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第一章 幼少期編
第百二十九話 白黒兄弟3
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その女性の声に、アルト王子達も気づいたらしく、その声の方向を見て、顔をしかめる。
「イルト、きにしなくていい」
「……はい」
珍しく険しい顔をしているアルト王子と、どこか悲しそうにしているイルト王子を見て、二人は、この声の主が誰なのか分かっているのだろうということは察せたが、具体的に誰なのかが分からない。しかし、だからといって、それを尋ねて良いものかどうかも怪しい。
「ユミリアじょう。すまないが、そろそろしろのなかにもどろうとおもう」
女性の声は、徐々に近づいてきている。それとともに、私の耳には、話の内容まで届いてきており、それを察したアルト王子が早口でこの場を離れる意思を示す。
(でも、これは……)
聞こえてくる声からして、その人物は身分の高い女性。そして、少なくとももう一人、メイドらしい人物が付き従っているようだ。
(っ、何もっ、何も知らない癖にっ!)
彼女らの話の内容は、イルト王子のことだった。イルト王子が不吉でおぞましい存在であるということを、随分と熱心に話している。
「ユミリアじょう?」
私の手を引いて歩き出していたイルト王子は、立ち止まった私を見て、首をかしげる。
「ユミリアじょう、いまは……」
しかし、彼女らの会話内容が獣つきとなったために聞こえているらしいアルト王子の困り顔で、ここに留まるのは得策ではないと判断する。
「いえ、何でもありません。行きましょう」
相手が誰なのかは分からない。しかし、このままここに居れば、イルト王子が傷つく未来が容易に見える。
(後で、アルト王子から話を聞かなきゃ)
イルト王子から直接聞くのは、さすがに憚られる。どうにかして、アルト王子と二人で話をしなければならない。
城の中に戻った私達は、改めてメイドにお茶を頼んで、アルト王子の私室で椅子に腰かける。
「ユミリアじょう。あの、さっきは「みてみてっ、これ、もってきておいたんだーっ」」
イルト王子が思い詰めた表情で、何かを話そうとするのを、アルト王子は盛大に遮り、いつの間に採取していたのか、大きなブドウを護衛から受け取っていた。
「わぁ、美味しそうですねっ」
「あ、あの」
「ふふんっ。わたしにかかれば、このくらいは……たや、たや……か、かんたんだ!」
「えっと」
「アルト王子、そこは『容易い』と言うところですよ?」
「はっ、そーだった!」
「と、いうわけで、イルト様、美味しそうなブドウを一緒に食べましょうねっ」
「イルトっ、いっしょにわけてたべるぞっ」
イルト王子が何か言いかけるのをことごとく遮った私達は、笑顔でイルト王子へとブドウを勧める。
「……ありがとう」
ポツリと呟かれたそれに、私達はそっと顔を見合わせて微笑むのだった。
「イルト、きにしなくていい」
「……はい」
珍しく険しい顔をしているアルト王子と、どこか悲しそうにしているイルト王子を見て、二人は、この声の主が誰なのか分かっているのだろうということは察せたが、具体的に誰なのかが分からない。しかし、だからといって、それを尋ねて良いものかどうかも怪しい。
「ユミリアじょう。すまないが、そろそろしろのなかにもどろうとおもう」
女性の声は、徐々に近づいてきている。それとともに、私の耳には、話の内容まで届いてきており、それを察したアルト王子が早口でこの場を離れる意思を示す。
(でも、これは……)
聞こえてくる声からして、その人物は身分の高い女性。そして、少なくとももう一人、メイドらしい人物が付き従っているようだ。
(っ、何もっ、何も知らない癖にっ!)
彼女らの話の内容は、イルト王子のことだった。イルト王子が不吉でおぞましい存在であるということを、随分と熱心に話している。
「ユミリアじょう?」
私の手を引いて歩き出していたイルト王子は、立ち止まった私を見て、首をかしげる。
「ユミリアじょう、いまは……」
しかし、彼女らの会話内容が獣つきとなったために聞こえているらしいアルト王子の困り顔で、ここに留まるのは得策ではないと判断する。
「いえ、何でもありません。行きましょう」
相手が誰なのかは分からない。しかし、このままここに居れば、イルト王子が傷つく未来が容易に見える。
(後で、アルト王子から話を聞かなきゃ)
イルト王子から直接聞くのは、さすがに憚られる。どうにかして、アルト王子と二人で話をしなければならない。
城の中に戻った私達は、改めてメイドにお茶を頼んで、アルト王子の私室で椅子に腰かける。
「ユミリアじょう。あの、さっきは「みてみてっ、これ、もってきておいたんだーっ」」
イルト王子が思い詰めた表情で、何かを話そうとするのを、アルト王子は盛大に遮り、いつの間に採取していたのか、大きなブドウを護衛から受け取っていた。
「わぁ、美味しそうですねっ」
「あ、あの」
「ふふんっ。わたしにかかれば、このくらいは……たや、たや……か、かんたんだ!」
「えっと」
「アルト王子、そこは『容易い』と言うところですよ?」
「はっ、そーだった!」
「と、いうわけで、イルト様、美味しそうなブドウを一緒に食べましょうねっ」
「イルトっ、いっしょにわけてたべるぞっ」
イルト王子が何か言いかけるのをことごとく遮った私達は、笑顔でイルト王子へとブドウを勧める。
「……ありがとう」
ポツリと呟かれたそれに、私達はそっと顔を見合わせて微笑むのだった。
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