転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃

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朝食も食べ終わり、よしっそれじゃ執務をしに行くかという流れになった。

「今日から頑張れよ、魔王様」

そう言って肩をトントンと叩いてやる。

リエルは魔王になって初めての執務だ。やることは特に変わらないけど、こなしていかないといけない量がとにかく増える。父上もなかなか一緒にいられる時間がとれなかったからな、こういう食事の時間も減るのかな…少し寂しいかもしれない。

「…どこに行くつもりなの?カイト兄上」

えっ、どこってそれは決まってるじゃないか。

「自分の執務室だが?」

何を当たり前なことを…

「カイト兄上は昨日ずっと私の隣にいるって言ってくれたよ?なら、行くところが違うんじゃない?」

あー、確かにそんなこと言ったな。だけど、それは心細いなら俺を頼れ的な意味で言ったつもりなんだけど…

「だけどお前は今日から魔王の執務室に行くんだ。そこは俺が入るべき所ではない」

俺は魔王の兄である。だからこそ、そこは俺が入るべき所ではない。

「それは誰が決めたの?私は私のやり方でやっていく。だから、私の隣にはカイト兄上が必要なんだ」

誰も…決めてはいないか。これも固定概念だよな。『魔王の執務室』だから、魔王とその側近が入るべきだと。確かに、俺が入ってはいけないとは誰も言っていない。

うーん、だけどな…と、うんうん唸っていた訳だが、次のリエルの言葉で自分がどうするべきかを決めた。

「もし、どうしてもカイト兄上が自分の執務室でやりたいというなら、不安で定期的に覗きに行くけど……いいの?」

よくない、よくない。そんなことをしたら、お前も俺も執務がちっとも進まないじゃないか。

「……お前の執務室でやる」

最近、本当に1人でいる時間がない。唯一の1人時間はトイレの時だけという、恐ろしさ。そんなに心配しなくても俺はどこでも行かないのにな…というか、行くところがない。



「ずっと私の隣にいてね?…カイト兄上」

やっぱり、父上がいなくなって寂しいんだろうな。俺よりお前の方がずっと長く父上と一緒にいたのだから…

「あぁ、もちろんだ…いられる限りな」

できることなら、ずっとリエルの隣で見守ってあげたい。だけど、そんなことできない…何故かって?魔族にも寿命があるからだ。


魔族の寿命は100年。この世界の人族は、医療が発達してない為、生きられたとしても50年くらいだろう。それに、魔族は特別身体が弱くない限り、滅多に病気にかからない。
だが、それよりももっと特別死なないのが魔王という存在だ。寿命というものがなくなり、勇者の剣で刺されない限り死なない。

だから、リエルが魔王としての役目を終えたときに、俺はとっくに死んでいるだろう。
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