107 / 123
第11章 第3話
しおりを挟む
「それにしても、皮肉なものね。
アナスタシア=朝倉レインや『彼』が、新生アリステラから人類を守るために、人造人間兵士たちやその魔導人工頭脳を利用して、せっかくわたしたちを黄泉返らせてくれたというのに。
人類を救うどころか、女王同士が偶数翼の強硬派と奇数翼の穏健派に分かれて、新生アリステラや人類のことなんてお構いなしに、滅ぼし合おうとしているなんて」
彼、というのは自分のことだろうか。
青年は思った。
「本当にそうですよね……
アシーナ様もご存知の通り、わたしの名は、いずれはアリステラの女王になる者の名であるにも関わらず、アリステラの言葉で『人類の擁護者』や『人類の守護者』を意味します。
わたしの存在が、アリステラと人類の架け橋となるようにと、先代の女王が付けてくださったのですが……」
「まぁこの時代、アレクサって言ったら、すごく便利な家電製品みたいだけど」
「それは言わないでください!」
「アレクサ、着替えてる途中だけどカーテン全開にして」
「なんで露出狂!?」
「あ、着替えてるのもアレクサだから。アレクサが渋滞してるわね」
「はぁ……まったく、一体いつ、どこでそんな現代知識を覚えたんですか?」
「アマヤと戦ってたときに『彼』が言ってた女の子たちの名前、アンナとか? ユワとか? あと、何だったかな……とにかくその子たちの知識を覗いたの。並列化で。
彼女とかだったら嫌だなって、ちょっと気になったから。違ってたし、ふたりとももう死んでたし、アンナって子しか黄泉返ってなかったから、かーなーりー安心した」
「アシーナ様って、もし現代に生まれてたら、電話番号とかメールアドレスから気になる男子のSNSを特定するみたいなことしそうですよね」
「え? アレクサはしないの? 嘘でしょ? 普通するよね? 裏アカ見つけるまでやめないよね?」
大変微笑ましい(?)会話だったが、それをぶち壊す勢いでふたりがいる部屋(?)に駆け込んできた者がいた。
「アシーナ様、アレクサ様、敵襲です!」
ふたりの会話に割り込んだ3人目の女性はそう叫び、3人の間に緊張が走るのを、青年はどこにあるのかすらわからない肌でピリピリと感じた。
「そんな……まさか、偶数翼にもうこの場所が気付かれてしまったの!?」
「はい……アマラ様曰く、おそらくわたしたちの魔導人頭脳が持つ、情報の並列化による弊害だと……」
「アシーナ様、彼の肉体の修復には、まだ時間がかかります。
今ここを離れるわけには……」
「落ち着きなさい、アレクサ。
わたしが偶数翼の女王のふりをしていたように、奇数翼の女王もまた、こちらに潜り込んでいたというだけのこと。大したことじゃないわ」
「ですが……」
「それに、並列化による弊害というのは違うと思うわ。
翼と脚をひとつずつ、増やすか減らすかしたところで、騙せるのは所詮見た目だけ。並列化によって得られる情報は変わらないのだから」
「並列化によって、わたしたちは本来会話などしなくても、互いのすべてをわかりあえてしまう存在になった……
それなのに、わたしたちは機械ではなく人であろうとし、本来必要のない会話を楽しんでいたから……」
「そうね、並列化で情報を得られなくても、会話から得た情報を仲間に並列化させることはできるもの。
それが今回仇(あだ)となってしまったという方が正しいでしょうね。
それで、エーベル、敵の数は?」
3人目の女性は、どうやらエーベルという名前らしい。
アシーナやアレクサという女性を「様」付けで呼んでいることから、3人の中では一番立場が下なのだろう。
アシーナという人が一番偉く、アレクサという人がその次に偉いようだ。
「飛翔艇オルフェウスが一機、それも16年前にトルコのアララト山で人類によって残骸が発見された、10万年前の1番艦『エウリュディケ』です」
アナスタシア=朝倉レインや『彼』が、新生アリステラから人類を守るために、人造人間兵士たちやその魔導人工頭脳を利用して、せっかくわたしたちを黄泉返らせてくれたというのに。
人類を救うどころか、女王同士が偶数翼の強硬派と奇数翼の穏健派に分かれて、新生アリステラや人類のことなんてお構いなしに、滅ぼし合おうとしているなんて」
彼、というのは自分のことだろうか。
青年は思った。
「本当にそうですよね……
アシーナ様もご存知の通り、わたしの名は、いずれはアリステラの女王になる者の名であるにも関わらず、アリステラの言葉で『人類の擁護者』や『人類の守護者』を意味します。
わたしの存在が、アリステラと人類の架け橋となるようにと、先代の女王が付けてくださったのですが……」
「まぁこの時代、アレクサって言ったら、すごく便利な家電製品みたいだけど」
「それは言わないでください!」
「アレクサ、着替えてる途中だけどカーテン全開にして」
「なんで露出狂!?」
「あ、着替えてるのもアレクサだから。アレクサが渋滞してるわね」
「はぁ……まったく、一体いつ、どこでそんな現代知識を覚えたんですか?」
「アマヤと戦ってたときに『彼』が言ってた女の子たちの名前、アンナとか? ユワとか? あと、何だったかな……とにかくその子たちの知識を覗いたの。並列化で。
彼女とかだったら嫌だなって、ちょっと気になったから。違ってたし、ふたりとももう死んでたし、アンナって子しか黄泉返ってなかったから、かーなーりー安心した」
「アシーナ様って、もし現代に生まれてたら、電話番号とかメールアドレスから気になる男子のSNSを特定するみたいなことしそうですよね」
「え? アレクサはしないの? 嘘でしょ? 普通するよね? 裏アカ見つけるまでやめないよね?」
大変微笑ましい(?)会話だったが、それをぶち壊す勢いでふたりがいる部屋(?)に駆け込んできた者がいた。
「アシーナ様、アレクサ様、敵襲です!」
ふたりの会話に割り込んだ3人目の女性はそう叫び、3人の間に緊張が走るのを、青年はどこにあるのかすらわからない肌でピリピリと感じた。
「そんな……まさか、偶数翼にもうこの場所が気付かれてしまったの!?」
「はい……アマラ様曰く、おそらくわたしたちの魔導人頭脳が持つ、情報の並列化による弊害だと……」
「アシーナ様、彼の肉体の修復には、まだ時間がかかります。
今ここを離れるわけには……」
「落ち着きなさい、アレクサ。
わたしが偶数翼の女王のふりをしていたように、奇数翼の女王もまた、こちらに潜り込んでいたというだけのこと。大したことじゃないわ」
「ですが……」
「それに、並列化による弊害というのは違うと思うわ。
翼と脚をひとつずつ、増やすか減らすかしたところで、騙せるのは所詮見た目だけ。並列化によって得られる情報は変わらないのだから」
「並列化によって、わたしたちは本来会話などしなくても、互いのすべてをわかりあえてしまう存在になった……
それなのに、わたしたちは機械ではなく人であろうとし、本来必要のない会話を楽しんでいたから……」
「そうね、並列化で情報を得られなくても、会話から得た情報を仲間に並列化させることはできるもの。
それが今回仇(あだ)となってしまったという方が正しいでしょうね。
それで、エーベル、敵の数は?」
3人目の女性は、どうやらエーベルという名前らしい。
アシーナやアレクサという女性を「様」付けで呼んでいることから、3人の中では一番立場が下なのだろう。
アシーナという人が一番偉く、アレクサという人がその次に偉いようだ。
「飛翔艇オルフェウスが一機、それも16年前にトルコのアララト山で人類によって残骸が発見された、10万年前の1番艦『エウリュディケ』です」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる