アガルタ・クライシス ―接点―

来栖とむ

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 その頃、日本の外務省には、A国の大使館から電話があった。
「次の会談には、我々も同席したい」
 A国の担当官が告げた。
「彼らを同伴する」
「彼らとは?」
 外務省の担当者が尋ねたが、A国側は詳しく答えなかった。
 この知らせは外務大臣を通して総理にまで伝わった。
「どう対応すべきか」
 総理が吉澤に問い合わせ、吉澤は安藤と話をした。
「彼らとは、おそらく異星人のことです」
 安藤が落ち着いた口調で説明した。
「私たちは、彼らがアガルタの開発や門の設置、マナの散布なども行ったと考えています」
「異星人……」
 吉澤が息を呑んだ。
「基本的に、彼らは地球やアガルタのことに興味を示しません」
 安藤が続けた。
「しかし、今回は何か特別な理由があるのでしょう」
「A国というと、エリア51にいるという……」
「昔はそうだったらしいですが、今は違うようです」
 安藤が首を振った。
「彼らは必要に応じて姿を現します」

 その日の午後、総理官邸に呼ばれた吉澤と安藤は、閣僚たちを前に簡単に説明をした。
「先日の門の件といい、そんな大事なことを、どうして我々は知らされていないんだ!」
 ある閣僚が怒りをあらわにした。
「だって、みなさんはすぐに辞職されるでしょう」
 安藤がしれっとした顔で言った。
「そんな方に、地球規模のこんな大事な秘密を知らせることはできませんので」
「何だと!」
「それに、みなさんの中には大変口の軽い方もいらっしゃる」
 安藤が続けた。
「地元の後援会などで、ぽろっと話されては、たまったものではありませんから」
 焦りの顔を浮かべる吉澤と、怒りをあらわにする閣僚たち。
「今回は緊急事態ですので、ここにいらっしゃる方々にはお伝えしました」
 安藤は表情を変えずに続けた。
「これは世界規模の最高機密です。当然、他言無用です。万が一の場合は、強制的に黙っていただくことになるかもしれません」
「貴様、我々を脅すのか!」
 別の閣僚が立ち上がった。
「いいえ。脅しではなく、諫言とでも思っていただいたら良いかと」
 安藤が穏やかに答えた。
「もちろん私たちは何もしませんので、安心してください。ここは法治国家ですからね。ただ、世界ではそういうルールに縛られない方も一定数いらっしゃると聞いたことがあります。そういう方たちがどうされるかは知りませんが……」
 閣僚たちと総理が息を呑んだ。
 安藤は参加者を見回した。
「C国にも打診済みですので、我が国としてはA国にも参加していただくことで……了承していただいたということで良いでしょうか」
 総理は深く息を吸い、頷いた。
「……分かった。A国の参加を認めよう」
 こうして、A国の参加が決まった。
 室内には、青い顔をした閣僚たちの姿があった。彼らは今、自分たちが想像もしていなかった巨大な秘密の一端に触れたことを理解していた。
 そして、その秘密を守ることの重さも。
 吉澤は心の中で呟いた。
(安藤さん、もう少し言い方があったでしょうに……)
 しかし、安藤の表情は変わらなかった。この会に参加する前に、有吉からも厳しく釘を刺しておくようにと言われていた安藤にとって、これは必要な措置であった。
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