転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃

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リエル5

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私は今までで1番緊張している。
こんなにも心臓の音を煩く感じたことはない。

なんで私が今こんな状態かというと、実は1ヶ月前のこと…




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最近カイト兄上の調子が悪い。あんなに食べるのが大好きで、食べるとき幸せそうな顔をしてたのに今では、『食べたくない』の一点張りだ。
滅多に病気にかからない魔族とはいえ、たまにあるのだ…早めに診てもらった方がいいと思い、この国唯一の医者を呼んだ。


心配だし、医者とはいえカイト兄上の身体に触れるのだ。何か変な気を起こさせてはいけないと思い、見張りも兼ねて側にいようと思ったのだが…

「魔王としての仕事を放棄するような奴は嫌いだ」

そうカイト兄上に言われてしまっては、頑張るしかない。しぶしぶ執務室に向かったのだが、こんな中で集中できる訳がない。昼食の時間になったら、急いでカイト兄上の元に戻った。

「ただいま、カイト兄上!どうだった?」

帰ってくると、辛そうだった顔がだいぶ良くなっている。医者に診せて正解だったな。

「おかえり、リエル…聞きたいか?」

はぁっ…なんでこんな可愛いの?ちょっと悪戯っぽい顔をしてこちらを伺ってくる。あまりの可愛さに病人じゃなかったら、おか…ゴホンゴホン。子作り頑張ってた。

「是非聞きたいな」

そう言いながらカイト兄上に近づき、抱き寄せる。最初はあんなにくっつくのを嫌がってたのに、今ではすんなり腕の中におさまってくれるのが可愛くて仕方ない。
誤解しないで欲しいが、抵抗してる時も顔真っ赤にしてて可愛かった。今のカイト兄上は、はにかみながらも自分からくっついてくる。押し倒さなかった自分を自分で褒めてあげたい。

「…リエル、あのだな…ーー」

はっと、現実のカイト兄上の元に戻る。
今のカイト兄上は言っちゃおうかな、どうしようと、もじもじしている。他の奴がこれをやったら、カイト兄上との時間が減るとイライラしてたが、それがカイト兄上なら話は別だ。愛おしくてたまらないし、こんなもじもじカイト兄上はレアだから、しっかりと見て記憶に刻む。

「実は、ここに俺とお前の子が宿ったんだ」

……ーー?………ん?

「喜んでくれないのか?」

見上げてくるカイト兄上の不安そうな顔と頭を働かせた結果、何が起きているのかを理解した。

「嬉しいに決まってるよ、でもまさか本当に子供が出来るとは…」

私だって、半信半疑だった。男と男の間で子供が出来たなんてことは聞いたことがない。

「あぁ、本当によかった」

待ってくれ、これは告白するチャンスなのでは…

「カイト兄上、結婚して…「いや、子供が出来てからだ」」

仕方ないな、だけどカイト兄上に優しい私でもこれ以上は待てない。



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俺はカイト兄上が子供を産むのを別室で待機して待っている。不安で仕方ない…

「リエル様、ちょっとは落ち着いたら?」

逆に、何故そんなに落ち着いてられると思ったが、私がいくら不安でウロウロしてても、出産には関係がない。だから、大人しく座る。

「そうだな、いったん落ち着こう」

ソファーに腰掛けようとしたところ『オギャー、オギャー』と聞こえてきて、カイト兄上がいる部屋の前まで走って駆けつける。

すると、中から扉が開けられた。そこには、少しやつれたカイト兄上と、可愛い黒髪の赤ん坊がいた。

「お疲れ、カイト兄上。嬉しいな、私たちの子だ」

「自分で産むってなんか不思議な感覚だな…俺たちの子、可愛いな」

母の顔をしているカイト兄上もいいな。私も息子が甘えている横で一緒に甘えるか…(大迷惑)

「ごめん、リエル。俺、もう眠い」

「そうだよね、おやすみ」

今はゆっくり休んで欲しい。こんな大変なことをしたのだ。きっと疲れただろう。

「本当に良かった…黒髪の子に産めて」

さりげなく言った言葉だったのだろう。だが、私の胸には深く突き刺さった。あんなに普通そうに振る舞って強かったカイト兄上もやはり、黒髪でなかったせいで辛かったのだろう。

カイト兄上…大事にするからね。これからも、幸せにするよ。この子と一緒にね。






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あと1話で完結となりました。
完結させた後に、おまけ小話を一つ書かせてもらおうかなと思っています。

読んでくださり本当にありがとうございます。
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