もありますよ? 殿下が仮にご乗船されたとしても。
闇の牙の騎士団は、あくまで地域管轄。帝室の配下ではありません」
「あら。これは不思議ですね、船長」
「何がでしょう?」
「まるで、船長がわたしのように見えましたよ、今。
船長とは長いお付き合いをしたいものです」
これには船長自身が驚いたのか呆れたのか。
もう、姫様と呼ぶよりは御主人様と呼びたいですな。
そう嫌味を言われてしまいました。
「ところで、船長。質問があるのですが」
「まだ、何か隠しごとですか、姫様?
もうすべて明かす仲にでもなりたい気分ですよ。まったく」
汗を拭きだす船長。
わたしはそんなに殿方を困らすようなことを言っているのでしょうか?
「30隻の船を運行と言われていましたが、もちろん、商船だけではありませんよね?
商会独自の軍船もしくは護衛船はどれほどありますか?
もちろん、外洋域を行き来できる船です」
この質問には船長も踏み込んではいけないところに踏み込んだ。
そんな顔をなさっていました。
「義父上様。つまり、ハーベスト大公はわたしが、もし、連邦や王国と大公家軍を動かしても。
もう、驚くことはない。そう言われていました。昨夜の話ですが」
わたしとしては少し微笑んだつもりなのですが。
数年後に船長からこんなことを言われました。
あなたはあの時、まるで悪魔のように微笑まれていましたよ、と。
「動かすのであれば、帝国正規の水軍は20隻で1師団ですが。
わたしは60隻は用意できますよ。資金があれば、ですが。
まあ、中身は傭兵やもと海賊なんかもおりますが。実戦という意味ではひけを取らないと思います」
「1師団というと、城塞都市が抱える船舶の何割ですか?」
「約半分ですな、姫様。それも、基本的には王国側の設計ですが。
戦艦規模の物を用意はできます。だいたい、商船1隻につき、護衛船が3隻は要りますからな」
「なら、最大90隻は可能ですね?」
もう勘弁して欲しい。そんな顔で船長はわたしを見られます。
「本気で戦争を始める気ですか、姫様。
ハーベスト大公家とエシャーナ侯家の連合軍を?
陸で大公家6万。エシャーナ侯家は御当主が青き狼の主力を呼び出されたとか。
まさか、姫様‥‥‥」
「なんでしょう、船長?」
「帝国側と事を構えるおつもりですか?」
まさか。そんなことはしません。
この時はそう否定しました。
あるとすれば、王国側の海軍があの三角洲を拠点にすること。
それが問題だと、そう話しました。
「しかし、あの三角洲は三国で管理する。
そういう噂ですが?」
「帝国側の西側。
そこに、わたしが婚約破棄を受ける際のお詫びとして、一部、王国領を割譲して頂いています。
我が大公家領のすぐそばですね。なかなか、王国領土であった際は、義父上様の悩みの種だったとか」
船長は黙り込んでしまいました。
考え、ヒゲを撫で、また考え。
ため息が最後に出ました。
「姫様。
質問ですが、その発言といい、この許可証といい。
わたしの商店の規模をあらかじめ調べてからのご提案、ですか?」
もしそうであれば、これはかなり計画的なものになる。
自分の不利になる。
そう思われたのでしょう。
「いいえ、船長。
でも、船長なら信頼できる。そうは思っています」
「たった一回のお付き合いでですか!?」
「だって船長。
前回のあの時。あんな冒険をするよりも検閲でもしわたしを渡した方が、王国側に貸しが作れる。
普通ならそうしませんか? わたしがもし、船長ならそうしたかもしれません。
もしくは、抜け目ない商人なら、通過後に捕まった。
そういい、二重に利益を得るでしょう。でもそれをしなかった。
あの時点での提案は、すべて船長に一任したつもりでした。
それに、公用商人の認可書類が欲しいがハーベスト大公家領内に商店があるから手に入らない。
でも、船長の提案は運河の下流域から上流域まででした。
ということは、既に他の大公家などの公用商人の認可書類はあるはず。
でも、我が家のがない。では、帝室の物は。
それもないだろう。そう思って用意しました。これでどこでも商売ができますね?」
「既にほぼ見抜かれていた、そう思っておりますよ。
お願いですから、商人にはならないでくださいよ、姫様。
もう、とんでもない御方ですよ、あなたは。しかし、三角洲の話はなぜ?」
ああ、それなら。
わたしは何気なく伝えました。
「もうわたしの領地ですので。
港の整備と、鉱石の採掘権を委任します」
それから一時間ほど、船長からは口を効いてもらえませんでした。
悲しいことです。
その後、船長からの提案も考え。
従僕のアルフレッドに近衛兵の乗船依頼を義父上様に伝えてさせました。
これには義父上様も呆れていたご様子。
「姫様。宰相閣下からロゼにて小隊と合流できるようにすると。
お返事がありました。ああ、ただーー」
「なあに、アルフレッド?」
彼は不思議そうな顔をして言いました。
「とても困ったような、何か先を読まれた時にするような仕草でしたね?
なんででしょう?」
と。
船はあと数日でラズ高家へと着くことになります。
船長は数時間してようやく、もう、本題から始めて下さい。
と、義父上様が陛下に言われているようなことを言われました。
不思議なものです‥‥‥?
(ユニス視点)
「しかし、意外ですな姫様」
シェス大河の支流を行く船上でそう声を上げたのはアーベル商会のエド・アーベル船長。
その手には、前回約束した公用商人の認可書類がありました。
もちろん、我がハーベスト大公家の認可書類だけではありません。
今回は城塞都市ラズまでの航海ということもあるので、義父上様に無理をお願いしました。
「まさか、帝室の公用商人の認可を頂けるとは。
もう数か月か、数年先と思っておりました。
それもあのシェス大河の上流域だけではなく、城塞都市ラズまでの支流、外洋域の認可とか。
これは格別すぎではありませんか?」
「そうですか?
わたしは皇妃になった際にはその程度のお礼は当たり前と思っていましたが?」
呆れたような驚いたような顔をするばかりの船長。
何やら悩まれていた様子でしたが、思い切って言うことにしたらしく、船長室へと案内されました。
無論、二人だけでです。
「姫様。
いえ、公女殿下。わたしもこの商売を始めてもうすぐ三十年になります。
おかげさまで、商売も手広く、船だけでも30隻近くを年間で運行させて頂いております。
その経験から言いますと、ここまでの厚遇はよかった試しがありません。
だいたいは、何か。あるものです。ただーー」
「ただ、なんでしょう。船長」
ふーむ、と彼は言い、どう告げたものか。
迷っている様子。
「公女殿下、わたしは前回のあなた様の行いを見てこの賭けといえば変ですが。
ご提案を受けさせて頂きました。商人というのは、過分な返礼は期待しないものです。
欲目を狙うよりも、互いに信用の年数を重ねていざというときのために少しずつ利益を重ねる。
それが商売です」
「なるほど。それが船長の家訓なわけですね?」
「ええ、まあそうとも言えますね。
で、これですが。まあ、ラズまでの支流域はあくまで仮の臨時、としてならば分かります。
ですが、外洋域、それも大公家ではなく帝国正規のもの。
これは、正直、困るのです」
「商売繁盛となるのに、それが困るのですか?」
「いえ、姫様。商売には資金が要ります。
今月までは普通、翌月からいきなり数倍に売れた。その品物の仕入れ代金の支払いの方がですね。
売上金の入金よりも先に来るとしたら、我が商店は黒字のまま、信用を失って閉店となります。
仕入れ代金が払えない。そういう理由ですね」
なるほど。商売の基本がそれであれば、一気に商圏拡大は難しい。
船長の話の意味は理解出来ました。
「でしたら、その拡大を待てばよいのでは、船長?」
「姫様。いまは三国間が大きく動く時です。
積荷が大きく動く時でもあります。つまり、儲けることができる。
それも莫大にです。この機会を放る商人はいません。それもこんなお墨付きまで頂いたら。
冒険もしたくなるものです」
「つまり、船はあるが資金が足りない。
そうおっしゃってるのですか?」
いいえ、船長は首を振ります。
「いざとなればそれくらいはどうにでもなります。
問題は、姫様。引いては帝国。いえ、帝室がなにを望まれているか。
お帰りは、外洋域を帰られるおつもりではありませんか?」
「あら、どうしてそう思うのですか?」
「姫様。この支流は北の大公領も通過しますよ?
お帰りの際、殿下もご一緒なのでは?
本当に、二つの大公家が帝室と重なることを、北がよく思うでしょうか?
何より、この旅自体が、ラズまで。
高家との繋がりの縁なども気になりますな」
「船長、どこまで考えていらっしゃいますか?
それも商人として、心と建前とあることはわかりますが」
あなたは恐い御方だ。
そう船長は呟き、誰かを呼びました。
「帝室旗を降ろし、ハーベスト大公家の旗に差し替えろ、すぐにだ」
「船長?」
「姫様。
誰を載せ、どう動くかまでは聞きません。
ただ、わたしはあなたに大きな借りと言いますか。
これほどの宝物は、我が家を大きく長く商人として続ける礎になるものです。
北そして東の大公家は、南と西が強くなり、しかもハーベスト大公家と姫様の御実家。
もうすぐ隣ではないですか。
シェス大河の交易権を独占したも同じこと。
ここは無用な争いの種は消しておくべきです。
もし問われても、私はこの公用商人の認可書類は見せません。
いまはただ、御用船。ハーベスト大公家に船ごとお貸ししている。
それだけに留めておきましょう」
「ではわたしの実家の公用商人の認可書類もあれば、もっと仲良くなれますね、船長?」
ついつい意地悪を言ってしまいました。
「姫様。それはもう勘弁して下さい。で、まだ積荷が足りないのではありませんか?」
「積荷???」
これはわたしがわかりませんでした。
船長は帝室の書類を見せて下さいます。
「運ぶのがなんであれ、これを活かすのであれば。
近衛兵の方々のご協力が無ければ苦しい時もあるのでは?
帰路には東の大公家もあり、2つの高家もあります。
旗だけでは、足りない時もありますよ? 殿下が仮にご乗船されたとしても。
闇の牙の騎士団は、あくまで地域管轄。帝室の配下ではありません」
「あら。これは不思議ですね、船長」
「何がでしょう?」
「まるで、船長がわたしのように見えましたよ、今。
船長とは長いお付き合いをしたいものです」
これには船長自身が驚いたのか呆れたのか。
もう、姫様と呼ぶよりは御主人様と呼びたいですな。
そう嫌味を言われてしまいました。
「ところで、船長。質問があるのですが」
「まだ、何か隠しごとですか、姫様?
もうすべて明かす仲にでもなりたい気分ですよ。まったく」
汗を拭きだす船長。
わたしはそんなに殿方を困らすようなことを言っているのでしょうか?
「30隻の船を運行と言われていましたが、もちろん、商船だけではありませんよね?
商会独自の軍船もしくは護衛船はどれほどありますか?
もちろん、外洋域を行き来できる船です」
この質問には船長も踏み込んではいけないところに踏み込んだ。
そんな顔をなさっていました。
「義父上様。つまり、ハーベスト大公はわたしが、もし、連邦や王国と大公家軍を動かしても。
もう、驚くことはない。そう言われていました。昨夜の話ですが」
わたしとしては少し微笑んだつもりなのですが。
数年後に船長からこんなことを言われました。
あなたはあの時、まるで悪魔のように微笑まれていましたよ、と。
「動かすのであれば、帝国正規の水軍は20隻で1師団ですが。
わたしは60隻は用意できますよ。資金があれば、ですが。
まあ、中身は傭兵やもと海賊なんかもおりますが。実戦という意味ではひけを取らないと思います」
「1師団というと、城塞都市が抱える船舶の何割ですか?」
「約半分ですな、姫様。それも、基本的には王国側の設計ですが。
戦艦規模の物を用意はできます。だいたい、商船1隻につき、護衛船が3隻は要りますからな」
「なら、最大90隻は可能ですね?」
もう勘弁して欲しい。そんな顔で船長はわたしを見られます。
「本気で戦争を始める気ですか、姫様。
ハーベスト大公家とエシャーナ侯家の連合軍を?
陸で大公家6万。エシャーナ侯家は御当主が青き狼の主力を呼び出されたとか。
まさか、姫様‥‥‥」
「なんでしょう、船長?」
「帝国側と事を構えるおつもりですか?」
まさか。そんなことはしません。
この時はそう否定しました。
あるとすれば、王国側の海軍があの三角洲を拠点にすること。
それが問題だと、そう話しました。
「しかし、あの三角洲は三国で管理する。
そういう噂ですが?」
「帝国側の西側。
そこに、わたしが婚約破棄を受ける際のお詫びとして、一部、王国領を割譲して頂いています。
我が大公家領のすぐそばですね。なかなか、王国領土であった際は、義父上様の悩みの種だったとか」
船長は黙り込んでしまいました。
考え、ヒゲを撫で、また考え。
ため息が最後に出ました。
「姫様。
質問ですが、その発言といい、この許可証といい。
わたしの商店の規模をあらかじめ調べてからのご提案、ですか?」
もしそうであれば、これはかなり計画的なものになる。
自分の不利になる。
そう思われたのでしょう。
「いいえ、船長。
でも、船長なら信頼できる。そうは思っています」
「たった一回のお付き合いでですか!?」
「だって船長。
前回のあの時。あんな冒険をするよりも検閲でもしわたしを渡した方が、王国側に貸しが作れる。
普通ならそうしませんか? わたしがもし、船長ならそうしたかもしれません。
もしくは、抜け目ない商人なら、通過後に捕まった。
そういい、二重に利益を得るでしょう。でもそれをしなかった。
あの時点での提案は、すべて船長に一任したつもりでした。
それに、公用商人の認可書類が欲しいがハーベスト大公家領内に商店があるから手に入らない。
でも、船長の提案は運河の下流域から上流域まででした。
ということは、既に他の大公家などの公用商人の認可書類はあるはず。
でも、我が家のがない。では、帝室の物は。
それもないだろう。そう思って用意しました。これでどこでも商売ができますね?」
「既にほぼ見抜かれていた、そう思っておりますよ。
お願いですから、商人にはならないでくださいよ、姫様。
もう、とんでもない御方ですよ、あなたは。しかし、三角洲の話はなぜ?」
ああ、それなら。
わたしは何気なく伝えました。
「もうわたしの領地ですので。
港の整備と、鉱石の採掘権を委任します」
それから一時間ほど、船長からは口を効いてもらえませんでした。
悲しいことです。
その後、船長からの提案も考え。
従僕のアルフレッドに近衛兵の乗船依頼を義父上様に伝えてさせました。
これには義父上様も呆れていたご様子。
「姫様。宰相閣下からロゼにて小隊と合流できるようにすると。
お返事がありました。ああ、ただーー」
「なあに、アルフレッド?」
彼は不思議そうな顔をして言いました。
「とても困ったような、何か先を読まれた時にするような仕草でしたね?
なんででしょう?」
と。
船はあと数日でラズ高家へと着くことになります。
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