転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃

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目が覚めると真っ暗な世界が待っていた。

何も見えない…ただ、何か音が聞こえる。コツコツっと、誰かが此方に近づいてきているみたいだ。暗闇の中で誰かが近づいてくるなど、恐怖を感じるはずなのに不思議と感じない。

足音がなくなり、俺の前に何かの気配を感じた。この人…俺が見えてる?!

『やっと精神を此方に繋げられたみたいだな。どうだ、我が与えた力は役に立ったか?』

精神を繋げた?我が与えた力?
まだ状況が掴めていない俺に新しい情報を与えられたところで『?』が増えるだけだ。

『まだ理解が出来ていないみたいだな。我の名はワコール。其方に傷を変わりに受け持つ力を与えた』

ワコール様…?って、魔神の?!でも、俺に実際に力を与えたというところが信憑性を感じさせる。

「力を与えていただきありがとうございます!おかげで父上は生き返れました」

ワコール様に力を与えてもらってなかったら父上は生きていなかった。本当に感謝でいっぱいだ。
全力でワコール様がいるであろうところに頭を下げた。

『あぁ、我は別に…そういえば、世界はどうだ?』

この世界?って、もしかして…

「俺がこの世界の者ではないと知っているんですか?!」

ふへー、知ってる人がいたんだ。

『知っているというか、この世界にお前の魂を連れてきたのは我だ』

ええっ、そうだったのか。てか、何で俺だったのかな?

『…お前が適任だと我が判断したからだ』

魔神様に選んでいただけるなんて、光栄だな。というか、俺の心の声聞こえてるんですね?

『聞こえているぞ。異能者と呼ばれる者が持つ力は我の力を少し分け与えたものだ。我が持つ力に癒す力はなかったから、其方を苦しませることになった。申し訳ない』

いや、そんなそんな…俺の「父上が生き返ってほしい」という願いは叶ったんだから、それでいいんです。

というか、異能者ってそういうことだったんだ。だから、別名で魔神様の愛し子というのがあるんだな。

『お前のその望みが低いところはいいところなのか…さぁ、そろそろ現実世界に戻るところだろう。困ったことがあったら我の名を呼ぶといい。お前をこの世界に連れてきたのは、我の責任だ。少しでも力を貸そう』

望みが低い?そうなのかな…
現実世界に戻れるということは俺はちゃんと生きていられたんだな。
『責任』まるでこの世界に連れてきたことを悪く思ってるみたいだ。俺はこの世界に来れて幸せなのに…
力を貸してもらうのは本当に困ったときにしよう。

『幸せか…それならいいんだが。本当に大変なのは目が覚めてからだと我は思うがな…の其方への執着は相当なものだ。どうか無事でいてくれよ…』

そんな不穏なことを言わないでくださいよ!

『…目が覚めるみたいだな、ではまた会おう』

ちょっ、ちょっと待ってください!
『大変』っていうところを詳しく教えてくださ…

そこで、プツンっと意識が途切れた。
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