ローグ・ナイト ~復讐者の研究記録~

mimiaizu

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第2章 奴隷編

操らぬ人形

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 【外道魔法・色欲】『操らぬ人形』。これはローグの【外道魔法】の中で、使用頻度が少ないだろうと思っていた魔法だ。ローグ自身は【外道魔法】を攻撃的に使うことを中心にしている。【昇華魔法】はその補助のように使っている。しかし、【外道魔法】は本来、負の感情と悪意があれば様々な力を発揮する万能な魔法なのだ。攻撃だけには限らない。

 ローグがミーラに使った『操らぬ人形』は、人を洗脳する魔法だ。ただし、ただの洗脳というわけではない。通常の洗脳系の魔法は、常時魔法をかけ続けなければ効果が消えてしまうものだが、『操らぬ人形』は長時間連続でかけ続ければ、人の心をただ『操る』のではなく完全に『変える』ことができる。つまり、常時魔法をかけなくても思い通りにすることができるのだ。にできる、恐ろしい魔法なのだ。

 例えば、愛や忠誠を誓わせれば一生誓い続け、誰かを憎むようにすれば死ぬまで憎しみ続ける。その思いは余程のことがない限り変えられない。魔法をかけた者以外は。

 しかし、この魔法を使うには条件がある。それは、対象となる者の精神が不安定な状態でなければならないことだ。情緒不安定だったり、恐怖や罪悪感で心が押しつぶされそうだったりしなけれな効果は薄くなる。それ以外の条件があるとすれば、対象者が洗脳を受け入れるパターンがあるのだが、そんな状況は滅多にない。

 ローグがミーラになら『操らぬ人形』を使用したのは、彼女の心が罪悪感で壊れる寸前であり、魔法の効果が一番効く状況だと判断したからだ。今なら、復讐のためにも都合のいい『共犯者』で『奴隷』にすることができる。今のミーラはそういう状態なのだ。

 ただ、残された時間は限られている。明日の昼にはルドガーと合流する。彼に不自然に思われないためにも、出来れば一晩でミーラの洗脳を仕上げなければならない。ローグの都合のいいミーラどれいにするために。

 そこでローグは、魔法の効果が早く効くようにするために、ミーラの心をさらに不安定にすることにした。それは彼女と一線を越える、つまり男女の仲になることだった。彼女に一夜を共にする緊張感と、互いの体を重ねることによる快楽を与えながら魔法をかけ続けることによって、ローグを「愛している」と思い込ませる。魔法をかけながら本当に体を重ねるのだから、その思い込みは本物と変わらなくなるだろう。

 実際、ミーラはまともな心を保てなかった。唇を重ね、男と一夜を共にする緊張と初めて女の子を卒業する痛み、体を重ね一つになる快楽と高くなる体温で、何も考えられなくなっていた。そこにローグの魔法せんのうが入り込んでも、ミーラの心は拒むことも疑うこともなかった。思考が定まらないミーラはローグに対し、深い罪悪感だけではなく、深い愛を抱くことになった。それ以上魔法をかけなくても本物とさして変わらないほどの愛を。それ以外、何も考えられなくなるほどに。


数時間後。

 朝までまだ時間があると確認したローグは、虚ろながらも自分を愛おしげな眼で見るミーラの体を見てあることを決めた。それは彼女の火傷を直すことだ。ローグの持つ魔封書には、回復系の魔法がいくつかある。それらを重ね掛けすれば火傷など治せるはずだ。

 ローグはミーラが起きてる内に、魔封書を出して2種類の回復魔法を使った。【治癒魔法】と【治療魔法】。【治癒魔法】は肉体のもともとの回復能力を高める魔法で、【治療魔法】は傷口に直接干渉して癒す魔法だ。つまり、体の内外から同時に回復させる。


数分後。

 その結果、ミーラは火傷が見事になくなり、傷一つない体になった。ミーラは、虚ろな意識だっためにまだ何も分かっていないようだが、ローグが自分のためにまた何かしてくれたと思い込み、何も分からぬまま、自分からローグに抱き着いた。

 ローグはミーラを抱きしめ返して、再び体を重ねながら魔法をかける。今度は『愛』だけではなく、絶対に裏切らない『忠誠』を誓わせるために。操らぬ人形にする最終段階に入る。その後は簡単だった。


数時間後。

 服が散乱する小屋で、ミーラは幸せそうに眠っている。ローグの『共犯者』で『奴隷』となることが確実に決まった後で。さすがに疲れたローグも、ミーラの隣で幸せそうに眠っている。一見、仲良く寝ているように見えても、二人の『幸せ』の意味は間違いなく違っている。『愛』が本物じゅんあい偽物ふくしゅうかという違いで。
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