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第二章:新しい環境
第8話 抗議への要求
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カルラートの訪れがなかったことは、明朝すぐにライサの知るところとなった。
大国の姫がたとえ国王としても、小国にないがしろにされて、ライサは激怒した。
誰からも見ても、アイシャは美しく可憐な姫だ。
そんな姫を新婚初夜に放っておくなど、ライサには信じがたかった。
それも、幼い頃から仕えてきた姫――それで、ライサの怒りは頂点に達したようだった。
それでも彼女は侍女の鑑らしく、アイシャの支度をいつにもまして美しく見えるように丹念にした。
そして、アイシャが王妃の間で、新婚とは思えないほど一人寂しく朝食を取った後に、ライサは行動に出たのだった。
「ねえ、待って。待ってちょうだい、ライサ」
肩を怒らせて王妃の間から王の間を通り抜けていくライサにアイシャは必死にすがりつく。
長年のつき合いから、ライサがかなり怒っていたことは分かっていたが、まさかハーメイ国王に直訴に行くとは思ってもおらず、アイシャは焦って腹心の侍女を止めようとした。
「なぜでございますか。アイシャ様を初夜にひとりで捨ておかれるなど、わたくしにとってこれほどの屈辱はございません」
「わたしなら平気だから。ライサ、陛下に直訴するのは思いとどまって!」
トゥルティエールの侍女の中でも比較的高い位置にいた彼女に、カルラートがそれほど重い罰を与えるとは思いたくはなかったが、万が一ということも考えられる。
「アイシャ様、あいにくとわたくしは平気ではございません」
カルラート王の所行は、アイシャを見守り、支えてきたライサのこれまでの誇りをいたく傷つけたようだった。
ライサが今までどれだけ自分を大事にしてくれていたか、アイシャは改めて認識して、思わず彼女を掴んでいた腕を離してしまった。
その間にライサは王の執務室の扉を開け、さっさと中へ入ってしまった。
「ライサ!」
アイシャは慌てて、自分付きの侍女を呼び止めたが、彼女は振り返らなかった。
「失礼いたします、陛下」
ライサとアイシャが突然執務室に入ってきたため、カルラートと宰相はあっけに取られていた。
「……陛下に直談判しとうございます。申し訳ありませんが、宰相様は席をお外しください」
「……しかし……」
「お外しください」
有無を言わせない口調で言ったライサに、宰相は助けを求めるようにカルラートを見る。
カルラートは溜息をつくと言った。
「オルグレン、外せ」
「はっ」
カルラートの言葉に、オルグレンはそそくさと執務室を出ていった。
その顔は、修羅場に関わらずに済んで、ほっとしたような様子だった。
「……さて、わたしは忙しい。手短に頼む」
ライサ達が乗り込んできた理由を痛いほど理解しているカルラートはいくらかうんざりしたように言った。
その様子に、ライサの頬がひくひくと痙攣する。
「では申します。陛下、昨夜姫様にお手を出されなかったのはどういうことでしょう?」
客観的に見ても、アイシャは顔も体も美しく、そしてその心根は優しい。
そんな姫君を新婚初夜に放っておくなど、他の男性だったらきっと考えもしないだろう。
「……わたしは一方的に押しつけられたこの婚礼に最初から反対だった。威圧的に大国の姫を小国にやるのだから感謝しろとまで言われて反発しない者がどこにいる?」
「陛下が、いえ兄がそんなことを……」
初めて知らされた事実に、アイシャは口を覆った。
そんな書簡を送られたのなら、この王の反発は分かる気がする。
ましてや、彼は一国の王なのだ。
たとえ小国とはいえ、彼の、いやハーメイの誇りを傷つけるのには充分だ。
……もしかして、ルドガーは、アイシャが嫁ぎ先でもうまく行かないように、そんな文面をカルラートに送ったのかもしれない。
だが、真相はルドガーしか知らないことだ。
戸惑うアイシャをカルラートは見やると、どこか意地悪そうに笑った。
「それにそなたは先の第二王妃の連れ子だそうだな」
「は、はい」
この話は国外にまで知られているのだろうか。
確かに、連れ子を持つ母のクリスティナがその座に収まった時は、トゥルティエール王宮は大混乱だった。そんないきさつがあったので、あまり外聞の良くない情報が各国に知られていても確かに不思議ではないのかもしれない。
「かなりの美貌の踊り子の娘だと聞いたぞ。そなたも、さぞ閨術にも通じているのであろうな」
「な……」
カルラートのあまりの言葉にアイシャは絶句する。
……確かに、他の流れの一座などは、生活のために王侯貴族に体を売ったりもしていたらしいが、母のクリスティナの一座は、純粋にその芸で身を立てていたのだ。
母はその美しさで、先代のトゥルティエール王に愛されたが、そんな恥知らずな真似をしたことは一度としてない。
もちろん、そんな母に育てられたアイシャがそんなものに通じているわけもなかった。
「なんということを! アイシャ様は清廉潔白なお方です!」
あまりの言われようにアイシャは頬を赤らめて反論しようとしたが、その前にライサに口を挟まれた。
「侍女、おまえはうるさい。少し黙っていろ。……今わたしはこの姫と話している」
アイシャは、カルラートの『姫』という言葉が引っかかった。
昨日、婚礼を挙げて王妃となったはずだが、彼はどうやらそのことを認めていないらしい。
「……陛下はわたしを妃とは思ってくださらないのですね」
アイシャが真っ直ぐにカルラートを見つめ言うと、彼は少々意外そうに眉を上げた。
「ああ、思っていない」
「……そうですか。けれど、わたしもトゥルティエールの王妹として嫁いできたのです。そう簡単に引き下がるわけには参りません」
どこまでも真摯にアイシャはカルラートに向き合って言った。
ずっと周りに遠慮しながら生きてきたアイシャが、こうやって人に真っ向から話し合うのはライサ以外では久しぶりであった。
しかし、カルラートはアイシャとしばらく視線を合わせた後、腹を抱えて笑いだした。
「な、なにがおかしいのですっ」
真剣に向き合ったのに失礼な態度で返されて、アイシャは真っ赤になって抗議した。
「……王妹か。これが笑わずにいられるか。トゥルティエールの王は王妃も据えず、血の繋がらない妹と睦み合っているともっぱらの噂だ」
「! そんな噂、嘘です!」
思ってもいなかった言葉に、アイシャは叫ぶ。
──それどころか、彼には憎まれているというのに。
それが睦みあっているだなんて、どこから出た噂なのだろう。……なんにせよ、とてつもない誤解には違いない。
「……どうだかな。わたしに妃と認めさせたいのなら、それを信じさせてみろ。……できないのなら諦めろ。わたしとて、清らかでない姫とそんな関係になる気はない」
自分の身が清らかなのは明らかだ。
……けれど、どうやってこの王にそれを信じさせればいいのだろう?
カルラートと結ばれれば、その疑いは晴れるだろうが、彼にはその気はない。
アイシャはどうしていいか分からずに、その場に佇んだ。
「……この話はこれで終わりだ。二度とこの話題を出すな。出すなら、わたしが納得できる答えを持ってこい」
絶句するアイシャに、話にならないとばかりにカルラートが首を横に振る。
そして、カルラートに命じられた近衛兵に連れられてアイシャとライサは王妃の間に戻らされた。
「陛下はトゥルティエールのやり方にかなりご立腹の様子でしたわね。……あれを覆すには少々難しいかも知れません」
初めはカルラートに憤っていたライサも、ことの次第を聞いて彼の気持ちもそれでは仕方ないかも知れないと、理解したようだった。
しかし、悪いのはそんな書面を出したルドガーでアイシャにはなんの非もない。
王妃の間で沈む込むアイシャの気持ちをなんとか高揚させようと、ライサは彼女に各国で話題の恋愛小説を差し出した。
現実世界で愛されないのならば、せめて想像の世界だけでも彼女に幸せな気分になって欲しいと願ったからである。
アイシャはそんなライサの気持ちが嬉しく、それを受け取って読書にいそしんだ。
ただ、そんなやりとりがあったその夜も、もちろんカルラートの訪れはなかった。
アイシャはそのことを既に覚悟していたので、その夜に安眠できたことは、彼女にとってはそれでも幸せなことだったかもしれない。
大国の姫がたとえ国王としても、小国にないがしろにされて、ライサは激怒した。
誰からも見ても、アイシャは美しく可憐な姫だ。
そんな姫を新婚初夜に放っておくなど、ライサには信じがたかった。
それも、幼い頃から仕えてきた姫――それで、ライサの怒りは頂点に達したようだった。
それでも彼女は侍女の鑑らしく、アイシャの支度をいつにもまして美しく見えるように丹念にした。
そして、アイシャが王妃の間で、新婚とは思えないほど一人寂しく朝食を取った後に、ライサは行動に出たのだった。
「ねえ、待って。待ってちょうだい、ライサ」
肩を怒らせて王妃の間から王の間を通り抜けていくライサにアイシャは必死にすがりつく。
長年のつき合いから、ライサがかなり怒っていたことは分かっていたが、まさかハーメイ国王に直訴に行くとは思ってもおらず、アイシャは焦って腹心の侍女を止めようとした。
「なぜでございますか。アイシャ様を初夜にひとりで捨ておかれるなど、わたくしにとってこれほどの屈辱はございません」
「わたしなら平気だから。ライサ、陛下に直訴するのは思いとどまって!」
トゥルティエールの侍女の中でも比較的高い位置にいた彼女に、カルラートがそれほど重い罰を与えるとは思いたくはなかったが、万が一ということも考えられる。
「アイシャ様、あいにくとわたくしは平気ではございません」
カルラート王の所行は、アイシャを見守り、支えてきたライサのこれまでの誇りをいたく傷つけたようだった。
ライサが今までどれだけ自分を大事にしてくれていたか、アイシャは改めて認識して、思わず彼女を掴んでいた腕を離してしまった。
その間にライサは王の執務室の扉を開け、さっさと中へ入ってしまった。
「ライサ!」
アイシャは慌てて、自分付きの侍女を呼び止めたが、彼女は振り返らなかった。
「失礼いたします、陛下」
ライサとアイシャが突然執務室に入ってきたため、カルラートと宰相はあっけに取られていた。
「……陛下に直談判しとうございます。申し訳ありませんが、宰相様は席をお外しください」
「……しかし……」
「お外しください」
有無を言わせない口調で言ったライサに、宰相は助けを求めるようにカルラートを見る。
カルラートは溜息をつくと言った。
「オルグレン、外せ」
「はっ」
カルラートの言葉に、オルグレンはそそくさと執務室を出ていった。
その顔は、修羅場に関わらずに済んで、ほっとしたような様子だった。
「……さて、わたしは忙しい。手短に頼む」
ライサ達が乗り込んできた理由を痛いほど理解しているカルラートはいくらかうんざりしたように言った。
その様子に、ライサの頬がひくひくと痙攣する。
「では申します。陛下、昨夜姫様にお手を出されなかったのはどういうことでしょう?」
客観的に見ても、アイシャは顔も体も美しく、そしてその心根は優しい。
そんな姫君を新婚初夜に放っておくなど、他の男性だったらきっと考えもしないだろう。
「……わたしは一方的に押しつけられたこの婚礼に最初から反対だった。威圧的に大国の姫を小国にやるのだから感謝しろとまで言われて反発しない者がどこにいる?」
「陛下が、いえ兄がそんなことを……」
初めて知らされた事実に、アイシャは口を覆った。
そんな書簡を送られたのなら、この王の反発は分かる気がする。
ましてや、彼は一国の王なのだ。
たとえ小国とはいえ、彼の、いやハーメイの誇りを傷つけるのには充分だ。
……もしかして、ルドガーは、アイシャが嫁ぎ先でもうまく行かないように、そんな文面をカルラートに送ったのかもしれない。
だが、真相はルドガーしか知らないことだ。
戸惑うアイシャをカルラートは見やると、どこか意地悪そうに笑った。
「それにそなたは先の第二王妃の連れ子だそうだな」
「は、はい」
この話は国外にまで知られているのだろうか。
確かに、連れ子を持つ母のクリスティナがその座に収まった時は、トゥルティエール王宮は大混乱だった。そんないきさつがあったので、あまり外聞の良くない情報が各国に知られていても確かに不思議ではないのかもしれない。
「かなりの美貌の踊り子の娘だと聞いたぞ。そなたも、さぞ閨術にも通じているのであろうな」
「な……」
カルラートのあまりの言葉にアイシャは絶句する。
……確かに、他の流れの一座などは、生活のために王侯貴族に体を売ったりもしていたらしいが、母のクリスティナの一座は、純粋にその芸で身を立てていたのだ。
母はその美しさで、先代のトゥルティエール王に愛されたが、そんな恥知らずな真似をしたことは一度としてない。
もちろん、そんな母に育てられたアイシャがそんなものに通じているわけもなかった。
「なんということを! アイシャ様は清廉潔白なお方です!」
あまりの言われようにアイシャは頬を赤らめて反論しようとしたが、その前にライサに口を挟まれた。
「侍女、おまえはうるさい。少し黙っていろ。……今わたしはこの姫と話している」
アイシャは、カルラートの『姫』という言葉が引っかかった。
昨日、婚礼を挙げて王妃となったはずだが、彼はどうやらそのことを認めていないらしい。
「……陛下はわたしを妃とは思ってくださらないのですね」
アイシャが真っ直ぐにカルラートを見つめ言うと、彼は少々意外そうに眉を上げた。
「ああ、思っていない」
「……そうですか。けれど、わたしもトゥルティエールの王妹として嫁いできたのです。そう簡単に引き下がるわけには参りません」
どこまでも真摯にアイシャはカルラートに向き合って言った。
ずっと周りに遠慮しながら生きてきたアイシャが、こうやって人に真っ向から話し合うのはライサ以外では久しぶりであった。
しかし、カルラートはアイシャとしばらく視線を合わせた後、腹を抱えて笑いだした。
「な、なにがおかしいのですっ」
真剣に向き合ったのに失礼な態度で返されて、アイシャは真っ赤になって抗議した。
「……王妹か。これが笑わずにいられるか。トゥルティエールの王は王妃も据えず、血の繋がらない妹と睦み合っているともっぱらの噂だ」
「! そんな噂、嘘です!」
思ってもいなかった言葉に、アイシャは叫ぶ。
──それどころか、彼には憎まれているというのに。
それが睦みあっているだなんて、どこから出た噂なのだろう。……なんにせよ、とてつもない誤解には違いない。
「……どうだかな。わたしに妃と認めさせたいのなら、それを信じさせてみろ。……できないのなら諦めろ。わたしとて、清らかでない姫とそんな関係になる気はない」
自分の身が清らかなのは明らかだ。
……けれど、どうやってこの王にそれを信じさせればいいのだろう?
カルラートと結ばれれば、その疑いは晴れるだろうが、彼にはその気はない。
アイシャはどうしていいか分からずに、その場に佇んだ。
「……この話はこれで終わりだ。二度とこの話題を出すな。出すなら、わたしが納得できる答えを持ってこい」
絶句するアイシャに、話にならないとばかりにカルラートが首を横に振る。
そして、カルラートに命じられた近衛兵に連れられてアイシャとライサは王妃の間に戻らされた。
「陛下はトゥルティエールのやり方にかなりご立腹の様子でしたわね。……あれを覆すには少々難しいかも知れません」
初めはカルラートに憤っていたライサも、ことの次第を聞いて彼の気持ちもそれでは仕方ないかも知れないと、理解したようだった。
しかし、悪いのはそんな書面を出したルドガーでアイシャにはなんの非もない。
王妃の間で沈む込むアイシャの気持ちをなんとか高揚させようと、ライサは彼女に各国で話題の恋愛小説を差し出した。
現実世界で愛されないのならば、せめて想像の世界だけでも彼女に幸せな気分になって欲しいと願ったからである。
アイシャはそんなライサの気持ちが嬉しく、それを受け取って読書にいそしんだ。
ただ、そんなやりとりがあったその夜も、もちろんカルラートの訪れはなかった。
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