悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

文字の大きさ
249 / 412
第二章 少女期 瘴気編

第二百四十八話 スペースドラゴン討伐

しおりを挟む
 私達が目指したのは、惑星ラパパラ。真っ黒な大地に、深紅の川、紫の木々が疎らに生えるような星だ。この星には、たった一つの生命体しか存在しない。そして、それは、永遠の命を持ち、何度でも再生する。


「お姉様、何をなさっているのですか?」

「うん……ちょっと待ってね。もうちょっとで完成するから」


 ラパパラへと宇宙船が降り立つ頃、私は懸命に小さなイヤリングを作っていた。そして……。


「できた! これで、イルト王子達の言葉が翻訳されるはずっ」


 青い小鳥型のイヤリング。それをすぐさま耳たぶにつければ、効果はすぐに発揮される。


「ユミリアお嬢様は、何を作ったのでしょうか?」


 私の完成の叫びに対して、メリーさんが不思議そうにミーシャへと尋ねている。


「ミーシャ、これは、この世界の言葉を翻訳して、私に伝えてくれるものだって伝えてみて?」

「っ、はい!」


 そうして伝えてもらえば、当然、イルト王子達も私の言葉が分かるようになる道具を欲しがったものの、さすがに、それを作る余裕はないので諦めてもらう。


「とりあえず、討伐に行って、たくさん素材を集めないとね」


 それぞれに紫の腕輪を渡してつけてもらうと、私は一直線に、この星で唯一の生命体が活動する領域へと向かう。


「その腕輪は、この星の毒素を無効化して、重力を私達に合ったものへと操作してるの。もちろん、酸素の供給だってしてくれてるから、これがライフラインってことになる。この星で活動する間は、外さないようにね?」


 そう告げて、ミーシャに私の言葉を伝えてもらった後、巨大な門のみがそびえる場所へとやってくる。


「門だけ……?」

「うん、門だけ。でも、ここをくぐれば、スペースドラゴンが敵対してくるから……準備は良いかな?」


 門の後ろには、代わり映えのない黒い大地が続くのみ。しかし、この門を開けることで、スペースドラゴンの領域に足を踏み入れることとなる。
 一様に真剣な表情を浮かべるメンバーを確認した私は、巨大な門へ両手を置き……一気に力を込めて、破壊した。


「ふぇえっ!? お姉様!?」

「見通しが良くなったよ?」

「あぁ、確かに、この方法の方が良いな」

「さすがはお嬢様です」


 と、そんな雑談をしている私達の元に、低い低い、唸り声が響く。


「グルルルルァァァァアッ!!!」


 怒り心頭。そうとしか見えない、闇色のドラゴンの姿が、そこにあらわになり、私達は各々の武器を手に、討伐を開始するのだった。









「よしっ、二十回目!」

「これで、素材は二十個か……あと、八十回だったか?」

「お嬢様、次は、私にお任せください。綺麗に倒してみせましょう」


 私の言葉は、イルト王子やメリーさんには伝わらないはずなのに、なぜか、普通に会話できている気分になる。


「え、えっと、お姉様……? さすがに、あれは、可哀想なのでは……?」


 ミーシャが示す『あれ』とは、討伐対象のスペースドラゴンのことだ。スペースドラゴンは不老不死のドラゴンだ。いや、正確には、死んでも数分後には蘇るドラゴンだ。だから、二十回心臓を抉り取られても、スペースドラゴンはまた心臓を再生させて、蘇ってくれる。つまりは……。


「素材、取り放題」

「キュルルルルゥゥウッ!!?」


 二十一回目の討伐。門の外に出なければスペースドラゴンは再生しないので、いちいち門の外へ出て、再生させてから入っていたのだが、三回目くらいまでは、まだ威勢が良かったのだ。四回目になると、少し怯えが混ざり、六回目になると、媚びたような鳴き声を発し始める。それでも討伐されると分かると、七回目から十回目辺りはヤケクソの攻撃を仕掛けてきて、十一回目となると逃げ回り、ブルブル震えて涙を流すようになる。十五回目からは、抵抗らしい抵抗もできない様子で、必死に媚びた鳴き声を出し続ける。十八回目からは、目が完全に死んでおり、今、二十一回目では、どうにも、私達の言葉を理解したらしく、必死になって大粒の涙を流して何かを訴えかけている。


「キュウッ、キュルルゥッ」

「……お、お姉様? これをまだ、討伐するんですか?」

「うん? だって、最低でも百個は必要だって最初に話したでしょう?」

「……それは、そう、なんですけど……」

「ふふっ、お嬢様のために、まだまだたくさん死んでくださいね?」

「ヒキュッ、キュウゥッ!!」


 そうこう話している間に、メリーさんがザシュッと殺してしまっていた。


「あっ、多分、これ着けたら、あのドラゴンの言葉が分かるよ?」


 メリーさんから素材(心臓)を受け取った私は、今思い出したとばかりに、赤い雫のイヤリングをミーシャに手渡す。


「お、お姉様……?」

「せめて、楽に死ねるように、ミーシャが交渉してみる?」


 そう告げれば、ミーシャは、絶望した表情を浮かべて、恐怖一色に染まったまま絶命したドラゴンへと視線を移し……。


「や、やってみます」


 顔を青くしながらも、応えてくれるのだった。
しおりを挟む
感想 344

あなたにおすすめの小説

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな
恋愛
市川みのり 31歳。 成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。 彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。 貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。 ※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

幽霊じゃありません!足だってありますから‼

かな
恋愛
私はトバルズ国の公爵令嬢アーリス・イソラ。8歳の時に木の根に引っかかって頭をぶつけたことにより、前世に流行った乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまったことに気づいた。だが、婚約破棄しても国外追放か修道院行きという緩い断罪だった為、自立する為のスキルを学びつつ、国外追放後のスローライフを夢見ていた。 断罪イベントを終えた数日後、目覚めたら幽霊と騒がれてしまい困惑することに…。えっ?私、生きてますけど ※ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください(*・ω・)*_ _)ペコリ ※遅筆なので、ゆっくり更新になるかもしれません。

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

処理中です...