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裏後編
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「な、なぜだ! 俺は、こんなにもシェリアを愛しているというのに!!」
そう叫ぶカークに対して、精霊はあくまでも冷静だった。
『ふむ、では、見届人を呼んで、お主の罪を全て並べようじゃないか』
パチン、という音と共に、誰かの悲鳴が聞こえる。
「な、何だ!」
「父上!? これは一体……?」
声の主は、この国の国王と王太子。つまりは、カークの父親と兄だ。
『これよりカーク・ド・トトッコの罪を並べ、精霊の試練を与える。よって、今しばらく口を利くことを禁ずる』
その瞬間、辺りはしん、と静まり返る。
そこからの精霊の言葉は、あまりにも残酷だった。
曰く、カークは自分の取り巻きにシェリアの悪質な噂を流させ、虐められるように仕向けた。
曰く、嫌がるシェリアに無理矢理関係を迫ろうと何度もしてきた。
曰く、シェリアが拒むようなことを言えば、権力を振りかざして脅した。
曰く、シェリアの教科書を破り、それをまるで他の者がやったかのように振る舞い、懐柔しようとした。
曰く、カークから追われるうちに足を踏み外し、階段から落ちたシェリアに酷い言葉を投げかけて放置した。
そして最後に、その全ての罪を、ナタリーに被せることで、シェリアを手に入れようと目論んだ。
その内容は、カークという存在がクズであるということの証明だったが、これで、シェリアが何に怯えていたのかが判明した。
きっと、悪質な虐めを繰り返し、それでも好意があると迫ってくる異常者が恐ろしくて仕方なかったのだろう。
『さて、最後に試練を与える。まずは、この先の内容を他言することを禁ずる』
そう言って、精霊は試練の内容を告げる。
『そうじゃのぉ、少なくとも、お主が歪んだ愛をぶつけておる少女との接触は禁ずる。声を掛けることも、その体に触れることも無しじゃ』
それを聞いたシェリアは、ほっと胸を撫で下ろす。
『もちろん、婚約破棄をしたのじゃから、元婚約者の少女にも接触禁止じゃ。その上で、新たにそこのリィナ・マーシャルを婚約者としようかのぉ』
言葉を発することを禁じられているが故に、誰も発言できないものの、ナタリーやシェリアは、リィナを巻き込んでしまったと思ったことだろう。
『そうそう、その娘は、お主のことをいたく気に入っておる。じゃから、リィナ・マーシャルと今から一年以内に婚約破棄、もしくは、結婚式を挙げるまでに婚約破棄をすることが試練のクリア条件じゃ。失敗すれば、試練の状態を脱することができぬまま、リィナと結婚することとなろう』
リィナと婚約するのに、婚約破棄をすることが試練。そう言われても、普通は意味が分からない。だからこそ、精霊の言葉は続く。
『権力を振りかざすのも、危害を加えるのも無しじゃ。そうしようとした瞬間、対価が発生する。お主自身が支払う対価がのぉ』
つまりは、強引な手段では婚約破棄を狙えないということ。それでも、頭を使えばもしかしたら婚約破棄できるかもしれないが、そもそもそのような頭がカークにあるとは思えない。
『失敗すればするほど、お主はリィナへ対価を支払わなければならん。それは、全て、お主自身が持ちうるものでなくばならん。対価の内容は、リィナが決めることとしようかのぉ』
それから、最後に精霊は告げる。
『あぁ、それと、リィナが何を要求したのかは当人同士以外には他言できぬようにしておこうかのぉ。せいぜい、足掻くが良い』
どこか邪悪さを滲ませた声音を最後に、眩しさは消えて、元の世界に戻る。
その後、カークは国王と王太子にみっちりと絞られ、リィナとの婚約破棄のために奔走することとなったが、結果としては、カークはリィナとの結婚を余儀なくされた。
祝福に満ちた式場で、カークは一人孤独に打ちひしがれていたという。
そう叫ぶカークに対して、精霊はあくまでも冷静だった。
『ふむ、では、見届人を呼んで、お主の罪を全て並べようじゃないか』
パチン、という音と共に、誰かの悲鳴が聞こえる。
「な、何だ!」
「父上!? これは一体……?」
声の主は、この国の国王と王太子。つまりは、カークの父親と兄だ。
『これよりカーク・ド・トトッコの罪を並べ、精霊の試練を与える。よって、今しばらく口を利くことを禁ずる』
その瞬間、辺りはしん、と静まり返る。
そこからの精霊の言葉は、あまりにも残酷だった。
曰く、カークは自分の取り巻きにシェリアの悪質な噂を流させ、虐められるように仕向けた。
曰く、嫌がるシェリアに無理矢理関係を迫ろうと何度もしてきた。
曰く、シェリアが拒むようなことを言えば、権力を振りかざして脅した。
曰く、シェリアの教科書を破り、それをまるで他の者がやったかのように振る舞い、懐柔しようとした。
曰く、カークから追われるうちに足を踏み外し、階段から落ちたシェリアに酷い言葉を投げかけて放置した。
そして最後に、その全ての罪を、ナタリーに被せることで、シェリアを手に入れようと目論んだ。
その内容は、カークという存在がクズであるということの証明だったが、これで、シェリアが何に怯えていたのかが判明した。
きっと、悪質な虐めを繰り返し、それでも好意があると迫ってくる異常者が恐ろしくて仕方なかったのだろう。
『さて、最後に試練を与える。まずは、この先の内容を他言することを禁ずる』
そう言って、精霊は試練の内容を告げる。
『そうじゃのぉ、少なくとも、お主が歪んだ愛をぶつけておる少女との接触は禁ずる。声を掛けることも、その体に触れることも無しじゃ』
それを聞いたシェリアは、ほっと胸を撫で下ろす。
『もちろん、婚約破棄をしたのじゃから、元婚約者の少女にも接触禁止じゃ。その上で、新たにそこのリィナ・マーシャルを婚約者としようかのぉ』
言葉を発することを禁じられているが故に、誰も発言できないものの、ナタリーやシェリアは、リィナを巻き込んでしまったと思ったことだろう。
『そうそう、その娘は、お主のことをいたく気に入っておる。じゃから、リィナ・マーシャルと今から一年以内に婚約破棄、もしくは、結婚式を挙げるまでに婚約破棄をすることが試練のクリア条件じゃ。失敗すれば、試練の状態を脱することができぬまま、リィナと結婚することとなろう』
リィナと婚約するのに、婚約破棄をすることが試練。そう言われても、普通は意味が分からない。だからこそ、精霊の言葉は続く。
『権力を振りかざすのも、危害を加えるのも無しじゃ。そうしようとした瞬間、対価が発生する。お主自身が支払う対価がのぉ』
つまりは、強引な手段では婚約破棄を狙えないということ。それでも、頭を使えばもしかしたら婚約破棄できるかもしれないが、そもそもそのような頭がカークにあるとは思えない。
『失敗すればするほど、お主はリィナへ対価を支払わなければならん。それは、全て、お主自身が持ちうるものでなくばならん。対価の内容は、リィナが決めることとしようかのぉ』
それから、最後に精霊は告げる。
『あぁ、それと、リィナが何を要求したのかは当人同士以外には他言できぬようにしておこうかのぉ。せいぜい、足掻くが良い』
どこか邪悪さを滲ませた声音を最後に、眩しさは消えて、元の世界に戻る。
その後、カークは国王と王太子にみっちりと絞られ、リィナとの婚約破棄のために奔走することとなったが、結果としては、カークはリィナとの結婚を余儀なくされた。
祝福に満ちた式場で、カークは一人孤独に打ちひしがれていたという。
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