アガルタ・クライシス ―接点―

来栖とむ

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 その頃、日本では衝撃的な情報がもたらされていた。
 宮内庁の秘密部署に、C国の道士を通して極秘の報告が入ってきていた。内容は、これまでの出来事を根底から覆すものだった。
「C国の上層部は、日本が異世界への不干渉という取り決めを破ったと認識しています」
 宮内庁の担当者が吉澤に説明していた。
「具体的には、日本が異世界の資源を独占するために、一部勢力と結託して侵攻を開始したという情報が流れているようです」
 吉澤は愕然とした。
「しかし、現在の使節団派遣も、その侵攻計画の一環として受け取られているようです」
「そんなことはありません。我々の調査団は問題の解決に向けた平和的な外交使節です」
 担当者が続けた。
「もちろん私は理解していますが、状況は非常に深刻です」
 同じ頃、安藤の元にもA国からの問い合わせが入っていた。長年の友人である秘密組織のメンバーからの連絡だった。
「なぜ日本とC国が急に、これまでの取り決めを破って異世界へ侵攻したのか?」
 電話の向こうから聞こえる友人の声は困惑していた。
「我々A国としても対応に苦慮している。真意を教えてほしい」
 安藤は混乱した。
「侵攻などしていない。我々は調査と外交交渉を行っているだけだ」
「しかし、こちらで入手した情報では、日本もC国も大規模な軍事行動を計画しているとされている」
「それは誤解だ」
 安藤が必死に説明したが、友人も半信半疑のようだった。
「とにかく、この件について緊急に協議する必要がある」
 友人が提案した。
「近いうちに、非公式の会談を設定しよう」

 これらの情報を総合して、吉澤と安藤は緊急会議を開いた。
「明らかに何者かが、我が国とC国を意図的に対立させようとしています」
 安藤が分析した。
「両国が異世界侵攻を計画しているという偽情報を流し、国際的な混乱を招いている」
「目的は何でしょうか?」
 鮎川が質問した。
「恐らく、混乱に乗じて真の侵攻を行おうとしている勢力があるのでしょう」
 吉澤が推測した。
「我々が疑心暗鬼になっている間に、本当の脅威が行動を起こす」
「プロネス族とその協力者たちですね」
 安藤が頷いた。
「彼らは地球の軍事技術を手に入れ、組織的に動いている。情報戦も含めた総合的な戦略を展開していると考えられます」
「では、どう対処すべきでしょうか?」
 鮎川が聞いた。
「まず、C国やA国との緊急会談を設定する必要があります」
 吉澤が方針を示した。
「誤解を解き、真の敵が誰なのかを共有しなければなりません」
「同時に、国内の警戒態勢も強化しなければなりません」
 安藤が付け加えた。
「敵は既に我が国内でも活動している可能性があります」
 三人は今後の行動計画について詳細な検討を行った。時間は限られており、一刻も早く行動を起こさなければならない。

 翌日、外務省を通じて極秘の外交チャンネルが開かれた。C国との非公式協議の場が設定されることになった。
「場所はどこにしますか?」
 外務省の担当者が聞いた。
「中立的な場所が望ましいでしょうが、他国まで知られるのはまずいかもしれませんね」
 吉澤が答えた。
「本来なら、シンガポールかマレーシアあたりになるのでしょうが、国内で秘密裏に行う方が、先方にとってもいいかもしれません」
「検討してみます」
 一方、A国との協議についても準備が進められた。安藤の友人関係を活用した非公式ルートでの接触だ。
「相手も事態の深刻さを理解しています」
 安藤が報告した。
「できるだけ早期の会談を希望しているようです」
「良いことです」
 吉澤が頷いた。
「この件では、我々は協力すべき立場にあります」
 しかし、時間的な制約もある。アガルタの使節団は既に調査を開始しており、現地での状況も刻々と変化している。
「現地の使節団との連絡は取れていますか?」
 安藤が心配した。
「申し訳ありませんが、通信手段が限られています」
 鮎川が答えた。
「定期的な連絡は困難な状況です」
「無事を祈るしかありませんね」
 吉澤がつぶやいた。
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