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翌朝、ユリナス(花巻吾郎)たちは新たに製作された工具を携えて、古代施設の修復作業に向かった。瘴気の森を抜け、岩の割れ目から地下の施設へと降りていく。
「工具の準備はできています」
ユリナスが確認した。
「慎重に作業を進めましょう」
問題の鉄の扉の前に立つと、ユリナスは工房で作ってもらった工具を取り出した。写真から推測した形状は正確で、特殊なネジにぴったりと合致した。
「素晴らしい、完璧に合いますね」
田中が感心した。
最初のパネルを開くと、内部には複雑な機械構造が見えた。現代の電子機器とは全く異なるが、明らかに高度な技術で作られている。
「これは……どういう仕組みなのでしょうか?」
山本が困惑した。
「私にもわかりません」
ユリナスが正直に答えた。
「しかし、物理的なロック機構があることはわかります」
何枚かのパネルを順番に開いていくと、徐々に機械的なロックがあらわになり、順次解除されていく。最後のパネルを開き、レバーを引いた瞬間、重厚な扉がゆっくりと開き始めた。
「成功しました!」
佐藤が喜びの声を上げた。
しかし、扉の向こうから噴き出してきたのは、視界を遮るほど濃密なマナだった。
「うわっ、これは……」
田中が驚いて後退した。
「まるで霧のようです」
ユリナスは冷静に対処した。両手を広げ、古代語で詠唱を始める。すると、部屋から噴き出していたマナが徐々に静まっていった。
「マナを制御しています」
ユリナスが説明した。
「少し時間がかかりますが、安全にしてみせます」
その間、サミアは部屋の内部を詳しく調べていた。
「兄さん、マナが漏れている箇所を特定しました」
サミアが報告した。
「あちらの大きな機械の一部です」
マナの濃度が下がってから部屋に入ると、そこは想像以上に広いスペースだった。天井は高く、壁には無数の配管や機械が設置されている。まるで巨大な工場の制御室のようだった。
「これがマナ生成施設の中枢部ですね」
ユリナスが感嘆した。
「始祖の古代技術の粋を集めた場所なのでしょうね」
サミアが問題箇所を指差した。複雑に見える機械の一部で、太いパイプに亀裂ができ、完全に外れている部分があった。
「このパイプの破損が、マナ漏れの主原因ですね」
田中がパイプの材質を調べようとしたが、見たことのない金属だった。銅のようにも見えるが、より赤みを帯びた美しい光沢を持っている。
「この金属は何でしょうか?」
山本が首をかしげた。
「それはヒヒイロカネですね」
ユリナスが答えた。
「ヒヒイロカネ?」
佐藤が聞き返した。
「日本の古代から伝わる伝説の金属ですが……」
「ええ、しかし伝説ではありません」
ユリナスが説明した。
「ヒヒイロカネは実在する金属で、マナの伝導性に優れた特殊な性質を持っています。ただし、テンジークでしか産出された例がないはずです」
一行は他の部屋も調べてみたが、代替用の部品は見つからなかった。
「応急処置しかできませんね」
ユリナスが困った表情で言った。
「他の素材と樹脂のような物質で、とりあえずパイプをつなぎ合わせることはできますが」
「それでも効果はありますか?」
田中が聞いた。
「ええ、それでもマナの漏れは格段に少なくなるでしょう」
サミアが答えた。
「しばらくすれば瘴気も薄くなるはずです」
作業は慎重に進められた。ユリナスとサミアが協力して、破損したパイプを仮修理する。使用したのは、施設内で見つけた他の金属片と、植物から抽出した天然の樹脂だった。
修理が完了すると、確かにマナの漏れは大幅に減少した。部屋の空気も以前より澄んで見える。
「成功ですね」
山本が安堵した。
「これで瘴気の問題は解決されるでしょう」
「ただし、これは応急処置に過ぎません」
ユリナスが注意を促した。
「いつまで持つかわからないのです」
「では、どうすれば根本的な解決になりますか?」
田中が質問した。
「テンジークでヒヒイロカネを入手し、部品を作って正式に修復する必要があります」
ユリナスが答えた。
「可能であれば、いずれそうしましょう」
一同は今後の計画について話し合った。
「テンジークは工房の主人の故郷でしたね」
佐藤が思い出した。
「馬で二週間の距離とのことでしたが、現在は戦争で危険だということでした」
「状況が落ち着いたら、調査を検討しましょう」
田中が提案した。
「今は、ナリア皇国の調査を優先する必要があります」
作業を終えた一行は、岩で割れ目を塞いでから施設を後にした。人や獣の不用意な侵入を防ぐためだ。
地上に出ると、森の空気が以前より清々しく感じられた。瘴気の濃度が確実に下がっているようだ。
「森の動物たちもきっと戻ってきますね」
サミアが空を見ながら呟く。
「とりあえずは、修復作業は成功したのだから、きっとそのうちには」
ユリナスが満足そうに言った。
「少なくとも当面の危険は去ったでしょう」
野営地に戻ると、レフュラン王国の兵士たちが安堵の表情で迎えてくれた。
「お疲れさまでした」
ガルヴィン大尉が労いの言葉をかけた。
「森から溢れ出していた瘴気が出てこなくなりました。成功されたのですか」
「ええ、瘴気の問題は解決しました」
田中が報告した。
「これで安全に通行できるようになります」
「素晴らしい成果です」
大尉が感謝した。
「王にも必ずお伝えします」
その夜、使節団はテントの中で今後の行程について話し合った。
「瘴気の森は片付きましたが、ナリア皇国の調査はこれからですね」
山本が言った。
「情報によると、状況はかなり深刻のようです」
サミアが暗い表情で頷いた。
「プロネス族の攻撃は予想以上に組織的で、現代兵器も使用されています」
「我々にできることは限られていますが」
田中が決意を込めて言った。
「できる限りの情報収集と、可能であれば人道的支援を行いましょう」
「工具の準備はできています」
ユリナスが確認した。
「慎重に作業を進めましょう」
問題の鉄の扉の前に立つと、ユリナスは工房で作ってもらった工具を取り出した。写真から推測した形状は正確で、特殊なネジにぴったりと合致した。
「素晴らしい、完璧に合いますね」
田中が感心した。
最初のパネルを開くと、内部には複雑な機械構造が見えた。現代の電子機器とは全く異なるが、明らかに高度な技術で作られている。
「これは……どういう仕組みなのでしょうか?」
山本が困惑した。
「私にもわかりません」
ユリナスが正直に答えた。
「しかし、物理的なロック機構があることはわかります」
何枚かのパネルを順番に開いていくと、徐々に機械的なロックがあらわになり、順次解除されていく。最後のパネルを開き、レバーを引いた瞬間、重厚な扉がゆっくりと開き始めた。
「成功しました!」
佐藤が喜びの声を上げた。
しかし、扉の向こうから噴き出してきたのは、視界を遮るほど濃密なマナだった。
「うわっ、これは……」
田中が驚いて後退した。
「まるで霧のようです」
ユリナスは冷静に対処した。両手を広げ、古代語で詠唱を始める。すると、部屋から噴き出していたマナが徐々に静まっていった。
「マナを制御しています」
ユリナスが説明した。
「少し時間がかかりますが、安全にしてみせます」
その間、サミアは部屋の内部を詳しく調べていた。
「兄さん、マナが漏れている箇所を特定しました」
サミアが報告した。
「あちらの大きな機械の一部です」
マナの濃度が下がってから部屋に入ると、そこは想像以上に広いスペースだった。天井は高く、壁には無数の配管や機械が設置されている。まるで巨大な工場の制御室のようだった。
「これがマナ生成施設の中枢部ですね」
ユリナスが感嘆した。
「始祖の古代技術の粋を集めた場所なのでしょうね」
サミアが問題箇所を指差した。複雑に見える機械の一部で、太いパイプに亀裂ができ、完全に外れている部分があった。
「このパイプの破損が、マナ漏れの主原因ですね」
田中がパイプの材質を調べようとしたが、見たことのない金属だった。銅のようにも見えるが、より赤みを帯びた美しい光沢を持っている。
「この金属は何でしょうか?」
山本が首をかしげた。
「それはヒヒイロカネですね」
ユリナスが答えた。
「ヒヒイロカネ?」
佐藤が聞き返した。
「日本の古代から伝わる伝説の金属ですが……」
「ええ、しかし伝説ではありません」
ユリナスが説明した。
「ヒヒイロカネは実在する金属で、マナの伝導性に優れた特殊な性質を持っています。ただし、テンジークでしか産出された例がないはずです」
一行は他の部屋も調べてみたが、代替用の部品は見つからなかった。
「応急処置しかできませんね」
ユリナスが困った表情で言った。
「他の素材と樹脂のような物質で、とりあえずパイプをつなぎ合わせることはできますが」
「それでも効果はありますか?」
田中が聞いた。
「ええ、それでもマナの漏れは格段に少なくなるでしょう」
サミアが答えた。
「しばらくすれば瘴気も薄くなるはずです」
作業は慎重に進められた。ユリナスとサミアが協力して、破損したパイプを仮修理する。使用したのは、施設内で見つけた他の金属片と、植物から抽出した天然の樹脂だった。
修理が完了すると、確かにマナの漏れは大幅に減少した。部屋の空気も以前より澄んで見える。
「成功ですね」
山本が安堵した。
「これで瘴気の問題は解決されるでしょう」
「ただし、これは応急処置に過ぎません」
ユリナスが注意を促した。
「いつまで持つかわからないのです」
「では、どうすれば根本的な解決になりますか?」
田中が質問した。
「テンジークでヒヒイロカネを入手し、部品を作って正式に修復する必要があります」
ユリナスが答えた。
「可能であれば、いずれそうしましょう」
一同は今後の計画について話し合った。
「テンジークは工房の主人の故郷でしたね」
佐藤が思い出した。
「馬で二週間の距離とのことでしたが、現在は戦争で危険だということでした」
「状況が落ち着いたら、調査を検討しましょう」
田中が提案した。
「今は、ナリア皇国の調査を優先する必要があります」
作業を終えた一行は、岩で割れ目を塞いでから施設を後にした。人や獣の不用意な侵入を防ぐためだ。
地上に出ると、森の空気が以前より清々しく感じられた。瘴気の濃度が確実に下がっているようだ。
「森の動物たちもきっと戻ってきますね」
サミアが空を見ながら呟く。
「とりあえずは、修復作業は成功したのだから、きっとそのうちには」
ユリナスが満足そうに言った。
「少なくとも当面の危険は去ったでしょう」
野営地に戻ると、レフュラン王国の兵士たちが安堵の表情で迎えてくれた。
「お疲れさまでした」
ガルヴィン大尉が労いの言葉をかけた。
「森から溢れ出していた瘴気が出てこなくなりました。成功されたのですか」
「ええ、瘴気の問題は解決しました」
田中が報告した。
「これで安全に通行できるようになります」
「素晴らしい成果です」
大尉が感謝した。
「王にも必ずお伝えします」
その夜、使節団はテントの中で今後の行程について話し合った。
「瘴気の森は片付きましたが、ナリア皇国の調査はこれからですね」
山本が言った。
「情報によると、状況はかなり深刻のようです」
サミアが暗い表情で頷いた。
「プロネス族の攻撃は予想以上に組織的で、現代兵器も使用されています」
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