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第一章 幼少期編
第七十一話 様々な考察
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魔王についての情報。それは、何よりも私が欲しているものだったのだが……。
「ごめん、ユミリア。そっちの方は、完全に手詰まりだよ」
どうやら、予想通り、何も分かっていないらしい。
私がもう少し長じていれば、図書館に行き来して情報を集めることもできたのだろうが、さすがに、今の私ではそこまで動くことはできない。だから、魔王について知っていることは、主にローランからの情報のみということになる。
(でも、ローランの話では、魔王はローランが討伐したことになってるんだよね……)
残念ながら、『モフ恋』で魔王の正体に触れられることはなかった。ただ、世界の災厄だという立ち位置で描かれていた魔王に関しては、全く情報がないのだ。
(頼みの綱は、ヒロインの浄化の力、か……)
ヒロインが現れるのは、私が十二歳になり、魔法学園へと通う時だ。そこが、『モフ恋』の始まりであり、ヒロインが男爵家に引き取られ、ある程度の教育を施された頃なのだ。
(うーん、となると、ヒロインを早々に保護して、安全策を練った方が賢明かな?)
別に、ヒロインはヒーローの力がなければ浄化の力を発揮できないとかいうことはない。それを考えれば、今のうちに、平民として暮らしているであろう彼女をこの手の内に収めるのも良い考えだと思える。
「セイ、それじゃあ、魔王に関してはもう良いから、ヒロインの捜索をしてもらえないかな?」
「ヒロインか……特徴とかは分かる?」
ヒロインの容姿は、茶髪の天然パーマに、青いくりっとした瞳、人懐っこそうな顔立ち、といったところだろうか? もちろん、そんな特徴は平凡でありがちなものだ。だから、きっと捜索は難航するだろう。
ヒロインの特徴を紙に書いてまとめた私は、それをセイに渡す。
「うーん……他の特徴とか、住んでいる場所に繋がるヒントとかはない? あと、名前とか」
「そう、ねぇ……母親と一緒に暮らしているはずで、そこはもしかしたら、あんまり治安が良くないのかもしれない。それと、名前は確か、ミーシャ、だったかな?」
残念ながら、肝心のヒロインが引き取られる家の名前までは覚えていない。そして、男爵家なんて、小さなものを含めれば五十以上存在するのだ。それらを一つ一つ調べるなど、とてもではないが時間が足りない。
「……ユミリア、一度、全員で集まって情報を整理してみない? そうしたら、何か見落としていることに気づけるかもしれないよ。それと、何だったら旦那様達にも相談した方が良いかもしれないと思うんだけど……」
そんなセイの提案に、私は少しばかり考え込む。
(お父様とお継母様に、話す……か)
実際のところ、お父様達が味方につけば、心強いに決まっている。情報も、今以上に集めやすくなるはずだ。しかし……。
(私は、お父様の娘ではないのかもしれない)
体に関しては、疑いようもなくお父様の娘で合っている。しかし、その精神は、もしかしたら本来のユミリアを追い出して、田中雪であった私が存在しているかもしれないのだ。
「あっ、いや……難しいなら、別に、話さなくても良いというか……いや、別に心配してるわけじゃないけどさ」
「ううん。ちゃんと話すよ。お父様達の協力が得られるのは、とても心強いから」
私の話を聞いて、お父様がどう判断するのか分からなくて、少し、怖い。しかし、それでも、話さなければならないと思った。私が、私を貫くために、お父様達の信頼に応えるために、それはきっと、いつかは必要なことなのだ。
「ユミリア……」
「大丈夫。きっと、何とかなるよ」
もしかしたら、自分の娘ではないと拒絶されるかもしれない。それは、何よりも恐ろしいことではあったが、乗り越えなければならない壁だとも思っている。
(大丈夫。たとえ拒絶されても、セイ達が居る。メリーが居る)
打ち明けて、拒絶せずに受け入れてくれた人達が居る。その事実が、私の心を落ち着けてくれる。
「じゃあ、明日にでも、話す?」
「うん」
私の顔を見て、少し安心した様子のセイは、そう提案してくれた。覚悟が揺らがないうちに話せるのは、一番ありがたかった。
「分かった。じゃあ、伝えてくるね」
扉の外に居た鋼と護衛を一時的に交代したセイは、そのまま、私の側を離れていった。
「ごめん、ユミリア。そっちの方は、完全に手詰まりだよ」
どうやら、予想通り、何も分かっていないらしい。
私がもう少し長じていれば、図書館に行き来して情報を集めることもできたのだろうが、さすがに、今の私ではそこまで動くことはできない。だから、魔王について知っていることは、主にローランからの情報のみということになる。
(でも、ローランの話では、魔王はローランが討伐したことになってるんだよね……)
残念ながら、『モフ恋』で魔王の正体に触れられることはなかった。ただ、世界の災厄だという立ち位置で描かれていた魔王に関しては、全く情報がないのだ。
(頼みの綱は、ヒロインの浄化の力、か……)
ヒロインが現れるのは、私が十二歳になり、魔法学園へと通う時だ。そこが、『モフ恋』の始まりであり、ヒロインが男爵家に引き取られ、ある程度の教育を施された頃なのだ。
(うーん、となると、ヒロインを早々に保護して、安全策を練った方が賢明かな?)
別に、ヒロインはヒーローの力がなければ浄化の力を発揮できないとかいうことはない。それを考えれば、今のうちに、平民として暮らしているであろう彼女をこの手の内に収めるのも良い考えだと思える。
「セイ、それじゃあ、魔王に関してはもう良いから、ヒロインの捜索をしてもらえないかな?」
「ヒロインか……特徴とかは分かる?」
ヒロインの容姿は、茶髪の天然パーマに、青いくりっとした瞳、人懐っこそうな顔立ち、といったところだろうか? もちろん、そんな特徴は平凡でありがちなものだ。だから、きっと捜索は難航するだろう。
ヒロインの特徴を紙に書いてまとめた私は、それをセイに渡す。
「うーん……他の特徴とか、住んでいる場所に繋がるヒントとかはない? あと、名前とか」
「そう、ねぇ……母親と一緒に暮らしているはずで、そこはもしかしたら、あんまり治安が良くないのかもしれない。それと、名前は確か、ミーシャ、だったかな?」
残念ながら、肝心のヒロインが引き取られる家の名前までは覚えていない。そして、男爵家なんて、小さなものを含めれば五十以上存在するのだ。それらを一つ一つ調べるなど、とてもではないが時間が足りない。
「……ユミリア、一度、全員で集まって情報を整理してみない? そうしたら、何か見落としていることに気づけるかもしれないよ。それと、何だったら旦那様達にも相談した方が良いかもしれないと思うんだけど……」
そんなセイの提案に、私は少しばかり考え込む。
(お父様とお継母様に、話す……か)
実際のところ、お父様達が味方につけば、心強いに決まっている。情報も、今以上に集めやすくなるはずだ。しかし……。
(私は、お父様の娘ではないのかもしれない)
体に関しては、疑いようもなくお父様の娘で合っている。しかし、その精神は、もしかしたら本来のユミリアを追い出して、田中雪であった私が存在しているかもしれないのだ。
「あっ、いや……難しいなら、別に、話さなくても良いというか……いや、別に心配してるわけじゃないけどさ」
「ううん。ちゃんと話すよ。お父様達の協力が得られるのは、とても心強いから」
私の話を聞いて、お父様がどう判断するのか分からなくて、少し、怖い。しかし、それでも、話さなければならないと思った。私が、私を貫くために、お父様達の信頼に応えるために、それはきっと、いつかは必要なことなのだ。
「ユミリア……」
「大丈夫。きっと、何とかなるよ」
もしかしたら、自分の娘ではないと拒絶されるかもしれない。それは、何よりも恐ろしいことではあったが、乗り越えなければならない壁だとも思っている。
(大丈夫。たとえ拒絶されても、セイ達が居る。メリーが居る)
打ち明けて、拒絶せずに受け入れてくれた人達が居る。その事実が、私の心を落ち着けてくれる。
「じゃあ、明日にでも、話す?」
「うん」
私の顔を見て、少し安心した様子のセイは、そう提案してくれた。覚悟が揺らがないうちに話せるのは、一番ありがたかった。
「分かった。じゃあ、伝えてくるね」
扉の外に居た鋼と護衛を一時的に交代したセイは、そのまま、私の側を離れていった。
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