社畜、やり手CEOから溺愛されちゃいました

コミカライズ総括責任業務

日本橋デジタルオフィスビルの12階から15階が、サイバープロジェクトの本社フロア。
ノベルスターも子会社になってから、5階フロアに移転した。

「杉瀬さん、お久しぶり。ノベルスターのサーバ、あれから問題起きてない？」

「あ、あいかわずエラー500起きてますよ」

12階にあるシステム開発部へ行き、ノベルスターに出向してきて下さっていた永岡さんと三島さんに挨拶をする。

「ノベマガBOXのアプリ開発はできてるよ。目玉になるコミックの連載が決まってないからリリースが先延ばしになってるだけ」

ノベルスターからサイバープロジェクトに転籍する事になり、ノベマガBOXのアプリ開発の仕事を手伝うのかと思っていたら違うようで、どこに行けばいいか分からず、困る。

「ここにいますよ。……は、はい。社長室に行くよう伝えますね」

内線がかかってきて電話をとった永岡さん。

「杉瀬さん、神崎CEＯが社長室にきてって。社長室は15階フロアにあるから」

永岡さんに言われ、社長室へ向かう。
まさか神崎CEＯに呼び出されるとは思っていなかった。

「杉瀬さん、サイバープロジェクトに転籍させてごめんね。ノベルスターよりも労働条件はいいから安心して」

「……は、はい」

社長室に入ると執務机でパソコン仕事をしていた神崎CEＯが立ち上がり、応接セットの2人掛けソファーに座るよう案内された。

「杉瀬さんには私のサポート業務でコミカライズの総括について頂きます」

「……えっ、はぁ」

コミカライズの総括といわれても、どんな仕事をするかわからない。

「クリスタル出版社でノベルスターの投稿作品からコミカライズする作品のリストアップに立ち合い、クリエイターと漫画家との交渉にも同席し、完成したデジタル原稿をサイバープロジェクトの電子書籍開発部に引き渡すまでの仕事を頼む。ノベマガBOXとコミックサイトへの配信は第1話のできあがりを見て決める。女性向けの作品に関しての判断は杉瀬に任す」

さらっと神崎CEＯが業務内容を読み上げたけど、かなり重要な仕事を担わないといけない。

「水、金曜日の午前中は社長室に出社して、後はここの10階フロアのクリスマス出版社に行って」

「……は、はい」

UGCサイトのシステム開発からコミカライズ作品の制作に携わる事になり、やり甲斐のある仕事だけどヒット作を生み出す事ができるか不安にかられる。

「杉瀬さんならできる。杉瀬さんにしかこの仕事は任せられない」


神崎CEＯがクリスタル出版社のコミカライズ制作部メンバーに私を紹介して下さり、その後、コミカライズする作品の拾い上げ会議に同席する。

ノベルスターに投稿されてる作品は宝の山で、多くの人に読んで貰って感動して欲しいと思った。