36 / 115
SS、夢現
しおりを挟む
山奥にひっそりと佇むロッジ、ここには知る人ぞ知る孤児院があった。
孤児院と言っても、勿論こんな山奥では人は集まらないので、子供達も四人しかいない、そんな孤児院の一部屋で老婆がベットから上半身だけを起こし窓を眺めていた、清潔な服に身を包み、姿勢はとてもきれいだが、遠目に見ても体調が悪い事が見てとれる。
さらに彼女を俯瞰する知らない目があった、その目はあることに気づいた。
(あ、あれは……もしかして)
状況を飲み込めないリリ
見ず知らずの風景を俯瞰していたが、目に映るものを信じることができない。
(だって彼女は……)
リリが頭を悩ませていると、コン、コンっとドアをノックする音が聞こえる。
「どうぞ、入っていらっしゃい」
ベットの女性が優しく返事すると同時にドアが物凄い勢いで空いた。
いろいろな種族の子供達が飛び込んでくる。
(人、猫の獣人、鬼、リザードマンまで?)
目の前の光景にリリは呆気にとられてしまった、更に呆気にとられる事態が起きる。
「こらっ! ドアはゆっくり空けなさいっていつも言ってるでしょ! ごめんねラーナ、騒がしくって」
「フフフッ、いいのよ子供は元気が一番だわ」
姿はまだ見えないが、この声にしてこの喋り方、しかもベットの老婆をラーナと呼んだ。
そんな人物は自分しか、リリには思い浮かばないのだ。
(わ、わたし!?)
子供たちの後ろから魔法で食器を一揃え分も従えてやってきたピクシーが一羽。
ドアすらも魔法で閉め、更には机に食器を並べ、カップにハーブティーを注ぐとラーナの肩に座る。
「この子達が取ってきたハーブよ、置いとくわね」
見ている過去のリリには、想像もできないほどの熟達した魔法に目を疑う。
(あれ? 本当にわたしなの?)
「せんせー、みてみてー、みんなでお花集めたのー」
「今日も、おそとにでないの?」
取ってきた花を自慢げに見せる人族の男の子と、女性に掴みかかり寂しそうに尻尾を振る猫人族の女の子。
ラーナは目が朧気にしか見えていないのか、たどたどしい手つきで二人の頭を撫で、笑顔で二人に応えた。
「ウィステリアは元気ねー、小さい頃の私そっくりだわ、その明るさを忘れちゃダメよ」
「うん!」
「アイリスは相変わらず寂しがり屋さんね、いつかはあなたが周りの寂しさを埋めてあげてね」
「……が、頑張る……」
甘える幼子を注意するように、後ろに控えたリザードマンの女の子が声を張り上げた。
「こらー! 院長先生はお疲れなんだから、ウィステリアは静かにしなさい」
「はーい」
「アイリスもこっちにおいで、私が抱っこしてあげるから」
「うん……」
「ごめんなさい、院長先生」
「いいのよガーベラ、あなたは優しくてしっかり者ね、でも自分で自分を責めるとことがあるからたまには許してあげてもいいのよ? 無理はしないでね」
「っえ、あ、はい」
子供を探し顔を振った老婆の横顔を見て、リリは確信した。
(あのおばあちゃん、やっぱりラーナ……よ、ね?)
混乱する過去のリリ、しかし目の前の話は進んでいく、鬼族の男の子がラーナに声をかける。
「ばぁちゃん、また稽古つけてくれよ」
「ロータスごめんね、稽古はもう付けてあげられそうにないわ、貴方はもう十分強いから大丈夫よ」
「俺はもっと強くなって、金級の冒険者になるんだ!」
「あらあら、ロータスは欲張りね」
「そんなことはねぇよ、普通だろ?」
「鬼族はそうじゃなきゃね、でも誇りよりも命を大切にね」
「何度も言わなくてもわかってるよ!」
(やっぱりそうよ! それならピクシーは、わたしで間違いないわね)
ニコリと優しく笑った老婆、年老いていてもラーナの面影がある。
未来のリリが用意したハーブティーを一口飲むと、静かに優しくゆっくりと老婆は語りだした。
「今日はね、みんなにお話しをしておかなきゃいけないことがあるの、聞いてくれる?」
「「なにー」」
「私はそろそろいなくなるわ、もう少しだけ頑張れると思ったんだけど……」
理解できないといった表情で無邪気に聞く、幼子のウィステリアとアイリス。
二人の後ろでロータスは俯き、ガーベラの目には涙が今にも零れ落ちそうになっていた。
「みんなには外の世界を見てほしいわ、砂漠の雨季、海にある海底神殿、エルフのご神木も凄かったわ」
ポツリ、ポツリ、と話しだしたラーナ。
子供のように無邪気に旅の話をする、その姿は過去のリリが知っているラーナそのものだ。
暫くすると、静かに泣いていたガーベラの横で、ロータスの涙をすする音が混ざりだす。
つられて二人の幼子も涙をボロボロと溢しながらラーナの話を聞いていた。
「ゆっくりでいい、無理もしなくていい、それでもいつかはここを出て行くのよ?」
「ばぁさん……」
「院長先生……」
「「ぅ、ぅう……」」
「あなた達のことはしっかり見てるから、私が見ていて羨ましくなるような人生を、そろぞれが歩んでいってちょうだい」
最後にそう話を締めくくると、手を軽くパンッと叩き、ハキハキと明るく言う。
「話しすぎちゃったわね、お昼ごはんの時間よ、お腹いっぱいに食べていらっしゃい」
その言葉が合図であったのか未来のリリは、その場にそぐわないほどの明るさで子供達の背中を押す。
「さぁ今日はみんな大好き、ハンバーグよ! 早くいかないと冷めちゃうわ!」
「リリ、分かったよ」
ロータスがガーベラの頭を軽くなでると、二人はウィステリアとアイリスを連れ部屋から出て行った。
子供達のいなくなった部屋で、リリはいつも通りのテンションでラーナに話しかける。
「ずいぶんと直球にいったわね」
「ボクには時間がないからね」
「そっかー、にしても見事にいい事しか言わなかったわね」
「海賊だったとか、エルフのご神木を見に行って怒られた話なんて教育に悪いじゃん」
「フフフッ、確かにね」
「大きくなったら、リリから言ってあげて」
「わかったわ!」
(子供たちの前ではいい大人でいようと思っていたのね)
クスクスと笑い合う二人、過去のリリは、未来を知っていいのか少しだけ不安になりながらもどこか現実感がなく、物語を見ているような不思議な気持ちで見ていた
「あーあ、革鎧また食べたかったなぁ」
「よりによって、それ?」
「ボクたちの思い出の料理だからね」
からかうようにニコッっと笑ったラーナに、リリは少し涙ぐむと泣くのを堪えて話を続ける。
「あれからここまで長かったわね、ラーナもこんなにおばあちゃんになっちゃって」
「あの時は死ぬのが怖かったけど、今は受け入れてるよ?」
「ホント、大人になったわねー」
「あのさリリ、お願いをしてもいい?」
「ん? なぁに?」
「最後に顔を見せてくれる?」
歳のせいなのか、他に理由があるのかは分からないが、やはりラーナの目はほとんど見えていないらしい。
だからこそのお願い、リリは「いいわよ」と言うと、顔にくっつくのではないかと言うほどに近づく。
「あぁ、ボクの友達はこんなに綺麗な顔だったんだね、久しぶりに見たよ」
ラーナの頬を一粒の涙が流れる。
リリは「知らなかったの?」と明るさを装いつつ言うと、頬に抱きつき涙を拭う。
穏やかな時が流れ、ようやく二人とも落ち着きを取り戻した、するとラーナが意を決したようにリリに言う。
「そろそろお願いしていい? もう座っていられないんだ」
「……そう、わかったわ」
寂しそうに呟いたリリが頬から離れると、姿が急に黒く変身した、髪は黒くなり、マントのように垂れ下がった羽根は灰色に変わる、目は泣き腫らしたのか、燃えるように赤くなっていた。
「久々にバンシーになったわね、いつ以来かしら?」
「どうだったかな、もう覚えてないや、最近は記憶も朧げで……」
「いいのいいの、ラーナとの思い出はわたしが覚えているもの! わたしが最後まで持っていってあげる」
「リリありがとう、リリとの旅はとっーてもたのしかった、もっと、一緒、に……」
ラーナの言葉が詰まる、目の前でバンシーになったリリが、ボロボロと涙を溢しているからだ。
「わたしもダメね」
「リリは泣き虫だなぁ」
「いつもいつも、バンシーになると感情が流れてきて、涙が止まらないわ」
「リリ……」
「本当に最後よ? お願いはない? 出会った人に教えようか?」
バンシーは訃報を知らせることで知られる妖精だ。
死に近いものの前に現れ、この世のものとは思えないような泣き声でどんなに離れていようとその者の親しいものに知らせる。
たったそれだけの妖精。
「それはいいかな」
「ぞ、ぞぅ?」
「ボクは満足してるんだぁ。リリとの旅はいつも楽しかったし、こうやって老衰で死ぬ事ができるなんて思ってもみなかったよ」
「わ、わだぢも、よ。ざいごにプレゼンド」
涙や鼻水でグシャグシャになった顔でリリが答え、鼻にチュっとキスをした、バンシーのキスは願いをかなえると言われているからだろう。
ラーナは突然のことにエへへと照れながら笑った。
その瞬間! 急に周りの壁をすり抜けて何体ものレイスが現れた!!
「死神たちのおでましだ、子供たちのことは頼んだよ、リリ!」
「えぇ!」
* * *
「ふあぁ~~」
大きなあくびと共に、目の前の景色が変わる。
辺りは広大な砂漠と降り注ぐ太陽。
(やばっ! また寝過ごした)
目覚めたリリは、なんだか寂しく暖かい夢を見た記憶はあるものの、寝惚けた頭では何も覚えていない。
「まっいっか」と呟くと目を擦り、体を伸ばした。
孤児院と言っても、勿論こんな山奥では人は集まらないので、子供達も四人しかいない、そんな孤児院の一部屋で老婆がベットから上半身だけを起こし窓を眺めていた、清潔な服に身を包み、姿勢はとてもきれいだが、遠目に見ても体調が悪い事が見てとれる。
さらに彼女を俯瞰する知らない目があった、その目はあることに気づいた。
(あ、あれは……もしかして)
状況を飲み込めないリリ
見ず知らずの風景を俯瞰していたが、目に映るものを信じることができない。
(だって彼女は……)
リリが頭を悩ませていると、コン、コンっとドアをノックする音が聞こえる。
「どうぞ、入っていらっしゃい」
ベットの女性が優しく返事すると同時にドアが物凄い勢いで空いた。
いろいろな種族の子供達が飛び込んでくる。
(人、猫の獣人、鬼、リザードマンまで?)
目の前の光景にリリは呆気にとられてしまった、更に呆気にとられる事態が起きる。
「こらっ! ドアはゆっくり空けなさいっていつも言ってるでしょ! ごめんねラーナ、騒がしくって」
「フフフッ、いいのよ子供は元気が一番だわ」
姿はまだ見えないが、この声にしてこの喋り方、しかもベットの老婆をラーナと呼んだ。
そんな人物は自分しか、リリには思い浮かばないのだ。
(わ、わたし!?)
子供たちの後ろから魔法で食器を一揃え分も従えてやってきたピクシーが一羽。
ドアすらも魔法で閉め、更には机に食器を並べ、カップにハーブティーを注ぐとラーナの肩に座る。
「この子達が取ってきたハーブよ、置いとくわね」
見ている過去のリリには、想像もできないほどの熟達した魔法に目を疑う。
(あれ? 本当にわたしなの?)
「せんせー、みてみてー、みんなでお花集めたのー」
「今日も、おそとにでないの?」
取ってきた花を自慢げに見せる人族の男の子と、女性に掴みかかり寂しそうに尻尾を振る猫人族の女の子。
ラーナは目が朧気にしか見えていないのか、たどたどしい手つきで二人の頭を撫で、笑顔で二人に応えた。
「ウィステリアは元気ねー、小さい頃の私そっくりだわ、その明るさを忘れちゃダメよ」
「うん!」
「アイリスは相変わらず寂しがり屋さんね、いつかはあなたが周りの寂しさを埋めてあげてね」
「……が、頑張る……」
甘える幼子を注意するように、後ろに控えたリザードマンの女の子が声を張り上げた。
「こらー! 院長先生はお疲れなんだから、ウィステリアは静かにしなさい」
「はーい」
「アイリスもこっちにおいで、私が抱っこしてあげるから」
「うん……」
「ごめんなさい、院長先生」
「いいのよガーベラ、あなたは優しくてしっかり者ね、でも自分で自分を責めるとことがあるからたまには許してあげてもいいのよ? 無理はしないでね」
「っえ、あ、はい」
子供を探し顔を振った老婆の横顔を見て、リリは確信した。
(あのおばあちゃん、やっぱりラーナ……よ、ね?)
混乱する過去のリリ、しかし目の前の話は進んでいく、鬼族の男の子がラーナに声をかける。
「ばぁちゃん、また稽古つけてくれよ」
「ロータスごめんね、稽古はもう付けてあげられそうにないわ、貴方はもう十分強いから大丈夫よ」
「俺はもっと強くなって、金級の冒険者になるんだ!」
「あらあら、ロータスは欲張りね」
「そんなことはねぇよ、普通だろ?」
「鬼族はそうじゃなきゃね、でも誇りよりも命を大切にね」
「何度も言わなくてもわかってるよ!」
(やっぱりそうよ! それならピクシーは、わたしで間違いないわね)
ニコリと優しく笑った老婆、年老いていてもラーナの面影がある。
未来のリリが用意したハーブティーを一口飲むと、静かに優しくゆっくりと老婆は語りだした。
「今日はね、みんなにお話しをしておかなきゃいけないことがあるの、聞いてくれる?」
「「なにー」」
「私はそろそろいなくなるわ、もう少しだけ頑張れると思ったんだけど……」
理解できないといった表情で無邪気に聞く、幼子のウィステリアとアイリス。
二人の後ろでロータスは俯き、ガーベラの目には涙が今にも零れ落ちそうになっていた。
「みんなには外の世界を見てほしいわ、砂漠の雨季、海にある海底神殿、エルフのご神木も凄かったわ」
ポツリ、ポツリ、と話しだしたラーナ。
子供のように無邪気に旅の話をする、その姿は過去のリリが知っているラーナそのものだ。
暫くすると、静かに泣いていたガーベラの横で、ロータスの涙をすする音が混ざりだす。
つられて二人の幼子も涙をボロボロと溢しながらラーナの話を聞いていた。
「ゆっくりでいい、無理もしなくていい、それでもいつかはここを出て行くのよ?」
「ばぁさん……」
「院長先生……」
「「ぅ、ぅう……」」
「あなた達のことはしっかり見てるから、私が見ていて羨ましくなるような人生を、そろぞれが歩んでいってちょうだい」
最後にそう話を締めくくると、手を軽くパンッと叩き、ハキハキと明るく言う。
「話しすぎちゃったわね、お昼ごはんの時間よ、お腹いっぱいに食べていらっしゃい」
その言葉が合図であったのか未来のリリは、その場にそぐわないほどの明るさで子供達の背中を押す。
「さぁ今日はみんな大好き、ハンバーグよ! 早くいかないと冷めちゃうわ!」
「リリ、分かったよ」
ロータスがガーベラの頭を軽くなでると、二人はウィステリアとアイリスを連れ部屋から出て行った。
子供達のいなくなった部屋で、リリはいつも通りのテンションでラーナに話しかける。
「ずいぶんと直球にいったわね」
「ボクには時間がないからね」
「そっかー、にしても見事にいい事しか言わなかったわね」
「海賊だったとか、エルフのご神木を見に行って怒られた話なんて教育に悪いじゃん」
「フフフッ、確かにね」
「大きくなったら、リリから言ってあげて」
「わかったわ!」
(子供たちの前ではいい大人でいようと思っていたのね)
クスクスと笑い合う二人、過去のリリは、未来を知っていいのか少しだけ不安になりながらもどこか現実感がなく、物語を見ているような不思議な気持ちで見ていた
「あーあ、革鎧また食べたかったなぁ」
「よりによって、それ?」
「ボクたちの思い出の料理だからね」
からかうようにニコッっと笑ったラーナに、リリは少し涙ぐむと泣くのを堪えて話を続ける。
「あれからここまで長かったわね、ラーナもこんなにおばあちゃんになっちゃって」
「あの時は死ぬのが怖かったけど、今は受け入れてるよ?」
「ホント、大人になったわねー」
「あのさリリ、お願いをしてもいい?」
「ん? なぁに?」
「最後に顔を見せてくれる?」
歳のせいなのか、他に理由があるのかは分からないが、やはりラーナの目はほとんど見えていないらしい。
だからこそのお願い、リリは「いいわよ」と言うと、顔にくっつくのではないかと言うほどに近づく。
「あぁ、ボクの友達はこんなに綺麗な顔だったんだね、久しぶりに見たよ」
ラーナの頬を一粒の涙が流れる。
リリは「知らなかったの?」と明るさを装いつつ言うと、頬に抱きつき涙を拭う。
穏やかな時が流れ、ようやく二人とも落ち着きを取り戻した、するとラーナが意を決したようにリリに言う。
「そろそろお願いしていい? もう座っていられないんだ」
「……そう、わかったわ」
寂しそうに呟いたリリが頬から離れると、姿が急に黒く変身した、髪は黒くなり、マントのように垂れ下がった羽根は灰色に変わる、目は泣き腫らしたのか、燃えるように赤くなっていた。
「久々にバンシーになったわね、いつ以来かしら?」
「どうだったかな、もう覚えてないや、最近は記憶も朧げで……」
「いいのいいの、ラーナとの思い出はわたしが覚えているもの! わたしが最後まで持っていってあげる」
「リリありがとう、リリとの旅はとっーてもたのしかった、もっと、一緒、に……」
ラーナの言葉が詰まる、目の前でバンシーになったリリが、ボロボロと涙を溢しているからだ。
「わたしもダメね」
「リリは泣き虫だなぁ」
「いつもいつも、バンシーになると感情が流れてきて、涙が止まらないわ」
「リリ……」
「本当に最後よ? お願いはない? 出会った人に教えようか?」
バンシーは訃報を知らせることで知られる妖精だ。
死に近いものの前に現れ、この世のものとは思えないような泣き声でどんなに離れていようとその者の親しいものに知らせる。
たったそれだけの妖精。
「それはいいかな」
「ぞ、ぞぅ?」
「ボクは満足してるんだぁ。リリとの旅はいつも楽しかったし、こうやって老衰で死ぬ事ができるなんて思ってもみなかったよ」
「わ、わだぢも、よ。ざいごにプレゼンド」
涙や鼻水でグシャグシャになった顔でリリが答え、鼻にチュっとキスをした、バンシーのキスは願いをかなえると言われているからだろう。
ラーナは突然のことにエへへと照れながら笑った。
その瞬間! 急に周りの壁をすり抜けて何体ものレイスが現れた!!
「死神たちのおでましだ、子供たちのことは頼んだよ、リリ!」
「えぇ!」
* * *
「ふあぁ~~」
大きなあくびと共に、目の前の景色が変わる。
辺りは広大な砂漠と降り注ぐ太陽。
(やばっ! また寝過ごした)
目覚めたリリは、なんだか寂しく暖かい夢を見た記憶はあるものの、寝惚けた頭では何も覚えていない。
「まっいっか」と呟くと目を擦り、体を伸ばした。
0
あなたにおすすめの小説
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」
イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。
ある日、夢をみた。
この国の未来を。
それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。
彼は言う。
愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる