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第一章 幼少期編
第百十六話 獣つき
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獣つきは、高い聴力と身体能力、そして、魔力を持つと言われており、実際、例外なく私自身もそれに当てはまる。いわば、色さえ黒でなければ勝ち組なのだ。しかし、先天的に獣つきである者と後天的に獣つきとなった者とでは、ある差が存在する。それは……。
「後天的な獣つきは、急激に起こる身体の変化に耐えられず、亡くなるケースが多いと言われています」
そう、今、目の前でアルト王子が苦しんでいたのは、それが原因だ。私も詳しく知っているわけではないものの、最初の変化が魔力から起こるということだけは、知っている。アルト王子の体で荒れ狂う魔力。それは、どんどん増大しており、そのままではアルト王子は意識を失い、亡くなってしまう可能性だってあった。
もちろん、『モフ恋』のシナリオを考えれば、何とかして生き残ったというのは分かるのだが、シナリオが私の存在によって変わってきているかもしれない現在、アルト王子が生き残れる保証などどこにもない。だから、まずはアルト王子の魔力を調えるための魔導具を渡してみたのだ。
荒れ狂う魔力に方向性を示して、適度に発散させるというだけの魔導具。アルト王子が獣つきになる未来を知っていたからこそ、作っておいた代物だ。
「なら、にいさんはまだこれをもっていないと……」
「また苦しみ出すでしょうね」
心配そうにアルト王子を見つめるイルト王子。その様子は、『モフ恋』で互いに刃を向けた関係からはかけ離れたものだった。
「ただ、実際のところ、私は医者ではありません。だから、これが有効だろうということは分かっていても、副作用などの想定ができないのが実情です」
一応、お父様やお継母様、それに、セイ達にも意見は聞いている。その結果、未知数な部分はあるものの、おおむね問題はないだろうと言われてはいる。実際、魔力を発散させるだけの魔導具は存在するのだが、それは使用者にかなりの負担を強いる。原因としては、その方向性を定めることができないから、急激な発散で意識を失ってしまうのだ。それらは主に、犯罪者の捕縛に使われているということからも、その危険性は分かるだろう。ただ、そこに方向性を定めるという能力が付与されれば、その魔導具を発動しても、ただ虚脱状態になって動けなくなるだけ、ということが分かっている。セイに協力してもらったので、そこは間違いない。だからこそ、現在、虚脱状態になっているアルト王子の様子は、当たり前の状態なのだ。
「なにも、やるきが、おきない……」
「大丈夫です。魔導具が効いている証拠です。その調子で、しっかり発動させておいてくださいね?」
魔力が暴走する限り、魔導具は発動し続ける。それが治まった時は、今度はまた別の苦しみが襲うらしいのだが……そこはどうやら、医療の知識があれば何とかなるらしいので、私は詳しくは知らない。
「と、いうわけで、これを乗り切りましょう!」
「がん、ば……る……」
ぐったりとするアルト王子は、それでも返事をして……少しすると、寝息を立て始めるのだった。
「後天的な獣つきは、急激に起こる身体の変化に耐えられず、亡くなるケースが多いと言われています」
そう、今、目の前でアルト王子が苦しんでいたのは、それが原因だ。私も詳しく知っているわけではないものの、最初の変化が魔力から起こるということだけは、知っている。アルト王子の体で荒れ狂う魔力。それは、どんどん増大しており、そのままではアルト王子は意識を失い、亡くなってしまう可能性だってあった。
もちろん、『モフ恋』のシナリオを考えれば、何とかして生き残ったというのは分かるのだが、シナリオが私の存在によって変わってきているかもしれない現在、アルト王子が生き残れる保証などどこにもない。だから、まずはアルト王子の魔力を調えるための魔導具を渡してみたのだ。
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「ただ、実際のところ、私は医者ではありません。だから、これが有効だろうということは分かっていても、副作用などの想定ができないのが実情です」
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「大丈夫です。魔導具が効いている証拠です。その調子で、しっかり発動させておいてくださいね?」
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