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カルト教団と修道騎士 2
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試練の塔のゴブリンの時も思ったのだが、どうしてここの奴らはすぐに立て籠りたがるのだろうか。立て籠って要求が通った事があるのか?
寧ろ命の軽いこの星で、犯人グループは人質諸共全滅、ってパターンが多そうな気がするんだが。
後ろを振り返ると、モタモタ歩く俺にサーカが早く進めと合図をしている。いい気なもんだな。現場責任者か何かになったつもりか? この事件の担当は菜の花騎士団だろ。
それに俺だって怖いんだぞ。制御チップが恐怖を抑えてくれるからいいけど、やっぱ怖いもんは怖いんだ。
カルト教団”星の棺桶“に占拠された村を歩いていると、どこに隠れていたのか、突然胸の部分に星のマークが入った紺色のローブを着る樹族や地走り族に囲まれた。
「なんだ貴様は!」
思わず「なんだ貴様はってか! そうでぃす、わたすが・・・」と言いそうになったが、こいつらを警戒させない為にも、俺はサーカが大好きなウスノロオーガを演じる。
「お、おで、ご主人様に言われて、食べ物をもっできました」
亜空間ポケットから取り敢えずリンゴを出して見せると、いかにもモブキャラクターと言った感じの樹族の男が「無限鞄か」と呟く。
「ふん、奴隷・・・、おっと、今は下僕か従者と言った方が良いか? その下僕に無限鞄を持たせるとはな。主様は余程の金持ちなのだろう。まぁいい。ではさっさと食料を置いて去れ」
いやいやいや、それじゃあ困るんです。内情を探らないまま帰ったら、サーカさんの罵倒が待ってますので。
「おでは、料理人なので皆さんに温かい食事を用意する事ができまんす」
「なるほど。機嫌を取って油断させるつもりか。まぁいいさ。毒や眠り薬が入っていたら困るから、貴様を毒見役とする」
よし、良いぞ。いや、俺も人質になるから良くないけど。
三人の信者に連れられて村の集会所のような建物まで来た。
途中で村人の姿を見ていない。見張りは十人ほどか。きっと魔法を使って警戒しているだろうから、潜入も難しいのだろうな。
俺は案内された建物に入ると、人質の数をざっと見る。
百人ほどか? 結構いる。子供は別の場所にいるのか見当たらない。地走り族や獣人、ごく僅かに樹族がいる。皆俺と同じ非戦闘員だろうし、怯え過ぎたのか憔悴しきっている。可哀想に。
「住民の諸君。このオーガが料理を作ってくれるそうだ。騎士様の気遣いに感謝だな!」
狂信者の皮肉を込めた言い方に俺はイラっとしたが、料理にとりかかる為に一応台所を探した。別にどこでも料理できるんだけどね。
「台所はどこでずか?」
樹族の男は顎で台所のある場所を指した。
「あっちだ。自分で行け。それから台所には修道騎士を閉じ込めてある。逃がすなよ? まぁ強力な悪魔に見張らせてあるから、余計な事をした時点でお前は死ぬがな。気を付けたまえ。ハハハ!」
「はい、ご忠告あでぃがとうごだいます」
俺は卑屈にお辞儀をして、樹族の前を通り過ぎた。
それにしてもおかしいな。こいつら星のオーガの信者ってわりに、それを示すシンボルを持っていないぞ。
樹族の中でも信心深い人は、木の形をしたペンダントを信仰の証として見えるように首から下げていた。星のオーガ教の亜種であるこの星の棺桶の信者も、何かしらのシンボルを持っていてもおかしくはないはずだけどよ・・・。
でもこいつらは何一つ共通するシンボルを持っていない。衣服の星のマークだって尖りが5つであったり6つであったりと統一性がない。
(まぁ金儲け用の、急ごしらえカルト集団なのかもしれないな)
俺が台所の扉をノックすると、結界が消えてドアが開いた。
中に入ると同時に、縛られた地走り族が突っ込んでくる。
「退いてぇ! オーガさん!」
しかし、彼女の努力虚しく、結界が再び発生し、て扉は閉じてしまった。俺は股間に頭突きをしてきた地走り族の騎士を体から離した。
「(いってぇ~! キンタマいってぇわ! くそ!)おでは料理をしに来ただけなので、退いてつかーさい」
「そうだぜ、嬢ちゃん。あまり何度も逃げようとするなら、もっと縛り上げなくちゃなんねぇ」
台所の端で壁に寄りかかる黒髪長髪の男がそう言った。こいつが悪魔? うーん、人間にしか見えないけどなぁ・・・。異世界人なんじゃないの?
あまりジロジロ見るのも怪しまれるので、俺は人質の修道騎士を抱き上げて、置いてある丸椅子に座らせた。
こんな時ではあるが、彼女の銀色の癖毛は綺麗だな・・・などと思いつつ、俺は髪と同じ銀色の目に向かってウィンクをした。
(助けに来たんだ、気づいてくれ)
解ったのかどうかわからないが、修道騎士の女は顔を赤らめただけだった。多分、解ってない・・・。
と同時に指輪の効果で彼女の情報が流れ込んでくる。
名前はメリィ・メリィ。時々名前と苗字が同じ人がいるな。地走り族、女性、17歳。同い年だ。アライメントは法の下の善人。実力値10 力13 生命力16 器用さ12 素早さ13 魔力12 知恵8 信仰心18 生命点は50。バスト90。それは今はどうでもいい。如何にも聖職者って感じのステータスだな。ちょっと頭が悪い気がするが・・・。
修道騎士とは聖騎士のような特殊な支援効果とかが、何もないから下位互換なんだろう。それでも奇跡の祈りがあるのはありがたい。
もし俺の仲間や騎士達が強行突入してきた場合、けが人が出るのは必至だろう。
持ってる数個のエンチャント・パンと再生の魔法だけじゃ足りない。なので癒し手である彼女がいてくれると助かる。
俺は調理器具と食料を取り出すと、壁にもたれかかっていた悪魔が口笛を吹いた。
「ひゅ~。その調理器具、日本語が書かれてるな。なんだ、あんたも地球人か。やたらデカいから、普通にこの世界のオーガかと思ったぜ。まぁ所作から滲み出る上品さを見れば、普通のオーガじゃないってのはわかったけどな」
(げぇー! って事はこの悪魔はやっぱり異世界人か? しかも異世界の地球人?)
「異世界人か?」
「そういう事になるのか。一応2018年までは東京に住んでいたんだぜ? それ以降は異世界で暮らしてるけどよ。あんたも異世界人だろ?」
いや、違うんだなぁ、これが。俺はれっきとしたこの世界の住人なんだわ。へぇこの人、大昔の地球人なのか。似たような平行世界からやって来たのかな?
「ははは、まぁそんなとこ。じゃあ、あんたは召喚契約で、嫌々カルト教団に手を貸しているのか?」
「そうだ。召喚された時にうっかりと得物を取り上げられてしまってな。まぁ武器が無くても俺は強いんだが、流石に素手で警戒中の魔法使いを相手にしたり、結界を破ったりするのは無理でよぉ。愛刀天邪鬼が手元にあれば容赦なく・・・」
「じゃあさ、もしその刀を持ってきたら、人質救出作戦を手伝ってくれるか?」
「勿論だ。天邪鬼さえあれば結界も壊せるし、刀で魔法もぶった斬ってみせるさ」
俺は識別の指輪をはめた右手を差し出したが、相手は左利きだったので俺も左手で握手した。まぁ素性を探らなくてもわかる。この男からオーラのように立ち上る強キャラ感は、半端ない。
「俺はミチ・オビオ」
「俺はムラサメ・キリマル。変な名前だろ? アニメが大好きな親が名付けたからよ」
「そんなことないよ、カッコイイ。よろしく。で、あんたはどうする? 修道騎士様」
彼女の銀色の瞳が泳いでいる。垂れ目がどうしていいのか解らないといっている。
俺は彼女とも握手をしようとしたが、この国に握手の習慣がなかったのを思い出して引っ込めた。
「あの・・・事情が飲みこめませ~ん。どぉいう事ですかぁ~?」
お、喋り方がフランちゃんとよく似ている。おっぱいも大きいし、地走り族の騎士ってこういう傾向があるのか? 知らんけど。
「ほら、これ見て」
俺はマントの下の鎧の胸の部分に浮き出るウォール家の紋章を見せた。
「わぁ、ウォール家の・・・」
「外にはシルビィ隊の隊員(仮)や騎士もいる。きっと上手く人質を解放してくれるさ。チャンスが来るまでなんとか頑張ろう」
「は~い」
緊張感がないところも同じだな。フランちゃんもそうだったけど、背の高い地走り族は人間にしか見えないな。
「取り敢えず料理を作って配ってる間に、刀をなんとか手に入れるよ」
「ああ、頼んだぜ」
「よくよく考えたら潜入に向いている者がここにいたな」
サーカは腕を組んでピーターを睨み付けている。
「最初から彼を潜入させるべきだったでやんすね」
「そうだぞ、騎士様。なんでオビオなんか選んだんだ」
ヤンスとトウスに責められて、サーカは手を水平に薙ぎ払った。
「うるさい! あいつは狂信者どもを油断させる為に送ったのだ。それにパーティの中で一番しぶといだろう? ちょっとやそっとの事では死ぬことはない! なんならお前らが行っても良かったのだがぁ?」
「ひでぇでやんす」
「オビオにおんぶにだっこ過ぎねぇか? 俺ら。騎士様もなんか良い案をオビオに教えたのかと思ったら、丸投げだしよ」
「うるさいぞ!」
怒りつつも、サーカは茂みに隠れようとするピーターの襟首を掴んで引っ張った。
「やだよ! 僕、怖いよ!」
「黙れ、これは決定事項だ。様子を見て帰ってくるだけでいい。お前は陰や茂みに入るだけで、気付かれにくくなるのだから行ってこい!」
ピーターは観念して項垂れた後に、目を輝かせてサーカに言った。
「解った、行くよ。でも報酬としておっぱい触らせてよ!」
「オビオが言っていた通り、お前は本当に欲望に忠実だな! 私も今、お前を殺したくなってきた。その殺意に従った方が良いか?」
「うわぁぁ! わかったから! 行くよ! 行く行く!」
サーカの手から発生する稲光を見たピーターは慌てて村の中へと入って行った。
寧ろ命の軽いこの星で、犯人グループは人質諸共全滅、ってパターンが多そうな気がするんだが。
後ろを振り返ると、モタモタ歩く俺にサーカが早く進めと合図をしている。いい気なもんだな。現場責任者か何かになったつもりか? この事件の担当は菜の花騎士団だろ。
それに俺だって怖いんだぞ。制御チップが恐怖を抑えてくれるからいいけど、やっぱ怖いもんは怖いんだ。
カルト教団”星の棺桶“に占拠された村を歩いていると、どこに隠れていたのか、突然胸の部分に星のマークが入った紺色のローブを着る樹族や地走り族に囲まれた。
「なんだ貴様は!」
思わず「なんだ貴様はってか! そうでぃす、わたすが・・・」と言いそうになったが、こいつらを警戒させない為にも、俺はサーカが大好きなウスノロオーガを演じる。
「お、おで、ご主人様に言われて、食べ物をもっできました」
亜空間ポケットから取り敢えずリンゴを出して見せると、いかにもモブキャラクターと言った感じの樹族の男が「無限鞄か」と呟く。
「ふん、奴隷・・・、おっと、今は下僕か従者と言った方が良いか? その下僕に無限鞄を持たせるとはな。主様は余程の金持ちなのだろう。まぁいい。ではさっさと食料を置いて去れ」
いやいやいや、それじゃあ困るんです。内情を探らないまま帰ったら、サーカさんの罵倒が待ってますので。
「おでは、料理人なので皆さんに温かい食事を用意する事ができまんす」
「なるほど。機嫌を取って油断させるつもりか。まぁいいさ。毒や眠り薬が入っていたら困るから、貴様を毒見役とする」
よし、良いぞ。いや、俺も人質になるから良くないけど。
三人の信者に連れられて村の集会所のような建物まで来た。
途中で村人の姿を見ていない。見張りは十人ほどか。きっと魔法を使って警戒しているだろうから、潜入も難しいのだろうな。
俺は案内された建物に入ると、人質の数をざっと見る。
百人ほどか? 結構いる。子供は別の場所にいるのか見当たらない。地走り族や獣人、ごく僅かに樹族がいる。皆俺と同じ非戦闘員だろうし、怯え過ぎたのか憔悴しきっている。可哀想に。
「住民の諸君。このオーガが料理を作ってくれるそうだ。騎士様の気遣いに感謝だな!」
狂信者の皮肉を込めた言い方に俺はイラっとしたが、料理にとりかかる為に一応台所を探した。別にどこでも料理できるんだけどね。
「台所はどこでずか?」
樹族の男は顎で台所のある場所を指した。
「あっちだ。自分で行け。それから台所には修道騎士を閉じ込めてある。逃がすなよ? まぁ強力な悪魔に見張らせてあるから、余計な事をした時点でお前は死ぬがな。気を付けたまえ。ハハハ!」
「はい、ご忠告あでぃがとうごだいます」
俺は卑屈にお辞儀をして、樹族の前を通り過ぎた。
それにしてもおかしいな。こいつら星のオーガの信者ってわりに、それを示すシンボルを持っていないぞ。
樹族の中でも信心深い人は、木の形をしたペンダントを信仰の証として見えるように首から下げていた。星のオーガ教の亜種であるこの星の棺桶の信者も、何かしらのシンボルを持っていてもおかしくはないはずだけどよ・・・。
でもこいつらは何一つ共通するシンボルを持っていない。衣服の星のマークだって尖りが5つであったり6つであったりと統一性がない。
(まぁ金儲け用の、急ごしらえカルト集団なのかもしれないな)
俺が台所の扉をノックすると、結界が消えてドアが開いた。
中に入ると同時に、縛られた地走り族が突っ込んでくる。
「退いてぇ! オーガさん!」
しかし、彼女の努力虚しく、結界が再び発生し、て扉は閉じてしまった。俺は股間に頭突きをしてきた地走り族の騎士を体から離した。
「(いってぇ~! キンタマいってぇわ! くそ!)おでは料理をしに来ただけなので、退いてつかーさい」
「そうだぜ、嬢ちゃん。あまり何度も逃げようとするなら、もっと縛り上げなくちゃなんねぇ」
台所の端で壁に寄りかかる黒髪長髪の男がそう言った。こいつが悪魔? うーん、人間にしか見えないけどなぁ・・・。異世界人なんじゃないの?
あまりジロジロ見るのも怪しまれるので、俺は人質の修道騎士を抱き上げて、置いてある丸椅子に座らせた。
こんな時ではあるが、彼女の銀色の癖毛は綺麗だな・・・などと思いつつ、俺は髪と同じ銀色の目に向かってウィンクをした。
(助けに来たんだ、気づいてくれ)
解ったのかどうかわからないが、修道騎士の女は顔を赤らめただけだった。多分、解ってない・・・。
と同時に指輪の効果で彼女の情報が流れ込んでくる。
名前はメリィ・メリィ。時々名前と苗字が同じ人がいるな。地走り族、女性、17歳。同い年だ。アライメントは法の下の善人。実力値10 力13 生命力16 器用さ12 素早さ13 魔力12 知恵8 信仰心18 生命点は50。バスト90。それは今はどうでもいい。如何にも聖職者って感じのステータスだな。ちょっと頭が悪い気がするが・・・。
修道騎士とは聖騎士のような特殊な支援効果とかが、何もないから下位互換なんだろう。それでも奇跡の祈りがあるのはありがたい。
もし俺の仲間や騎士達が強行突入してきた場合、けが人が出るのは必至だろう。
持ってる数個のエンチャント・パンと再生の魔法だけじゃ足りない。なので癒し手である彼女がいてくれると助かる。
俺は調理器具と食料を取り出すと、壁にもたれかかっていた悪魔が口笛を吹いた。
「ひゅ~。その調理器具、日本語が書かれてるな。なんだ、あんたも地球人か。やたらデカいから、普通にこの世界のオーガかと思ったぜ。まぁ所作から滲み出る上品さを見れば、普通のオーガじゃないってのはわかったけどな」
(げぇー! って事はこの悪魔はやっぱり異世界人か? しかも異世界の地球人?)
「異世界人か?」
「そういう事になるのか。一応2018年までは東京に住んでいたんだぜ? それ以降は異世界で暮らしてるけどよ。あんたも異世界人だろ?」
いや、違うんだなぁ、これが。俺はれっきとしたこの世界の住人なんだわ。へぇこの人、大昔の地球人なのか。似たような平行世界からやって来たのかな?
「ははは、まぁそんなとこ。じゃあ、あんたは召喚契約で、嫌々カルト教団に手を貸しているのか?」
「そうだ。召喚された時にうっかりと得物を取り上げられてしまってな。まぁ武器が無くても俺は強いんだが、流石に素手で警戒中の魔法使いを相手にしたり、結界を破ったりするのは無理でよぉ。愛刀天邪鬼が手元にあれば容赦なく・・・」
「じゃあさ、もしその刀を持ってきたら、人質救出作戦を手伝ってくれるか?」
「勿論だ。天邪鬼さえあれば結界も壊せるし、刀で魔法もぶった斬ってみせるさ」
俺は識別の指輪をはめた右手を差し出したが、相手は左利きだったので俺も左手で握手した。まぁ素性を探らなくてもわかる。この男からオーラのように立ち上る強キャラ感は、半端ない。
「俺はミチ・オビオ」
「俺はムラサメ・キリマル。変な名前だろ? アニメが大好きな親が名付けたからよ」
「そんなことないよ、カッコイイ。よろしく。で、あんたはどうする? 修道騎士様」
彼女の銀色の瞳が泳いでいる。垂れ目がどうしていいのか解らないといっている。
俺は彼女とも握手をしようとしたが、この国に握手の習慣がなかったのを思い出して引っ込めた。
「あの・・・事情が飲みこめませ~ん。どぉいう事ですかぁ~?」
お、喋り方がフランちゃんとよく似ている。おっぱいも大きいし、地走り族の騎士ってこういう傾向があるのか? 知らんけど。
「ほら、これ見て」
俺はマントの下の鎧の胸の部分に浮き出るウォール家の紋章を見せた。
「わぁ、ウォール家の・・・」
「外にはシルビィ隊の隊員(仮)や騎士もいる。きっと上手く人質を解放してくれるさ。チャンスが来るまでなんとか頑張ろう」
「は~い」
緊張感がないところも同じだな。フランちゃんもそうだったけど、背の高い地走り族は人間にしか見えないな。
「取り敢えず料理を作って配ってる間に、刀をなんとか手に入れるよ」
「ああ、頼んだぜ」
「よくよく考えたら潜入に向いている者がここにいたな」
サーカは腕を組んでピーターを睨み付けている。
「最初から彼を潜入させるべきだったでやんすね」
「そうだぞ、騎士様。なんでオビオなんか選んだんだ」
ヤンスとトウスに責められて、サーカは手を水平に薙ぎ払った。
「うるさい! あいつは狂信者どもを油断させる為に送ったのだ。それにパーティの中で一番しぶといだろう? ちょっとやそっとの事では死ぬことはない! なんならお前らが行っても良かったのだがぁ?」
「ひでぇでやんす」
「オビオにおんぶにだっこ過ぎねぇか? 俺ら。騎士様もなんか良い案をオビオに教えたのかと思ったら、丸投げだしよ」
「うるさいぞ!」
怒りつつも、サーカは茂みに隠れようとするピーターの襟首を掴んで引っ張った。
「やだよ! 僕、怖いよ!」
「黙れ、これは決定事項だ。様子を見て帰ってくるだけでいい。お前は陰や茂みに入るだけで、気付かれにくくなるのだから行ってこい!」
ピーターは観念して項垂れた後に、目を輝かせてサーカに言った。
「解った、行くよ。でも報酬としておっぱい触らせてよ!」
「オビオが言っていた通り、お前は本当に欲望に忠実だな! 私も今、お前を殺したくなってきた。その殺意に従った方が良いか?」
「うわぁぁ! わかったから! 行くよ! 行く行く!」
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