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第8章 第3話
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「知識がないので、ちゃんと再現出来ているかどうかはわかりませんが……」
レインは一応謙遜していたが、それは日本刀のようなものではなく、完全に日本刀だった。その刀身だけでなく、鍔や柄の装飾までが再現されていた。
「これ、どうやったの?」
「触れるときに、頭の中で思い描くんです。そうすると、脳の微弱な電気信号に反応して、形を変えるんです」
まるで神の金属だった。
「そうだね。もしかしたら、オリハルコンとかヒヒイロカネとかの正体は、これだったのかもしれないね」
タカミの心を無意識に読んでしまったのだろう。ショウゴは刀を手にとりながらそう言った。
「軽いんだね、これ。刀なのに、俺の持ってるサバイバルナイフなんかよりずっと軽い。スマホよりも軽いんじゃないかな」
「刀を作るのははじめてですが、この子は『父・赤空の後期型殺人剣』よりも、はるかに殺人に特化しているかと」
レインは謙遜しているようで、全然謙遜していなかった。
「あんた今『父・赤空の後期型殺人剣』って言いたかっただけだろ」
「あら、ばれてしまいました?」
「あんたのお父さん、刀匠でも新井赤空でもないからな」
カルト教団の教祖だからね?
「そう言えば、レインさんって、死ぬまでに一度は言ってみたい台詞があと七つもあったんだっけ……全部漫画のセリフ?」
「全部じゃないですわ。『ヤフーチャット万歳』とか、『三重ナンバー2のユーチューバーなめんなよ』とかもありますもの」
「それ、ふたつともやべー犯罪者が逮捕されたときとかの台詞じゃん……」
「あ、今のは死ぬまでの一回にカウントしないでくださいね?」
死ぬまでに一度は言ってみたい台詞というのはさすがに理解できなかったが、確かにあれはすごい台詞だったとタカミも思う。
ヤフーチャットがどうだの、どこぞのユーチューバーをペロペロだのじゃなくて、父・赤空の~ という台詞のことだ。
タカミは原作漫画を読んでいなかったし、アニメも観ていなかったから、実写映画しか知らない。
漫画原作の実写映画は、二時間という尺の都合上ダイジェストになりがちだ。
だがあの台詞は、たった一言で新井赤空という刀匠の奇人変人ぶりや、彼が作った刀がいかに人を殺すことだけに特化したものだったかがわかるだけでなく、さらには彼の作品が初期・中期・後期と分けられており、後期になるともはや刀の枠さえを超えたものになってしまったことがわかるのだ。
そんなことを考えていると、ショウゴが彼の顔を見てニヤニヤしていた。
きっと、この映画マニアめ、とか思っているのだろう。
暇だったんだよ、長いこと引きこもってると。アマゾンプライムとかネットフリックスで観まくってたんだよ。2クールのアニメなんて、オープニングとエンディングと予告を飛ばしたら、半日かからなかったよ。
大体、心が読めるなら、自分がレインに何もしてないことや、レインが何もされてないことくらいわかってただろ。
タカミは少しだけ怒っていた。ほんの少しだけ。
「好きな人にはいじわるしたくなるのが男子なので」
ショウゴにそんなことを言われてしまい、タカミは不覚にもドキッとさせられてしまった。
「ショウゴさん! わたくしという者がありながら、タカミさんのことが好きってどういうことですの!?」
あ、またこいつ、ぼくだけじゃなくレインのこともからかってやがる。
タカミは、こんな風にお馬鹿な話をしながら穏やかに暮らしたかったなと思った。
もちろん、そこにはショウゴやレインだけじゃなく、ユワがいて、アンナがいて、一条や小久保ハルミもいたりして、ユワの友達のマヨリやリンって子たちもいるといいなと思った。
それは、そんな大それた願いではないはずだった。だが、もうかなうことはない。
随分と話が脱線してしまったが、
「話を戻そうか」
タカミがそう切り出すと、ショウゴとレインの顔から笑顔が消えた。
レインは一応謙遜していたが、それは日本刀のようなものではなく、完全に日本刀だった。その刀身だけでなく、鍔や柄の装飾までが再現されていた。
「これ、どうやったの?」
「触れるときに、頭の中で思い描くんです。そうすると、脳の微弱な電気信号に反応して、形を変えるんです」
まるで神の金属だった。
「そうだね。もしかしたら、オリハルコンとかヒヒイロカネとかの正体は、これだったのかもしれないね」
タカミの心を無意識に読んでしまったのだろう。ショウゴは刀を手にとりながらそう言った。
「軽いんだね、これ。刀なのに、俺の持ってるサバイバルナイフなんかよりずっと軽い。スマホよりも軽いんじゃないかな」
「刀を作るのははじめてですが、この子は『父・赤空の後期型殺人剣』よりも、はるかに殺人に特化しているかと」
レインは謙遜しているようで、全然謙遜していなかった。
「あんた今『父・赤空の後期型殺人剣』って言いたかっただけだろ」
「あら、ばれてしまいました?」
「あんたのお父さん、刀匠でも新井赤空でもないからな」
カルト教団の教祖だからね?
「そう言えば、レインさんって、死ぬまでに一度は言ってみたい台詞があと七つもあったんだっけ……全部漫画のセリフ?」
「全部じゃないですわ。『ヤフーチャット万歳』とか、『三重ナンバー2のユーチューバーなめんなよ』とかもありますもの」
「それ、ふたつともやべー犯罪者が逮捕されたときとかの台詞じゃん……」
「あ、今のは死ぬまでの一回にカウントしないでくださいね?」
死ぬまでに一度は言ってみたい台詞というのはさすがに理解できなかったが、確かにあれはすごい台詞だったとタカミも思う。
ヤフーチャットがどうだの、どこぞのユーチューバーをペロペロだのじゃなくて、父・赤空の~ という台詞のことだ。
タカミは原作漫画を読んでいなかったし、アニメも観ていなかったから、実写映画しか知らない。
漫画原作の実写映画は、二時間という尺の都合上ダイジェストになりがちだ。
だがあの台詞は、たった一言で新井赤空という刀匠の奇人変人ぶりや、彼が作った刀がいかに人を殺すことだけに特化したものだったかがわかるだけでなく、さらには彼の作品が初期・中期・後期と分けられており、後期になるともはや刀の枠さえを超えたものになってしまったことがわかるのだ。
そんなことを考えていると、ショウゴが彼の顔を見てニヤニヤしていた。
きっと、この映画マニアめ、とか思っているのだろう。
暇だったんだよ、長いこと引きこもってると。アマゾンプライムとかネットフリックスで観まくってたんだよ。2クールのアニメなんて、オープニングとエンディングと予告を飛ばしたら、半日かからなかったよ。
大体、心が読めるなら、自分がレインに何もしてないことや、レインが何もされてないことくらいわかってただろ。
タカミは少しだけ怒っていた。ほんの少しだけ。
「好きな人にはいじわるしたくなるのが男子なので」
ショウゴにそんなことを言われてしまい、タカミは不覚にもドキッとさせられてしまった。
「ショウゴさん! わたくしという者がありながら、タカミさんのことが好きってどういうことですの!?」
あ、またこいつ、ぼくだけじゃなくレインのこともからかってやがる。
タカミは、こんな風にお馬鹿な話をしながら穏やかに暮らしたかったなと思った。
もちろん、そこにはショウゴやレインだけじゃなく、ユワがいて、アンナがいて、一条や小久保ハルミもいたりして、ユワの友達のマヨリやリンって子たちもいるといいなと思った。
それは、そんな大それた願いではないはずだった。だが、もうかなうことはない。
随分と話が脱線してしまったが、
「話を戻そうか」
タカミがそう切り出すと、ショウゴとレインの顔から笑顔が消えた。
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