悪役令嬢の神様ライフ

星宮歌

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第一章 帰還と波乱

第六十五話 エゲツない罠の裏側

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「ひぎゃあぁぁぁあっ!!」

「いやぁぁぁぁあっ!!」

「また虫ぃぃぃいっ!!」


 その場所は、彼女の安息の地。楽しく人間を操って遊ぼうと思っていただけの彼女は、人間達一人一人に繊細な術をかけて操っていた。普段はオートモードで、彼ら彼女らの感情を楽しみ、時々操って混乱を招き、人の人生を玩具にしてきた彼女は、今、そのツケを払わされている。


「いやっ、いやぁっ!!」


 彼女が居るのは、城の最上階。王の居室がある場所には、彼女と、彼女が操る王族しか出入りしない。そして、現在彼女は一人っきりで、国王が使用するベッドでシーツを被ったまま悲鳴をあげ続けている。
 彼女を襲うのは、膨大な恐怖心。戯れに操っていた彼女は、当然、多少の恐怖心は楽しめる程度の精神は持っている。神なのだから、その辺りは当然だ。たとえ、操っていた人間が一人二人、悲惨な拷問を受けたところで、ホラー映画を楽しむような感覚でいられる。しかし……彼女が敵に回した相手は、あまりにもタチが悪かった。
 神力を乗せたままに行われる恐怖の連続。虫に襲われ、血塗れの男に襲われ、おぞましい変態に追い回され、いきなり体が溶け出して、獣の顔の殺人鬼に追い回され、虫にまたしても襲われ……。そんなものを、そんな恐怖に相対した人間達の感情を、彼女はただ一人で受け止める。


「い゛や゛ぁぁぁぁあっ!!」


 そんなに怖いのであれば、さっさとその術を解いてしまえば良い、と思われるかもしれないが、実はこの術、本人が直接対象となる人間に触れなければかけることも解除することもできない。そして、人間達は軒並み、恐怖の真っ只中。理屈は分かっていても、その場に赴くだけの精神力は、今の彼女に残されてなどいない。


「だずげでっ! だれがぁあっ!」


 人間達の感情を全部吸収して、彼ら彼女らを死者のようにしていた彼女に、同情の余地はない。唯一、この状況を打開できるかもしれないのは、人形遣いが捕らえたばかりのセイと鋼。しかし、二人は神であり、糸を張り巡らせることで捕らえるだけは成功させたものの、それ以上に操る術をかけるのは、時間もかかる上、平静を保てていない今では不可能だ。と、いうより……。


「あぁぁぁぁあっ!!」

「ん……」

「きゅー、ん……?」


 人形遣いが取り乱し、セイと鋼の拘束が緩んだせいで、セイと鋼は目を覚ましかけていた。


「変態ぃぃぃいっ!!」


 涙目で叫ぶ人形遣いは、そんなことに気づきもしない。そして……。


「見つけましたよ? 人形遣いさん?」


 そんな彼女の前には、いつの間にか、ミーシャやアクー達が現れていた。
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