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第一章 幼少期編
第二十話 変な幼女(セイ視点)
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穏やかで、意思ある生命という生命が逃げ去った泉。その泉の中心で、僕は一人、ただただ、そこに在った。
破壊しかもたらさないその力を恐れ、迫害してきた妖精達。僕は、そんな彼らから逃げるようにして、この場所に居を構えた。
妖精は、自身の力と同一の魔力がある場所でしか生きられない。だから、多くの魔力に満ちたこの妖精の森は、妖精が住むにうってつけの場所なのだが……僕には、ここが牢獄にしか見えなかった。同じ属性の魔力を持つ他種族が居れば、そいつと契約して着いていくことは可能なのだが、残念ながら、僕は二つの属性を持つ妖精だ。そう簡単に、条件を満たす者が現れるとは思えなかった。
そう、あの日までは。
「わちゃしにょにゃまえは、ゆみりあでちゅっ(私の名前は、ユミリアですっ)」
どう見ても、人族の子供である彼女が、舌足らずな状態で自己紹介した時、僕は、この子には僕と同じ属性の魔力があることを理解していた。しかし、それでも契約を結ぼうという気にはなれなかった。なぜなら……。
(どう考えたって、こんな場所に子供が一人で来られるわけがない。しかも、妖精の魔力水? そんなの、この子なら簡単に作れるだろうに)
何が目的か分からない彼女に、僕は厳しい試練を課した。そうすればきっと、彼女は逃げるだろうと、そして、もしかしたら、何が目的だったのかも分かるかもしれない、と。
だから、彼女が簡単にその試練を受けると答えた時、僕は途端にどうして良いか分からなくなった。だって、彼女を危険に晒したいわけではないのだから。
(ついて、いこう)
こんな危険な試練を、この子が一人で受けるとは思えないが、それでも、今のこの森は危険だ。せめて、彼女が安全なところに出るまでは、見届けたい。
そう、思っていたのは、最初のうちだけだった。
(速っ)
まず、驚いたのは彼女の移動速度。人間の子供は、皆、こんな速度で移動できるのかと感心する間もなく、僕は必死についていくこととなる。尾行のつもりで飛んでいったが、もしかしたら、気づかれていたかもしれない。そして、急に走り出したかと思えば、試練の課題であるフェンリルに、運悪く遭遇してしまう。
慌てて声をあげるも、彼女は気づかなかったのか、何やら魔法を行使して……確実に、フェンリルにダメージを与えた。しかも、何度も、何度も……フェンリルが可哀想になるくらい、容赦なく。
(えっ? 人間の子供って、こんなに強いの!?)
もう、色々な前提が狂ってしまった中、声を出してしまったことで存在がバレた僕は、気まずいながらも彼女のフォローをして、泉まで戻る。
(この子は、本当に自力でここまで来る力があったんだ……だとしたら、妖精の魔力水を何で求めるんだ?)
そうして、問いかけてみれば、それはとても単純なことだった。ただ、子供ゆえに、ものを知らなかった。それだけだった。いや、本当は、途中からそんな予感はしていたのだが、まさか本当にそうだとは思わなかったのだ。
(警戒した僕がバカみたい)
本来の報酬に加えて、少しおまけもつけてやると、彼女の目がキラキラと輝く。
本当は、フェンリルが羨ましかった。友達なんて、僕には一人も居ない。だから、僕も友達になりたいと言おうとしたのだが……出てきた言葉は、さっさと帰れという内容だった。
「……僕の、バカ……」
もう、二度と会えないかもしれない彼女を思って、僕はうなだれる。
しかし、僕は知らない。彼女が、明日も、明後日も来てくれることを。そして、その度に、言葉を間違え続けることを。
(うん……僕、ダメダメだなぁ……)
しばらく、僕の楽しくも悩ましい日々は続きそうだった。
破壊しかもたらさないその力を恐れ、迫害してきた妖精達。僕は、そんな彼らから逃げるようにして、この場所に居を構えた。
妖精は、自身の力と同一の魔力がある場所でしか生きられない。だから、多くの魔力に満ちたこの妖精の森は、妖精が住むにうってつけの場所なのだが……僕には、ここが牢獄にしか見えなかった。同じ属性の魔力を持つ他種族が居れば、そいつと契約して着いていくことは可能なのだが、残念ながら、僕は二つの属性を持つ妖精だ。そう簡単に、条件を満たす者が現れるとは思えなかった。
そう、あの日までは。
「わちゃしにょにゃまえは、ゆみりあでちゅっ(私の名前は、ユミリアですっ)」
どう見ても、人族の子供である彼女が、舌足らずな状態で自己紹介した時、僕は、この子には僕と同じ属性の魔力があることを理解していた。しかし、それでも契約を結ぼうという気にはなれなかった。なぜなら……。
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何が目的か分からない彼女に、僕は厳しい試練を課した。そうすればきっと、彼女は逃げるだろうと、そして、もしかしたら、何が目的だったのかも分かるかもしれない、と。
だから、彼女が簡単にその試練を受けると答えた時、僕は途端にどうして良いか分からなくなった。だって、彼女を危険に晒したいわけではないのだから。
(ついて、いこう)
こんな危険な試練を、この子が一人で受けるとは思えないが、それでも、今のこの森は危険だ。せめて、彼女が安全なところに出るまでは、見届けたい。
そう、思っていたのは、最初のうちだけだった。
(速っ)
まず、驚いたのは彼女の移動速度。人間の子供は、皆、こんな速度で移動できるのかと感心する間もなく、僕は必死についていくこととなる。尾行のつもりで飛んでいったが、もしかしたら、気づかれていたかもしれない。そして、急に走り出したかと思えば、試練の課題であるフェンリルに、運悪く遭遇してしまう。
慌てて声をあげるも、彼女は気づかなかったのか、何やら魔法を行使して……確実に、フェンリルにダメージを与えた。しかも、何度も、何度も……フェンリルが可哀想になるくらい、容赦なく。
(えっ? 人間の子供って、こんなに強いの!?)
もう、色々な前提が狂ってしまった中、声を出してしまったことで存在がバレた僕は、気まずいながらも彼女のフォローをして、泉まで戻る。
(この子は、本当に自力でここまで来る力があったんだ……だとしたら、妖精の魔力水を何で求めるんだ?)
そうして、問いかけてみれば、それはとても単純なことだった。ただ、子供ゆえに、ものを知らなかった。それだけだった。いや、本当は、途中からそんな予感はしていたのだが、まさか本当にそうだとは思わなかったのだ。
(警戒した僕がバカみたい)
本来の報酬に加えて、少しおまけもつけてやると、彼女の目がキラキラと輝く。
本当は、フェンリルが羨ましかった。友達なんて、僕には一人も居ない。だから、僕も友達になりたいと言おうとしたのだが……出てきた言葉は、さっさと帰れという内容だった。
「……僕の、バカ……」
もう、二度と会えないかもしれない彼女を思って、僕はうなだれる。
しかし、僕は知らない。彼女が、明日も、明後日も来てくれることを。そして、その度に、言葉を間違え続けることを。
(うん……僕、ダメダメだなぁ……)
しばらく、僕の楽しくも悩ましい日々は続きそうだった。
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