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第44話 虚弱聖女と嫉妬
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「まさか、レイ様とルヴィスさんが、そういう関係だったなんて……」
心の声が、思わず独り言となって唇から洩れてしまった。
システィーナ様とルゥナ様との話し合いは、驚きの連続だった。
でも今一番頭の中を占めているのは、レイ様とルヴィスさんの関係だ。
ティッカさんが少し興奮しながら、
「やはり……そうなのですね!」
と呟いていたのも気になるし。
胸の奥が苦しい。
相手がレイ様が好きな相手が長年連れ添ったルヴィスさんなら、と納得しつつ、でも納得したくない自分もいる。
まるで心の中に、別の自分がいるみたいで、とても気持ちが悪い。
ふと気づけば、私の目の前には、城の屋上が広がっていた。明々とした王都の光が、瞳の中に飛び込んでくる。
ふと、クロラヴィア王国に残された育ての親ネルロ様のことが頻繁に頭を過った。私が幸せを享受している間、あの方は一体どんな目に遭っているのだろう。
私は……向き合わなければならないのかもしれない。
追放された故郷と、もう一度――
思考が奥深くに沈んでいく。
そのとき、
「一体誰かと思えば、今度はセレスティアルか。今宵は来客が多いのう」
底抜けの明るい声が、夜の静寂を震わせた。
声の方向を見ると、システィーナ様がいらっしゃった。レイ様と謁見したときとは違い、肌を覆う服を身につけていらっしゃる。
月夜と街の光に照らされたシスティーナ様のお姿は、とてもお美しい。
近づいてくる私の視線に気づいたのだろうか。
「なんじゃ、セレスティアル。お主、もしかしてわしに惚れたのか?」
といたずらっ子のような含み笑いを浮かべられた。冗談だとは分かっていても、同性である私すら一瞬ドキッとしてしまう。
同性なのに、一体何をどうしたら、これほど美しく、艶やかな女性になれるの? 秘訣があったらお聞きしたい――なんて、私、一体何を考えているのだろう。
さっきから気持ちがまとまらない。
考えなければならないことが山積みなのに……
「……なんじゃ、その渋い顔は」
少し呆れたようなシスティーナ様の発言によって、自分の鬱々とした気持ちが表に出ていることに気づく。
間違った捉え方をされたと思い、私は慌てて首を横に振った。
「い、いいえ! あのっ、ちょっと色々と自己嫌悪に陥っていて……だから、システィーナ様のせいでは!」
「分かっておる、分かっておる。悩んでいるようじゃな? レイ王のことか?」
「な、何故それを……」
ずばり言い当てられ、心臓が跳ね上がった。そのせいで、心にとどめておくべき言葉が口を衝いて出てしまった。
しまったと口を押さえたけれど、すでに遅い。
システィーナ様は口元を扇で隠すと、目元を細めた。してやったり、といった表情だ。
隠し事は無理そう。
私は長く息を吐き出すと、少し口ごもりながら言葉を紡いだ。
「あ、あのっ……レイ様に想い人が……あのっ、そのっ、よ、喜びたいのに、驚きが先に来ているというか……」
私の言葉を聞き、システィーナ様は小さく声を上げた。扇を持っていない手が、やった! と言わんばかりに拳を作る。
「ふふっ、やっと気づいたんじゃな? だがそれほど驚くことか? あの男は好意を隠せぬから、皆気づいていたと思うぞ?」
「そっ、そうなのですか!?」
「なんじゃ……お主、気づいておらんかったのか?」
「は、はい……全く。仲は良いとは……思っていましたが……」
「仲が良いにしては、度が過ぎとったじゃろう。手を繋いだり、くっついたり」
「そ、そんなことまで!?」
レイ様とルヴィスさん、くっついていたっけ!?
「いや、何故お主が驚く? しとったじゃろ! わしらの目の前で!!」
「いえいえ! レイ様とルヴィスさんがそんなことされてたら、絶対に覚えてますって!」
私の返答に、システィーナ様が信じられない様子で瞳を見開いた。
パンっと扇を閉じる音がした。システィーナ様が、閉じた扇の先で額を押さえている。
そして深すぎるため息。
「はぁぁぁぁぁ……まさか、これほどの鈍感が実在するとは、思わんかったのぅ……」
「? どうかされました?」
「いや、こっちの話じゃ……」
どこか遠い目をしながら、システィーナ様が首を振った。
でも気を取り直したように再び扇を開くと、先ほどのように口元を隠した。
深緑の瞳が、スッと細くなる。
「で……お主は、レイ王がルヴィスを好きだと知って、何を思ったんじゃ?」
「えっ? そ、それは……」
苦しい。
でも無理やり口角を上げると、声を明るく努める。
「う、嬉しい……ですよ。お二人は幼い頃からの関係ですし……で、でも同性っていうのに驚いたというか……」
「なら、ルヴィスが女性じゃったらいいのか? もしくは、別の女性なら良いのか? 例えば……あの場にいたティッカとかいう侍女とか」
急に私の周囲から音が消えた。
ただ一つ聞こえてくるのは、体の中で鳴り響く心臓の音だけ。
まるで緊張しているかのように、ものすごい速さで鳴り響いている。それに合わせて、全身の血が駆け巡り、体が熱くなる。
その熱が頭の中にも回ってるみたい。熱の塊を無理やり詰め込まれ、何も考えられなくなっていく。
私、ちゃんと立ててる?
私、ちゃんと呼吸できてる?
好きな人と幸せになるレイ様を、祝福、でき、る……?
「わ、わしが悪かった! こんなところをレイ王に見られれば、大変じゃっ!」
システィーナ様の慌て声とともに、両肩を掴まれゆすられる。
沈んでいた意識が、急に現実に引き戻された。
どんな時も余裕そうなシスティーナ様が、困惑した様子で私の顔を覗き込んでいた。
「ほれ、泣くな。可愛い顔が台無しじゃぞ?」
「泣いて、る……?」
頬に伝う生暖かいものに触れると、指先が濡れた。一筋の涙が頬を伝って流れていたのだ。
システィーナ様に言われるまで、全く気づかなかった……
しかし自分が泣いていると気づいた瞬間、心の奥深くに押し込んでいたものがはじけ飛んだ。ぽろぽろと大粒の涙になってこぼれ落ちて止まらなくなる。
口元を手で覆いながら、嗚咽に変わりそうになる声を言葉に変える。まるでせき止められていた水の流れが、一気に放流されたかのように止められない。
「わたしっ……レイ様とルヴィスさんの幸せを――いいえ、レイ様が愛する人と幸せになることを心の底から祝いたいんです。喜びたいんです! なのに……なのにっ!」
あの方は私に居場所をくれた。
こんな私を大切にしてくれた。
そして
『俺は、セレスティアルが好きだ』
幸せをくれた――
気づきたくなかった。
認めたくなかった。
「なのに……よ、喜べない……わたし……」
大切な人の幸せを望めない醜い心なんて、いらない。
こんな自分を、消してしまいたい。
涙が止まらない。
声はとうとう嗚咽へと代わり、何を言っても言葉にならなかった。
美しく煌めく街の光と星空の元、私の嗚咽が響く。
不意に体が温もりに包まれた。
システィーナ様が、私を抱きしめてくださっていた。
肩を震わせて泣く私の背中を優しく撫でながら、まるで子どもに語りかけるような柔らかな声色で仰った。
「それはのぅ、セレスティアル。『嫉妬』と呼ばれるものじゃ」
嫉妬――
言葉は知っている。
自分よりも恵まれた他人を恨み、妬むときの感情。
そして――自分の好きな相手が別の相手に関心を向けるのを、許せないときの感情。
だけど、
「わ、わたし……ルヴィスさんのこと、すき、です! ティッカさんのことだって!」
お二人だけじゃない。
ルミテリス王国で出会った人たち皆が大好きだ。
温かくて優しくて、私が大切にしたいと思っている人ばかり。
妬む理由なんてない。断言できる。
システィーナ様の声色が、私の鼓膜を震わせる。
「ならば、逆に考えてみようかの。ルヴィスとティッカが恋仲なら、お主はどう思う?」
「……嬉しい、です。心の底から祝福、できま、す……」
「なら、わしとルヴィスはどうかのぅ?」
「えっ、あ、あのっ、驚きはしますが……お祝いできると、思います……」
「他の者は祝福でき、レイ王だと嫉妬してしまう。もう答えは明白じゃろ?」
ふふっと軽やかな笑い声が、空気を震わせる。
システィーナ様が私の両肩を掴んで体を離すと、深緑の瞳を細めながら、真っ直ぐ私を見据えた。
「お主がレイ王に抱く好意――人はそれを『恋』と呼ぶんじゃ」
心の声が、思わず独り言となって唇から洩れてしまった。
システィーナ様とルゥナ様との話し合いは、驚きの連続だった。
でも今一番頭の中を占めているのは、レイ様とルヴィスさんの関係だ。
ティッカさんが少し興奮しながら、
「やはり……そうなのですね!」
と呟いていたのも気になるし。
胸の奥が苦しい。
相手がレイ様が好きな相手が長年連れ添ったルヴィスさんなら、と納得しつつ、でも納得したくない自分もいる。
まるで心の中に、別の自分がいるみたいで、とても気持ちが悪い。
ふと気づけば、私の目の前には、城の屋上が広がっていた。明々とした王都の光が、瞳の中に飛び込んでくる。
ふと、クロラヴィア王国に残された育ての親ネルロ様のことが頻繁に頭を過った。私が幸せを享受している間、あの方は一体どんな目に遭っているのだろう。
私は……向き合わなければならないのかもしれない。
追放された故郷と、もう一度――
思考が奥深くに沈んでいく。
そのとき、
「一体誰かと思えば、今度はセレスティアルか。今宵は来客が多いのう」
底抜けの明るい声が、夜の静寂を震わせた。
声の方向を見ると、システィーナ様がいらっしゃった。レイ様と謁見したときとは違い、肌を覆う服を身につけていらっしゃる。
月夜と街の光に照らされたシスティーナ様のお姿は、とてもお美しい。
近づいてくる私の視線に気づいたのだろうか。
「なんじゃ、セレスティアル。お主、もしかしてわしに惚れたのか?」
といたずらっ子のような含み笑いを浮かべられた。冗談だとは分かっていても、同性である私すら一瞬ドキッとしてしまう。
同性なのに、一体何をどうしたら、これほど美しく、艶やかな女性になれるの? 秘訣があったらお聞きしたい――なんて、私、一体何を考えているのだろう。
さっきから気持ちがまとまらない。
考えなければならないことが山積みなのに……
「……なんじゃ、その渋い顔は」
少し呆れたようなシスティーナ様の発言によって、自分の鬱々とした気持ちが表に出ていることに気づく。
間違った捉え方をされたと思い、私は慌てて首を横に振った。
「い、いいえ! あのっ、ちょっと色々と自己嫌悪に陥っていて……だから、システィーナ様のせいでは!」
「分かっておる、分かっておる。悩んでいるようじゃな? レイ王のことか?」
「な、何故それを……」
ずばり言い当てられ、心臓が跳ね上がった。そのせいで、心にとどめておくべき言葉が口を衝いて出てしまった。
しまったと口を押さえたけれど、すでに遅い。
システィーナ様は口元を扇で隠すと、目元を細めた。してやったり、といった表情だ。
隠し事は無理そう。
私は長く息を吐き出すと、少し口ごもりながら言葉を紡いだ。
「あ、あのっ……レイ様に想い人が……あのっ、そのっ、よ、喜びたいのに、驚きが先に来ているというか……」
私の言葉を聞き、システィーナ様は小さく声を上げた。扇を持っていない手が、やった! と言わんばかりに拳を作る。
「ふふっ、やっと気づいたんじゃな? だがそれほど驚くことか? あの男は好意を隠せぬから、皆気づいていたと思うぞ?」
「そっ、そうなのですか!?」
「なんじゃ……お主、気づいておらんかったのか?」
「は、はい……全く。仲は良いとは……思っていましたが……」
「仲が良いにしては、度が過ぎとったじゃろう。手を繋いだり、くっついたり」
「そ、そんなことまで!?」
レイ様とルヴィスさん、くっついていたっけ!?
「いや、何故お主が驚く? しとったじゃろ! わしらの目の前で!!」
「いえいえ! レイ様とルヴィスさんがそんなことされてたら、絶対に覚えてますって!」
私の返答に、システィーナ様が信じられない様子で瞳を見開いた。
パンっと扇を閉じる音がした。システィーナ様が、閉じた扇の先で額を押さえている。
そして深すぎるため息。
「はぁぁぁぁぁ……まさか、これほどの鈍感が実在するとは、思わんかったのぅ……」
「? どうかされました?」
「いや、こっちの話じゃ……」
どこか遠い目をしながら、システィーナ様が首を振った。
でも気を取り直したように再び扇を開くと、先ほどのように口元を隠した。
深緑の瞳が、スッと細くなる。
「で……お主は、レイ王がルヴィスを好きだと知って、何を思ったんじゃ?」
「えっ? そ、それは……」
苦しい。
でも無理やり口角を上げると、声を明るく努める。
「う、嬉しい……ですよ。お二人は幼い頃からの関係ですし……で、でも同性っていうのに驚いたというか……」
「なら、ルヴィスが女性じゃったらいいのか? もしくは、別の女性なら良いのか? 例えば……あの場にいたティッカとかいう侍女とか」
急に私の周囲から音が消えた。
ただ一つ聞こえてくるのは、体の中で鳴り響く心臓の音だけ。
まるで緊張しているかのように、ものすごい速さで鳴り響いている。それに合わせて、全身の血が駆け巡り、体が熱くなる。
その熱が頭の中にも回ってるみたい。熱の塊を無理やり詰め込まれ、何も考えられなくなっていく。
私、ちゃんと立ててる?
私、ちゃんと呼吸できてる?
好きな人と幸せになるレイ様を、祝福、でき、る……?
「わ、わしが悪かった! こんなところをレイ王に見られれば、大変じゃっ!」
システィーナ様の慌て声とともに、両肩を掴まれゆすられる。
沈んでいた意識が、急に現実に引き戻された。
どんな時も余裕そうなシスティーナ様が、困惑した様子で私の顔を覗き込んでいた。
「ほれ、泣くな。可愛い顔が台無しじゃぞ?」
「泣いて、る……?」
頬に伝う生暖かいものに触れると、指先が濡れた。一筋の涙が頬を伝って流れていたのだ。
システィーナ様に言われるまで、全く気づかなかった……
しかし自分が泣いていると気づいた瞬間、心の奥深くに押し込んでいたものがはじけ飛んだ。ぽろぽろと大粒の涙になってこぼれ落ちて止まらなくなる。
口元を手で覆いながら、嗚咽に変わりそうになる声を言葉に変える。まるでせき止められていた水の流れが、一気に放流されたかのように止められない。
「わたしっ……レイ様とルヴィスさんの幸せを――いいえ、レイ様が愛する人と幸せになることを心の底から祝いたいんです。喜びたいんです! なのに……なのにっ!」
あの方は私に居場所をくれた。
こんな私を大切にしてくれた。
そして
『俺は、セレスティアルが好きだ』
幸せをくれた――
気づきたくなかった。
認めたくなかった。
「なのに……よ、喜べない……わたし……」
大切な人の幸せを望めない醜い心なんて、いらない。
こんな自分を、消してしまいたい。
涙が止まらない。
声はとうとう嗚咽へと代わり、何を言っても言葉にならなかった。
美しく煌めく街の光と星空の元、私の嗚咽が響く。
不意に体が温もりに包まれた。
システィーナ様が、私を抱きしめてくださっていた。
肩を震わせて泣く私の背中を優しく撫でながら、まるで子どもに語りかけるような柔らかな声色で仰った。
「それはのぅ、セレスティアル。『嫉妬』と呼ばれるものじゃ」
嫉妬――
言葉は知っている。
自分よりも恵まれた他人を恨み、妬むときの感情。
そして――自分の好きな相手が別の相手に関心を向けるのを、許せないときの感情。
だけど、
「わ、わたし……ルヴィスさんのこと、すき、です! ティッカさんのことだって!」
お二人だけじゃない。
ルミテリス王国で出会った人たち皆が大好きだ。
温かくて優しくて、私が大切にしたいと思っている人ばかり。
妬む理由なんてない。断言できる。
システィーナ様の声色が、私の鼓膜を震わせる。
「ならば、逆に考えてみようかの。ルヴィスとティッカが恋仲なら、お主はどう思う?」
「……嬉しい、です。心の底から祝福、できま、す……」
「なら、わしとルヴィスはどうかのぅ?」
「えっ、あ、あのっ、驚きはしますが……お祝いできると、思います……」
「他の者は祝福でき、レイ王だと嫉妬してしまう。もう答えは明白じゃろ?」
ふふっと軽やかな笑い声が、空気を震わせる。
システィーナ様が私の両肩を掴んで体を離すと、深緑の瞳を細めながら、真っ直ぐ私を見据えた。
「お主がレイ王に抱く好意――人はそれを『恋』と呼ぶんじゃ」
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帰るまでが遠足、を少し変えて使ったネタになります(笑)
じわじわきてもらえて、良かったです!
何故皆が、レイの嘘を信じるふりをしていたのかは、16話で明らかになりますー。
理由が理由なので、皆必死になってて、セレスティアルが引くほどの迫真の演技になったのかなーと。
よろしければ、引き続きお付き合い頂けますと幸いです♪