今世は『私の理想』の容姿らしいけど‥到底認められないんです! 

文月

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今世は『私の理想』の容姿らしいけど‥到底認められないんです! 

控えめに言って‥「イケメンパラダイス‥(感涙)」 sideハヅキ

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 待機中は訓練所で騎士団の練習を見学させてもらう。怪我人が出たらその場で対処するためだ。
 自己紹介の後、団長あたしに医務室の場所を教えてくれたが、「ここを使うのは、よっぽど大きな怪我をした時ぐらいで、小さな怪我程度であったら訓練所でチャチャッと処置してくれたらいい」って言って救急箱にちゃちゃっと包帯などを詰めてあたしに渡してくれた。あたしが首を傾げると、「騎士と二人きりにならないためだ」と言葉少なく説明された。
 ああ、なるほどそういうことか。
 ① 医務室にあたしがいれば、② 医務室に患者として騎士が来る。③ 患者とあたしの二人きりの状態になる。それがマズいってことだ。まあ、何も起こらないだろうがもしものことがあったら対処できない。それが困る。
 もしもの時って普通だったら身バレしてあたしの身に危険が及ぶことだけど‥それ以上に‥多分団長はあたしをそんなに信用してない。「お前が変なことしない様に見張ってるぞ」って意味だろう。あと‥あたしが「騎士さんに襲われた! とか変な言いがかりつけない様に」って意味かも‥だけど、そこまでは考えすぎだろう(と思いたい。だってさ~。そうだとしたら‥どんだけあたしのこと嫌ってんだって話じゃない?? 悲し過ぎるよっ!! )もし、医務室に行くような大怪我をしたら、団長が付き添って傍で監視する位しそうだ。
 あたしの目的を果たす前に‥まずは皆に信用されたいなあ。特に団長にはね。
 その為にはあたしの腕を実際に見てもらうしかないんだけど、人の怪我を待ち望むのってどうだろう。

 って思ったけど、騎士団員はやたらに怪我をする。
 そりゃ、するよね。だって、戦闘訓練をしてるんだから。怪我を恐れてたら練習にならないよね。特にここは他の騎士団より戦場に行く確率が高い騎士団だしね。
 だから‥命がけで訓練だ。実戦で死なない様に。
 前世チラッと見たことがあるような素振り練習じゃない。実際に騎士同士での対面練習(っていうのかは知らんが試合みたいに対戦(?)してた)が主だ。その際、練習用の木刀で打ち込まれて打撲、吹っ飛ばされて擦り傷、その後流血。
 救急箱を片手に立ち上がろうとしたあたしを団長さんが首を振って無言で止めた。
「大丈夫だ。あれくらい」
 擦り傷はスルー。打ち身もスルー。そのほとんどが、「このくらいの怪我舐めてりゃ治る」で済まされてしまう。
「いちいち手を止めるのは時間の無駄だろ」
 ってあたしの方み見ずに言った。これはイジワルじゃない。団員の練習から目を離したくないからだ。
 結局今日のあたしの仕事は、流血が酷い団員に対して「ちゃっちゃと止血してやってくれ」くらいだった。目の上を切った団員は流石に「すぐ治療してあげて」って言われたけど。

 さて、騎士団の練習だが、控えめに言って‥鼻血ものだった。
「見て面白いもんじゃないがな」
 って団長が言ったのは、練習内容の話ではない。「この騎士団だから」って話だ。それは騎士団のメンバーの顔のせいもあると思うが、それよりなにより団員の身体つきのことだろう。この世界は「アンチ筋肉」だから。
 あたしは違う。
 筋肉最高。 
 盛り上がる筋肉、光る汗、真剣な眼差し。
 最高だ。もう、感涙だ。目が離せない。きっとこの世界の一般的な女子たちだったら「まあ‥野蛮ね‥」「あの腕見て‥怖いわ‥」「暑苦しい‥」とかいうのだろう。‥って位の認識だったのだが、後からオズワルドさんに聞いたんだが、「それどころか「気分が悪い‥」って顔を真っ青にして‥失神しちゃったりする」らしい。
 ‥そんなこと、ある??
 あたしがそんなことになるっていったら、例えば‥そうだなあ‥石を持ち上げた下にナメクジが大量にいたのを見た時‥とか? だけど、それでも悲鳴を上げちゃう位で失神はしないぞ。何かを見て失神するって感覚は‥わからんなあ。
 うん。分からんのは仕方がない。「そういう人たちもいるんだね~」って理解する位でいっか。そういう世界なんだ。もう、それはどうしょうもない。
 とにかく、だ。
 今は目の前のパラダイスを堪能しよう!!
 この騎士団はこの世界的には醜男って言われてる人たちが多い。まず、皆が出来ない様な危険な仕事を請け負えるってことはつまり、「皆と違って筋肉がある」ってことで、この地点で皆的にはNOサンキュー、あたし的にはwelcomeってわけだ。それなら顔は関係ないだろ~ってところなんだけど、この世界の人たち「凛々しい顔」も苦手と来た。(どれ程平和ボケした人たちなんだ!! )あたしは、それもwelcome。凛々しい眉、鋭い眼光大歓迎。引き締まったフェイスライン、最高じゃないか。これらは性格や生活習慣の末に勝ち取ったものだ。生まれ持った顔つきってのもあるだろうが、筋肉質であることで自ずと「そうなりがち」になる。私にとっては優し気でほんわかした顔より、「その方が好ましい」ってだけで、別にこの国の人たちの趣味を否定する気はない。あくまでも、あたし的にはって話だ。
 ここはそんな「あたし的にはイケメン♡」が多いってわけだ。イケメンパラダイスだ。ありがとうございます。
 その中でも勿論「オズワルドさんが一番!! 」なのは勿論のことなのだが!!
 元からの美貌プラス、性格、生活環境によって研ぎ澄まされた凛々しさ‥その結果が、今のオズワルドさんなんだ。最高だ‥っ!!
 うう‥ホント、オズワルドさん最高。普段の爽やな微笑もいいけど、真剣な顔と、素晴らしい動き‥もう、一生ついて行きます!! ついて行かせてください!!
 はあ‥カッコイイ。ホント。
 勿論専門外だからそんなに分かってないんだけど、オズワルドさんはきっと「戦闘のセンス」がいんだと思う。反射神経で即座に攻撃をかわし、そのまま流れる様な動作で攻撃をして、見事に相手を負かす‥とかあたしにはとてもじゃないけどできそうにない。他の団員を見ていても、避けて、体勢を整えて、攻撃って人たちもちらほらいる。(で、団長さんたちに「遅い! 」って怒鳴られてる)それはつまり、誰でも出来ることじゃないってことなんじゃない?? 
 イケメンな上に戦闘のセンスがある。‥どこまでも最高。 
 (あたしのことをとにかく嫌っているらしい)団長も、ワイルド系イケメンだ。イケメンってか‥イケオジ? シブいいぶし銀って感じ。硬い短髪の黒髪に白髪が混じってるのがまたセクシー。冷たそうな切れ長の目の色がシルバーなのもカッコイイ。切れ長なんだけど、この世界的にカッコイイと言われる基準よりは若干大きめ感じで、ちょっと尖り過ぎてるって感じ(この頃この世界の基準が分かってきたんだ)だからこの世界的には受けはよくないだろう
。なんといっても、この世界的には「線に見える」「涼し気な目」がbestだから。
 この世界の評価表(研究によって作り出した。メイドさんたちにも見てもらって合格を勝ち取った)で評価すると‥
 引き締まったフェイスライン(評価低め)
 鋭い切れ長の目(評価中。細目は高評価だが眼光が鋭い点でマイナス)
 凛々しい眉、薄い唇、鼻筋の通った高い鼻(評価超低め)
 となるのだろう。(ホント、この世界の人間の趣味は分からん)
 オラオラ系じゃ全然ないし、短気でこっちの話とか全然聞かない荒くれ‥とかじゃ全然ない。愛想よくないせいで誤解されがちな、でも実は優しい人‥とも違う。
 きっと見たまま、自分にも他人にも厳しい規律正しい人なんだろう。
 でもね。
 あたしを警戒してるって印象を受けたのは、かえって好印象。組織のTopとして皆を守る責任があるのは当たり前だから。あたしが貴族だからっていい顔する人じゃなくって良かった。お世辞とかおべっかとか使う人は信用できないからね。
 お世辞言って(※ 殆どの場合、相手がハヅキの外見を褒めるのは本心からなんだけどハヅキにはそれがわかっていない)煽てて‥世間知らずの貴族のお嬢ちゃんを騙すのは簡単だろう。今回の場合だったらあたしが一方的に「お願い」したわけだから、お金を要求されてもおかしくないだろう。だけど、そうしなかった。嫌な顔をしながらも、色々条件を出しながらも、最終的にはあたしのお願いを聞いてくれた。「治療魔術の発展の為」「ひいては社会のため」って胸を貸してくれた。
 ‥なんていい人だと思った。

 昨日、帰りながらオズワルドさんが
「案外団長って色々考えてんだなって思った」
 って言った。ボソッと。
「お金がかからないんなら、って即決で引き受けるんじゃないか? って思ってた。俺は団長のこと全然分かってなかった」
 って苦笑い。そして、ちょっと照れくさそうに
「そもそもさ、あんなに団長と話したの、そういえば初めてかも。こういう機会をくれたハヅキさんに感謝だな」
 付け加えた。‥可愛い。あたしを悶え殺す気か‥。
 でもさ、確かに何か機会がないと見えてこない人となりってのはあるよね。普段分からないっても‥仕方がない。ましてやさ、普通の下っ端の団員が組織のTopのことなんて碌に知らなくて当たり前だ。あたしも、学校にいた時、校長の考えなんかわかんなかった。(分かろうともしなかったけど)今だって教会のTopであるヨハンさんとそんなに話したことないからヨハンさんのことあんまり知らない。治療師協会のTopに至っては会ったこともない。この前来たのは、協会幹部。エライさんではあるけど、Topではない。幹部の意思=Topの意思とは言い切れないだろう。
 
 今日は、経験値アップ的な働きは碌にできなかったけど、色々考えさせられることがあったな、と思った一日だった。
 あと、何よりもイケメンいっぱい見れてよかった‥。(ってのは、流石にオズワルドさんには内緒だ)
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