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第一章 幼少期編
第三十一話 動き出す者達(三人称視点)
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これは、ユミリアがローランの忠誠の誓いを受け入れて、セイから報酬の素材をもらい、グッスリ眠った後のこと。
「さて、と。それじゃあ、少し話し合いといこうか?」
椅子なんていう気の利いたものが一切置かれていないこの部屋で、セイは床に座り込んでそう告げる。すると、鋼はセイの対面になる位置で伏せ、ローランもその近くに腰を下ろす。
「何の話し合いだ? ユミリア様に関することなら、俺はいくらでも話に乗るぞ?」
ユミリアに様をつけ始めたローランは、真剣な目でセイを見つめる。
「もちろん、ユミリアのことだよ。ただ、僕は人間のことをよく知らないから、思い違いかもしれないんだけど、それでも話しておいた方が良いかと思ってね」
そう言って、セイは自分が知るユミリアのことを話し出す。鋼をあっさりと下した実力、ユミリアが素材を集める目的、魔境で自分達を進化させてしまったユミリアの魔力。
黙って話を聞いていたローランは、次第に顎が外れんばかりに口を開け続けることとなる。
「そ、れは、また……ユミリア様は、随分と規格外な方なんだな」
「ユミリア、強い」
驚くローランに、鋼は自分が褒められたかのように、嬉しそうに尻尾をブンブンと振る。
「あぁ、やっぱり、ユミリアって異常だったんだねぇ」
対して、人間を知らなかったセイは、やはりユミリアが特殊だったのだと知り、遠い目をする。
「しかし、ユミリア様が助けようとしている盲目のメイド、か……。ん? だが、ユミリア様くらいの年齢ならば、普通は親を頼るものだろう? 少なくとも、妖精の森なんて場所に出入りを許すのは普通じゃないと思うが?」
「あぁ、それについても、ちょっと知りたいことがあったんだ。ねぇ、人間は、カビが生えたものでも平気で食べるものなの?」
「はっ? カビ? 食べるわけないだろう?」
ローランは、ユミリアがメリーから食事を渡されている場面を見ていない。その時はまだ意識を失った状態だったため、目の見えないメリーが、ユミリアにカビの生えたパンを渡している様子を見ていないのだ。そのため、セイは慎重に、言葉を選びながらその時の説明をしていく。
「多分、あの盲目のメイドは何も知らない。ユミリアのことを大切に想っていることは、僕達にも伝わってきたよ。ただ、だからこそ、この場所には、ユミリアを良く思っていないやつが居るってことになる」
そう締め括れば、凄まじい殺気が鋼とローランの二人から放たれそうになり……。
「落ち着いてよ。ユミリアが起きるよ?」
すんでのところで踏み留まる。しかし、セイ自身も怒りを感じていないわけではないようで、その魔力が可視化できるほど濃密に集まってきている。
「そうか、だから、ユミリアは、ぼくに食料調達を頼んだ……」
鋼のその言葉に、セイとローランはすぐさま食い付き、カビパン事件が今回限りのものではなかったことを知る。
「ふ、ふふふふっ。これは、情報収集が必要だね」
「あぁ、それなら俺に任せろ。隠密は得意だし、もしかしたらこの国の文字も読めるかもしれない」
「ぼく、ユミリアの食料、毎日調達するっ。牙も、研いておくっ」
三者三様に、魔力、闘気、殺気を揺らめかせて、役割を決めていく。
そんなこととは知らないユミリアは、魔境での疲れが出たのか、全く目を覚ます様子はない。小さな寝息を漏らして、クゥクゥと眠り続ける。
三人の守護者は、己の守護する愛しい主のために、手を取り合う。そして、彼らは愛しい主を優しい瞳で眺めると、護衛として、セイを一人残して散開する。
フェンリルの最終進化形態であり、災厄の化身である蒼月狼。伝説の存在として語り継がれているだけの魔法のスペシャリスト、星妖精。最悪の魔王を打ち倒した竜人の最強勇者。彼らは、ただ一人の少女のために、今、動き出したのだった。
「さて、と。それじゃあ、少し話し合いといこうか?」
椅子なんていう気の利いたものが一切置かれていないこの部屋で、セイは床に座り込んでそう告げる。すると、鋼はセイの対面になる位置で伏せ、ローランもその近くに腰を下ろす。
「何の話し合いだ? ユミリア様に関することなら、俺はいくらでも話に乗るぞ?」
ユミリアに様をつけ始めたローランは、真剣な目でセイを見つめる。
「もちろん、ユミリアのことだよ。ただ、僕は人間のことをよく知らないから、思い違いかもしれないんだけど、それでも話しておいた方が良いかと思ってね」
そう言って、セイは自分が知るユミリアのことを話し出す。鋼をあっさりと下した実力、ユミリアが素材を集める目的、魔境で自分達を進化させてしまったユミリアの魔力。
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「ユミリア、強い」
驚くローランに、鋼は自分が褒められたかのように、嬉しそうに尻尾をブンブンと振る。
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対して、人間を知らなかったセイは、やはりユミリアが特殊だったのだと知り、遠い目をする。
「しかし、ユミリア様が助けようとしている盲目のメイド、か……。ん? だが、ユミリア様くらいの年齢ならば、普通は親を頼るものだろう? 少なくとも、妖精の森なんて場所に出入りを許すのは普通じゃないと思うが?」
「あぁ、それについても、ちょっと知りたいことがあったんだ。ねぇ、人間は、カビが生えたものでも平気で食べるものなの?」
「はっ? カビ? 食べるわけないだろう?」
ローランは、ユミリアがメリーから食事を渡されている場面を見ていない。その時はまだ意識を失った状態だったため、目の見えないメリーが、ユミリアにカビの生えたパンを渡している様子を見ていないのだ。そのため、セイは慎重に、言葉を選びながらその時の説明をしていく。
「多分、あの盲目のメイドは何も知らない。ユミリアのことを大切に想っていることは、僕達にも伝わってきたよ。ただ、だからこそ、この場所には、ユミリアを良く思っていないやつが居るってことになる」
そう締め括れば、凄まじい殺気が鋼とローランの二人から放たれそうになり……。
「落ち着いてよ。ユミリアが起きるよ?」
すんでのところで踏み留まる。しかし、セイ自身も怒りを感じていないわけではないようで、その魔力が可視化できるほど濃密に集まってきている。
「そうか、だから、ユミリアは、ぼくに食料調達を頼んだ……」
鋼のその言葉に、セイとローランはすぐさま食い付き、カビパン事件が今回限りのものではなかったことを知る。
「ふ、ふふふふっ。これは、情報収集が必要だね」
「あぁ、それなら俺に任せろ。隠密は得意だし、もしかしたらこの国の文字も読めるかもしれない」
「ぼく、ユミリアの食料、毎日調達するっ。牙も、研いておくっ」
三者三様に、魔力、闘気、殺気を揺らめかせて、役割を決めていく。
そんなこととは知らないユミリアは、魔境での疲れが出たのか、全く目を覚ます様子はない。小さな寝息を漏らして、クゥクゥと眠り続ける。
三人の守護者は、己の守護する愛しい主のために、手を取り合う。そして、彼らは愛しい主を優しい瞳で眺めると、護衛として、セイを一人残して散開する。
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