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第8章 第4話
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レインの母親が幼い彼女に話したというクルヌギアという国の話は、まず間違いなくアリステラのことだろう。
母親の話では、魔法こそ出てはこなかったが、近隣諸国の兵士たちの武器では、クルヌギアの兵士には傷ひとつつけることができなかったという。
「つまり、クルヌギアというか、アリステラは、結晶化したエーテルから作り出した武器や防具を装備していたから、近隣諸国の兵士たちの武器では傷ひとつつけられなかったわけだ」
どんな金属よりも硬く、そしてしなやかな結晶化したエーテル、--という呼び方は面倒だからヒヒイロカネと呼ぶことにする--、ヒヒイロカネならば鎧や甲冑の関節部などの弱点を克服できる。
「この『俺の嫁・レインの最終後期型殺人剣・織姫』みたいにさ」
「おい、なんだ、そのやべー名前」
レインが顔を真っ赤にしてんじゃねーか。
どっちもどういうセンスしてんだ。
「こんなに硬くて、こんなにしなやかで、こんなに軽い鎧や甲冑があったら、アリステラの兵隊さんはたぶん体育でジャージを着てスポーツするくらいの感覚で戦ができただろうね」
ショウゴが普段はしないようなおふざけを急にしたかと思えば、その直後にまじめになったりするのを見ると、タカミお義兄ちゃんはこの子の情緒大丈夫なの? と心配になった。
「そういうことだと思いますわ。
母の話では、クルヌギアは一度は大きな大陸を支配したのですが、100年後になぜか突然滅亡してしまったということでした」
「エーテルを使いすぎたからだな。そう考えれば、女王の話と一致する」
「クルヌギアは滅亡こそしましたが、その王族や一部の民は生き残ったそうです。
クルヌギアの人間であることを隠して、近隣諸国に散り散りに分かれ、結婚し、子を残していったそうです」
やはりアリステラの女王の話と一致していた。
「それから長い長い時が流れ、4人の賢者が王族の末裔を見つけました。
4人の賢者は、クルヌギアの英雄を師とする亜人だったそうです」
その4人は、アリステラの英雄アンフィスの弟子となったネアンデルタール人らであり、遣田ハオトのお仲間というわけだ。
おとぎ話とはいえ、あんな男が賢者として語り継がれているとは到底思えなかった。4人の中にあの男はいないだろう。
「4人の賢者は王族の末裔に言いました。
ようやく見つけましたぞ、我が真なる王よ、我々と共に新しいクルヌギアを作りましょうぞ、と」
ようやく、女王の話にはなかった滅亡後のアリステラのその後がわかりそうだった。
だからなのか、レインは台詞に少しずつ感情を込めはじめていた。
「王族の末裔は、自分がクルヌギアの王族の末裔だということは知っていましたが、農業を営み、王族や民の末裔とは関係ない村娘を嫁にとり、3人の子と平穏な暮らしをしていました。
そのため、新しいクルヌギアを作りたくても、そんな土地はもうこの世界のどこにもないと言ったそうです。
民の末裔を集め、戦をし土地を手に入れたとしても、また奪い返されるだけだとも。
そんなことになれば、クルヌギアの血を引く者の末裔は今度こそ、王族はもちろん民も、女子どもも関係なく、根絶やしにされてしまうと」
どこまでが実話で、どこからが創作なのかはわからないが、その時代の王族の末裔は、おそらく理知的で立派な人物だったのだろう。
「ですが、4人の賢者は簡単には引き下がりませんでした。
我々が住むべき土地は元よりこの世界にはありません、と王族の末裔に告げたのです。
『あなたもご存知のはず。クルヌギアはある日突然現れたということを』
『クルヌギアは元々はこの世界とは異なる世界に存在していたのです』
『クルヌギアは、本来あるべき世界に帰るべきなのです』
『その地で新しいクルヌギアを作りましょう』
王族の末裔は4人の賢者に尋ねました。
『どうやって帰るというのだ。お前たちの話が本当だとして、我々がどこから来たのかさえわからないではないか』
『王族の末裔であるならば、8万8000年前の王の時代から代々受け継がれてきた聖なる石をお持ちのはず』
『その聖石は、本来クルヌギアがあるべき世界にしか存在しないもの。
この世界に存在するものは、クルヌギアと共にやってきたわずかだけ』
4人の賢者はそう言って、自分たちの持つ聖なる石を、王族の末裔に見せました」
本来クルヌギア=アリステラがあるべき世界にしか存在せず、この世界に存在するのは、アリステラと共にやってきたわずかだけの聖なる石……
そんなものは、タカミが知る限りひとつしかなかった。
「結晶化したエーテル、ヒヒイロカネのことだね、きっと」
ショウゴは先ほどレインが作り出した、ヒヒイロカネの日本刀「俺の嫁・レインの以下略」を手に取った。
レインも同じ考えだったのだろう。
ふたりの顔を見て頷いた。
母親の話では、魔法こそ出てはこなかったが、近隣諸国の兵士たちの武器では、クルヌギアの兵士には傷ひとつつけることができなかったという。
「つまり、クルヌギアというか、アリステラは、結晶化したエーテルから作り出した武器や防具を装備していたから、近隣諸国の兵士たちの武器では傷ひとつつけられなかったわけだ」
どんな金属よりも硬く、そしてしなやかな結晶化したエーテル、--という呼び方は面倒だからヒヒイロカネと呼ぶことにする--、ヒヒイロカネならば鎧や甲冑の関節部などの弱点を克服できる。
「この『俺の嫁・レインの最終後期型殺人剣・織姫』みたいにさ」
「おい、なんだ、そのやべー名前」
レインが顔を真っ赤にしてんじゃねーか。
どっちもどういうセンスしてんだ。
「こんなに硬くて、こんなにしなやかで、こんなに軽い鎧や甲冑があったら、アリステラの兵隊さんはたぶん体育でジャージを着てスポーツするくらいの感覚で戦ができただろうね」
ショウゴが普段はしないようなおふざけを急にしたかと思えば、その直後にまじめになったりするのを見ると、タカミお義兄ちゃんはこの子の情緒大丈夫なの? と心配になった。
「そういうことだと思いますわ。
母の話では、クルヌギアは一度は大きな大陸を支配したのですが、100年後になぜか突然滅亡してしまったということでした」
「エーテルを使いすぎたからだな。そう考えれば、女王の話と一致する」
「クルヌギアは滅亡こそしましたが、その王族や一部の民は生き残ったそうです。
クルヌギアの人間であることを隠して、近隣諸国に散り散りに分かれ、結婚し、子を残していったそうです」
やはりアリステラの女王の話と一致していた。
「それから長い長い時が流れ、4人の賢者が王族の末裔を見つけました。
4人の賢者は、クルヌギアの英雄を師とする亜人だったそうです」
その4人は、アリステラの英雄アンフィスの弟子となったネアンデルタール人らであり、遣田ハオトのお仲間というわけだ。
おとぎ話とはいえ、あんな男が賢者として語り継がれているとは到底思えなかった。4人の中にあの男はいないだろう。
「4人の賢者は王族の末裔に言いました。
ようやく見つけましたぞ、我が真なる王よ、我々と共に新しいクルヌギアを作りましょうぞ、と」
ようやく、女王の話にはなかった滅亡後のアリステラのその後がわかりそうだった。
だからなのか、レインは台詞に少しずつ感情を込めはじめていた。
「王族の末裔は、自分がクルヌギアの王族の末裔だということは知っていましたが、農業を営み、王族や民の末裔とは関係ない村娘を嫁にとり、3人の子と平穏な暮らしをしていました。
そのため、新しいクルヌギアを作りたくても、そんな土地はもうこの世界のどこにもないと言ったそうです。
民の末裔を集め、戦をし土地を手に入れたとしても、また奪い返されるだけだとも。
そんなことになれば、クルヌギアの血を引く者の末裔は今度こそ、王族はもちろん民も、女子どもも関係なく、根絶やしにされてしまうと」
どこまでが実話で、どこからが創作なのかはわからないが、その時代の王族の末裔は、おそらく理知的で立派な人物だったのだろう。
「ですが、4人の賢者は簡単には引き下がりませんでした。
我々が住むべき土地は元よりこの世界にはありません、と王族の末裔に告げたのです。
『あなたもご存知のはず。クルヌギアはある日突然現れたということを』
『クルヌギアは元々はこの世界とは異なる世界に存在していたのです』
『クルヌギアは、本来あるべき世界に帰るべきなのです』
『その地で新しいクルヌギアを作りましょう』
王族の末裔は4人の賢者に尋ねました。
『どうやって帰るというのだ。お前たちの話が本当だとして、我々がどこから来たのかさえわからないではないか』
『王族の末裔であるならば、8万8000年前の王の時代から代々受け継がれてきた聖なる石をお持ちのはず』
『その聖石は、本来クルヌギアがあるべき世界にしか存在しないもの。
この世界に存在するものは、クルヌギアと共にやってきたわずかだけ』
4人の賢者はそう言って、自分たちの持つ聖なる石を、王族の末裔に見せました」
本来クルヌギア=アリステラがあるべき世界にしか存在せず、この世界に存在するのは、アリステラと共にやってきたわずかだけの聖なる石……
そんなものは、タカミが知る限りひとつしかなかった。
「結晶化したエーテル、ヒヒイロカネのことだね、きっと」
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レインも同じ考えだったのだろう。
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