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第一章 幼少期編
第十九話 食事
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屋敷に戻り、鋼に小さくなってもらった後、私は、早速『キュルルル』とお腹を鳴らしてしまう。
今日は、色々と動き回った分、空腹もつらい。妖精の森でいくらか食料をゲットしたとはいえ、それは木の実ばかりだ。料理をすれば、いくらか満足感も増えるというものだが、圧倒的に肉が足りない。
「みゅう」
「ぼくの出番!」
子犬サイズにまで縮んだ鋼。その鋼が、今は目を輝かせている。
「おにぇがい(お願い)」
そう言った次の瞬間、鋼は開かれた窓から飛び出して外へ出る。きっと、戻ってくるのはもうしばらく後になるだろう。
何もすることがなくなり、かといって、動き回る元気もない私は、ベッドに横たわり……すぐに響いたノックの音に反応する。
「お嬢様、お食事をお持ちしましたよ」
柔らかく微笑むメリーは、ゆっくりと私の側にワゴンを押してくる。
目が見てないメリーには、そこにある食事が、到底私の腹を満たせるものではないということを知らない。毒こそ入っていないものの、最近はパンがカビていることだってある。
「ありあちょーにゃにょ(ありがとうなの)」
しかし、それを今のメリーに告げることはできない。もし、私が告げて、メリーが他の使用人に反抗するようなことがあれば、メリーはきっと、私のメイドではなくなってしまう。盲目であるのを良いことに、捨てられてしまう。そもそも、盲目のメイドをつけること自体が私への嫌がらせだったのだろうが、そのメイドが反抗してくるようならば、不要だと断じられるのは当然の帰結だ。
(今、メリーに会えなくなるわけにはいかない)
時々ふらついているメリーを見るのはつらい。きっと、病が進行しているのだと分かってしまうから。二歳になるまで、あと半年。それまでに、万能薬を完成させて、メリーに飲んでもらわなければならない。
カビだらけのパン一つ、という食事を見て、私はそれに手をつけるフリだけする。こんなものを食べ続ければ、体調を崩してしまうことは明らかだった。
「お嬢様、それでは、お食事が終わる頃にまた参りますね? それが終われば、入浴をして、また物語をお話しましょうね?」
「うんっ」
メリーは、目が見えないから、絵本が読めない。その代わりに、かつて覚えた物語を、何度も何度も聞かせてくれるのだ。
メリーが退出した後、カビたパンを錬金術で分解し、カビの成分とただのパンに分ける。妖精の森で採った木の実を料理の力を使ってジャムにして、ついでに木の実のジュースも作っておく。そうこうしているうちに、グッタリとした鳥の首を咥えて、鋼が帰ってくる。
「ユミリア、獲物、狩ってきた。偉い?」
「うん、えりゃいにょ! ありあちょーにゃにょっ(うん、偉いの! ありがとうなのっ!)」
屋敷では満足にご飯を提供できない話をした時、鋼は、獲物くらい自分で狩れると、そして、友達になったのだから、私の分も狩ってきてくれると言ってくれて、私はその言葉に甘えた。今、私ができることには限界がある。そう思ったからこそ、鋼に頼らせてもらったのだ。
捕まえてきたカモほどの大きさの鳥は、グリーンバードという緑の羽を持つ鳥だ。その肉は、焼くととてもジューシーで、案外どこにでも生息しているため、この国ではよく取引されている肉だ。ちなみに、羽根の方も色々な素材として利用可能だ。
「こうは、ちゃべちゃにょ? (鋼は、食べたの?)」
「もうすませた。だから、これは全部、ユミリアの」
そう言われて、私は目を輝かせる。何せ、この人生では初のお肉なのだ。それを、こんなにたくさんもらえるなんて、嬉しい以外のなにものでもない。
「ありあちょっ! こう、だーいしゅきっ! (ありがとうっ! 鋼、だーいすきっ!)」
幸い、ハーブの類いはいくらか採取している。塩がないのは残念だが、私の力であれば、かなり美味しいものができるに違いなかった。
(香草焼き~)
できたグリーンバードの香草焼きは、滅茶苦茶美味しかったとだけ、記しておこう。
今日は、色々と動き回った分、空腹もつらい。妖精の森でいくらか食料をゲットしたとはいえ、それは木の実ばかりだ。料理をすれば、いくらか満足感も増えるというものだが、圧倒的に肉が足りない。
「みゅう」
「ぼくの出番!」
子犬サイズにまで縮んだ鋼。その鋼が、今は目を輝かせている。
「おにぇがい(お願い)」
そう言った次の瞬間、鋼は開かれた窓から飛び出して外へ出る。きっと、戻ってくるのはもうしばらく後になるだろう。
何もすることがなくなり、かといって、動き回る元気もない私は、ベッドに横たわり……すぐに響いたノックの音に反応する。
「お嬢様、お食事をお持ちしましたよ」
柔らかく微笑むメリーは、ゆっくりと私の側にワゴンを押してくる。
目が見てないメリーには、そこにある食事が、到底私の腹を満たせるものではないということを知らない。毒こそ入っていないものの、最近はパンがカビていることだってある。
「ありあちょーにゃにょ(ありがとうなの)」
しかし、それを今のメリーに告げることはできない。もし、私が告げて、メリーが他の使用人に反抗するようなことがあれば、メリーはきっと、私のメイドではなくなってしまう。盲目であるのを良いことに、捨てられてしまう。そもそも、盲目のメイドをつけること自体が私への嫌がらせだったのだろうが、そのメイドが反抗してくるようならば、不要だと断じられるのは当然の帰結だ。
(今、メリーに会えなくなるわけにはいかない)
時々ふらついているメリーを見るのはつらい。きっと、病が進行しているのだと分かってしまうから。二歳になるまで、あと半年。それまでに、万能薬を完成させて、メリーに飲んでもらわなければならない。
カビだらけのパン一つ、という食事を見て、私はそれに手をつけるフリだけする。こんなものを食べ続ければ、体調を崩してしまうことは明らかだった。
「お嬢様、それでは、お食事が終わる頃にまた参りますね? それが終われば、入浴をして、また物語をお話しましょうね?」
「うんっ」
メリーは、目が見えないから、絵本が読めない。その代わりに、かつて覚えた物語を、何度も何度も聞かせてくれるのだ。
メリーが退出した後、カビたパンを錬金術で分解し、カビの成分とただのパンに分ける。妖精の森で採った木の実を料理の力を使ってジャムにして、ついでに木の実のジュースも作っておく。そうこうしているうちに、グッタリとした鳥の首を咥えて、鋼が帰ってくる。
「ユミリア、獲物、狩ってきた。偉い?」
「うん、えりゃいにょ! ありあちょーにゃにょっ(うん、偉いの! ありがとうなのっ!)」
屋敷では満足にご飯を提供できない話をした時、鋼は、獲物くらい自分で狩れると、そして、友達になったのだから、私の分も狩ってきてくれると言ってくれて、私はその言葉に甘えた。今、私ができることには限界がある。そう思ったからこそ、鋼に頼らせてもらったのだ。
捕まえてきたカモほどの大きさの鳥は、グリーンバードという緑の羽を持つ鳥だ。その肉は、焼くととてもジューシーで、案外どこにでも生息しているため、この国ではよく取引されている肉だ。ちなみに、羽根の方も色々な素材として利用可能だ。
「こうは、ちゃべちゃにょ? (鋼は、食べたの?)」
「もうすませた。だから、これは全部、ユミリアの」
そう言われて、私は目を輝かせる。何せ、この人生では初のお肉なのだ。それを、こんなにたくさんもらえるなんて、嬉しい以外のなにものでもない。
「ありあちょっ! こう、だーいしゅきっ! (ありがとうっ! 鋼、だーいすきっ!)」
幸い、ハーブの類いはいくらか採取している。塩がないのは残念だが、私の力であれば、かなり美味しいものができるに違いなかった。
(香草焼き~)
できたグリーンバードの香草焼きは、滅茶苦茶美味しかったとだけ、記しておこう。
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