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第一章 幼少期編
第六十四話 騒動の原因(ライル視点)
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その日は、随分と外が騒がしかった。
執務室にこもって書類仕事を続けていた私は、なぜか外で度々聞こえる悲鳴に、人を遣わして原因を探らせているところだった。
襲撃があったとの情報は届いていないが、場合によっては動かなければならないだろうと覚悟を決め、私以外の王族にも伝達を頼む。
(外で、何が起こっている?)
もし、襲撃を受けているとするならば、可能性としては、反国王派の誰かが反乱を起こしたか、王妃の故郷であるアイリス王国と敵対しているガラム帝国による襲撃か、それとも、イルトを亡き者にしようと企む者の仕業か……とにかく、予測はいくらでもできそうな環境にあるため、情報がない今、下手には動けない。
王妃がアルトとともに来て、次に側妃と、最後にイルトが私の部屋へと集結する。
「陛下……」
その中で、不安そうな表情を浮かべるのは側妃のみ。正妃は毅然とした態度を崩さないし、アルトはそんな母を見習っているらしい。そして、イルトの方はといえば、あまり興味を持っていないように見える。
(まぁ、落ち着いている方が助かるのは確かだが……)
正妃はともかくとして、子供達の肝の据わり具合に、私は感嘆するよりも、少しばかり複雑な気分になる。私がこのくらいの年頃だった頃、同じようにできたかと問われれば、恐らくは無理と答えるだろう。
「ほ、報告します!」
しばらくすれば、情報を掴んだらしい騎士が私達の前で跪く。
何があっても大丈夫なように覚悟を決めて、私はその報告に耳を傾けて……。
「騒動の原因は、一通の手紙にあると思われますっ」
その言葉の意味を理解できず、固まる。
「何者かに宛てられた手紙ではあるようなのですが、それに近づき、何かを行えばトラップが発動するようで、その犠牲者が後を絶たないとのことです」
そんな報告に、少しだけ引っ掛かるものを覚えながら、しかしそれが何か分からず、続きを聞く。
「犠牲者は、貴族、騎士、使用人と広範囲に渡り、トラップそのものは確認されているだけで、電気ショック、頭髪の焼失、頭部の強打、泥水を被るなどのものとなっております。負傷者は十名。重傷者及び死亡者は居ませんっ」
なぜ、そんなトラップつきの手紙がこんな場所に来ているのか分からない……と思ったところで、ふいに、つい先日イルトの婚約者になった少女の言葉を思い出す。
『陛下、一つだけ許可をいただけませんか? イルト様に悪意を持つ者から、私が出す手紙を守る許可を』
その言葉に、私は確か、『よかろう』と返さなかっただろうか?
「犠牲者達は、手紙の差出人、及び宛名に関して何と言っている?」
そして、その問いかけに騎士が『それが、何も』と答えたことで、私は確信する。
(これは、ユミリア嬢の仕業か……)
許可を出した手前、ユミリア嬢を批判することはできない。しかし、ここまでの騒動になることを想定していなかったのも確かで、頭が痛い。
「……その手紙は、悪意を持って接しなければ何も起こらない。すぐさま、それをここへ届けよ。そして、犠牲者達は厳重に拘束をしておけ」
「ははっ」
それから数分後、憐れにも生け贄に捧げられたらしい気弱そうな使用人の男がビクビクしながら手紙をイルトに差し出したところで、ようやく、私は騒動が終わったことに安堵するのだった。
執務室にこもって書類仕事を続けていた私は、なぜか外で度々聞こえる悲鳴に、人を遣わして原因を探らせているところだった。
襲撃があったとの情報は届いていないが、場合によっては動かなければならないだろうと覚悟を決め、私以外の王族にも伝達を頼む。
(外で、何が起こっている?)
もし、襲撃を受けているとするならば、可能性としては、反国王派の誰かが反乱を起こしたか、王妃の故郷であるアイリス王国と敵対しているガラム帝国による襲撃か、それとも、イルトを亡き者にしようと企む者の仕業か……とにかく、予測はいくらでもできそうな環境にあるため、情報がない今、下手には動けない。
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(まぁ、落ち着いている方が助かるのは確かだが……)
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「ほ、報告します!」
しばらくすれば、情報を掴んだらしい騎士が私達の前で跪く。
何があっても大丈夫なように覚悟を決めて、私はその報告に耳を傾けて……。
「騒動の原因は、一通の手紙にあると思われますっ」
その言葉の意味を理解できず、固まる。
「何者かに宛てられた手紙ではあるようなのですが、それに近づき、何かを行えばトラップが発動するようで、その犠牲者が後を絶たないとのことです」
そんな報告に、少しだけ引っ掛かるものを覚えながら、しかしそれが何か分からず、続きを聞く。
「犠牲者は、貴族、騎士、使用人と広範囲に渡り、トラップそのものは確認されているだけで、電気ショック、頭髪の焼失、頭部の強打、泥水を被るなどのものとなっております。負傷者は十名。重傷者及び死亡者は居ませんっ」
なぜ、そんなトラップつきの手紙がこんな場所に来ているのか分からない……と思ったところで、ふいに、つい先日イルトの婚約者になった少女の言葉を思い出す。
『陛下、一つだけ許可をいただけませんか? イルト様に悪意を持つ者から、私が出す手紙を守る許可を』
その言葉に、私は確か、『よかろう』と返さなかっただろうか?
「犠牲者達は、手紙の差出人、及び宛名に関して何と言っている?」
そして、その問いかけに騎士が『それが、何も』と答えたことで、私は確信する。
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許可を出した手前、ユミリア嬢を批判することはできない。しかし、ここまでの騒動になることを想定していなかったのも確かで、頭が痛い。
「……その手紙は、悪意を持って接しなければ何も起こらない。すぐさま、それをここへ届けよ。そして、犠牲者達は厳重に拘束をしておけ」
「ははっ」
それから数分後、憐れにも生け贄に捧げられたらしい気弱そうな使用人の男がビクビクしながら手紙をイルトに差し出したところで、ようやく、私は騒動が終わったことに安堵するのだった。
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