ローグ・ナイト ~復讐者の研究記録~

mimiaizu

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第2章 奴隷編

閑話・『ミーラ・リラ』

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(この女はなんて愚かだったんだろう)

 狭い小屋の中でローグは、一糸まとわぬ姿に破れたシーツだけを被る少女の幸せそうな顔を見ながら、そんな風に思わずにはいられなかった。

 ローグにそんな風に思われている彼女の名はミーラ・リラ。『ロー・ライト』の幼馴染で、彼と一番仲が良かった少女だった、幼い頃だけは。

 ミーラはローグの復讐対象に入ったのは、彼女もまた、『ロー・ライト』が魔法なしという理由でいじめる側になったからだ。しかし、彼女がいじめる側になったのは、他の4人のように『性格が悪い』のではなく、『頭が悪い』というだけなのだ。今のローグはそれを理解できてしまっただけに、苦しめて終わりにすることができなかった。

 ミーラのことをよく知る者がミーラの長所・短所を述べるなら、彼女の長所は優しくて人懐っこいというが、短所は頭が悪くて考えないで行動するというだろう。ローグの評価もそういうものになる。つまり、だ。ミーラの奴隷化に成功しても、肝心の彼女が長く持つか心配するほどにだ。

 実際、ミーラが『ロー・ライト』をいじめる側になったのは、村全体がいじめを行っているから、それが正しいと勝手に思い込んでいたからだ。いじめられる側の『ロー・ライト』の気持ちも考えずに「みんなやってるから」と言って行動した結果なのだ。

 だが、そんな考えなしのミーラに変わるきっかけが起きた。それはお遊びで『ロー・ライト』を井戸に落としたことだった。正確には、彼を殺してしまったと勘違いしたことで、自分のした行いを後悔して、少しは行動する前に考えるようになったのだ。周りに気にするなと言われても、「人殺し」をしてしまった少女の心が変わるきっかけとしては十分だった。

 それでも、変われたのは「少し」程度だったとしか言えないだろう。何しろ、魔法協会を脱出しようと思ったにもかかわらず、部屋から出た後に興味本位で地下に行った挙げ句、わざわざ魔法を解いた隙をつかれて魔法を奪われたのだから。

 その後、ミーラは王都の外で幼馴染の一人に焼かれるという悲惨な目に遭い、外町で苦しい生活を強いられるのだが、そこで大きく変われるきっかけに出会う。いや、再会する。それがローグ・ナイト、かつて『ロー・ライト』だった少年だ。彼との再会により、彼女は新たに変わるきっかけを得た。だが、それはローグの都合のいい『共犯者』で『奴隷』になるというものだった。男女の一線を越えた後で。

(この女がもう少し利口だったら、こうも上手くはいかなかっただろうな。本当に愚かな女だ。同情しないし、できないがな……)

 ローグの思う通り、第三者から見てもミーラは愚かな女だっただろう。実際、これまではそうだった。しかし、これからは変わるかもしれない。ミーラはローグに『愛』と『忠誠』を誓っている、ローグの復讐せんのうによって。ローグあるじの都合のいいようにミーラどれいは変わっていくかもしれない。ローグが彼女をどう扱うかで。
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