【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ

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第1章 復讐の魔女

第25話 大逆転

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 その血飛沫は私のものではなく、ジーニアの肩からとディアナの右腕から。

「はあああああああ? 何故テメエらがここにいやがる! 傭兵‼ エルフ‼」

 金属音を奏でながら、ジーニアは押され、リョウに窓から外へと押し出された。

「あらあら酷いじゃないベレニスちゃん。レイピアを投げるなんて」

『風の精霊よ刃となれ!』

「お構いなしなのね。でも、これぐらいじゃ私は殺せないわよ?」

 魔法障壁を展開させて防ぐディアナ。
 でもその隙で十分だ。

「ローゼ! 無事ね!」

「うん。ありがとう、ベレニス」

 合流した私とベレニスも窓から外に飛び出す。
 リョウが、ジーニアに向かって剣を振るう姿が目に映る。

「ねえ? 後学のために教えてくんない? ここ、遮音魔法で防音対策もされてるんだけど。なあああああんで場所を特定した上に、お姫様が殺されるのを防いでくれたんだあああああ? 傭兵っっっ?」

 ジーニアの疑問の絶叫。

 だがリョウは無言で剣を繰り出し、ジーニアを追い詰める。
 ……が、ディアナの魔力弾に邪魔をされ、リョウも態勢を立て直すべく私たちに合流する。

 宿の外の人気のない夜の大通り。
 もうここは遮蔽魔法の範囲外のはずだし、衛兵が駆けつけてくるのも時間の問題だろう。

「あらあら、やられたわ。ジーニアが来た時にローゼちゃんが放った魔法。あれが報せだったのかしら?」

「……ええ。遮蔽魔法が展開されているのはわかったから。……両親が殺されたときと同じ感覚だったし」

 だから攻撃魔法と見せかけ、私はディアナとジーニアとのやり取りをも乗せる魔法弾を放ったのだ。

「全部聞いたわよ。何もかもね。私の睡眠の邪魔をした罪は重いんだから!」

「私を助けに来たんじゃないんかい!」

 ベレニスの言葉に思わず突っ込む私。

「テヘ♪ でもディアナ残念ね。私たちに嘘なんて全然ついてなかったのに」

「俺も残念でならない。冒険者ギルドでも、ビオレールの住民にも、評判のいい占い師だったあんたがな」

 リョウも怒りを露にする。

「あらあら。青いこと」

「お前らが千年前の魔族降臨を再現しようと、大陸全土で動いているという話。もっと詳しく語ってもらう」

 私の杖、ベレニスのレイピア、リョウの剣がディアナとジーニアに向けられる。
 ジーニアはリョウにやられた出血が酷く、最早戦力に入っていない。
 後は逃げられないように目を光らせるのみ。

「ウフフ、本当に聞いてたのね」

「ああ、聞いた。力だけで決まる世界、強者こそが全てを支配する世界。そんな世界を創るためにあんたらが暗躍していたとな!」

「アハハハハ、素晴らしい世界じゃない! なぜ否定するの? なぜ嫌悪を抱くの? わからないわ! 力こそが全て。人の命だって物のように奪い合える世界。……それが平和というものよ!」

 ディアナが恍惚の笑みを浮かべるが、ベレニスが即答する。

「嘘ね。それ」

「……ベレニスちゃん、何?」

「初めてディアナの嘘が見えたわ。ローゼが送ってきた遠隔魔法の音声じゃ、ハッキリしなかったけどね~」

 ベレニスの断言に、私も驚く。

「そうなの? ベレニス」

「ローゼにもわかるんじゃない? 言葉って魔法の詠唱と同じようなもんだし。嘘は言葉の中に現れちゃうのよ」

 う~む、わからん。
 ただ研究していくのは面白いかも。
 言葉は魔法か。
 ベレニスにしてはまともなことを言う。

「ベレニスが動物的直感で、嘘を見抜いているだけなんじゃないのか?」

「は? 傭兵は私をなんだと思ってるのよ」

 リョウの呟きに、ベレニスがイラっとしたように反応する。
 いやいや、そんなことをしている場合じゃないから。

「ベレニスの言葉通りなら、真の目的を話しなさい!」

 私は2人に向かって魔法を放つ。爆発魔法だ。
 だが、ディアナの魔法障壁で掻き消され霧散する。

「キヒ♥ ディアナの防御は魔法じゃ破れねえぜえ。近づいてきな。剣が振るえなくても、殺される前に噛みちぎってやるぜ」

 修道服を鮮血で濡らしながらも、狂気の瞳でジーニアは嗤う。

 その傷は相当ヤバいはず。
 ……なのに何故、そこまでの闘争心を彼女は保てるのだろう?

「ディアナさあ、あたしも知りてえなあ。ディアナの本心てやつ」

「転移出来ないぐらいやられたようね。でも冥土の土産なんて教えないわ」

 2人の余裕有りげなやり取りだが、追い詰めているのはこっちのはず。
 ジーニアは瀕死で、ディアナは防御に徹していて、衛兵もそろそろやって来るはず。
 無理して、最期の命を燃やし尽くそうとしているジーニアと戦うべきではない。

 それに……

「投降してジーニア。まだその傷なら癒せる者がいる」

 王国騎士団に拘束されている教会の司祭やシスターを思い浮かべる。
 私も応急処置程度ならできるし。

 だが……

「ヒャハ♥ 憐れみの上から目線が気にくわないねえっ! さっすがはお姫様!」

 ジーニアは嘲笑う。

 ……今は何を言っても無駄か。
 拘束して治療して、逃げられないようにしてから彼女の知っている全てを吐かせる!
 私は杖を強く握り、魔力を高める。

 リョウもベレニスも武器を構え、戦闘態勢を取る。

 そしてディアナも、魔力を高め……たと思ったら魔力を霧散させる。
 それどころか魔法障壁も解いた。

 私たちだけでなく、ジーニアも驚きの表情を浮かべる中、彼女は口を開いた。

「私たちの勝ちよ」

 衛兵が駆けつけ、武器を構え囲むのは私たち。
 衛兵が守ろうとするのは、ディアナとジーニア。

「なっ⁉ ちょっと! そっちが騒ぎの張本人! 私たちが襲われたのよ!」

 ベレニスが衛兵に訴えるも、無意味だった。

「何をとぼけたことを! 領主様を殺した魔女とエルフの女と傭兵の男の3人組! 手配書もお前たちと一致している! 武器を捨てろ!」

 どういう……

「ギルドで高名な占い師を襲うとは。……修道服の少女は重体だ! 早くこの娘を運ばねば! おのれ! ビオレールの街を騒がす悪の根源め‼」

 …………やられた!

 私たちだけが見えたディアナの戦慄の笑み。

 それを見て悟る。

「何が起きた? どうも聞く耳を持たないようだな、衛兵の連中は」

「意味わかんない! 要するに領主がいなくなっても、こいつらはグルだったってこと⁉ そんで私たちに、全部罪を擦りつけるつもり⁉」

 リョウもベレニスも戸惑いを隠せない。

 ……でも今は呆けている場合じゃない! 私は魔力を杖に収束し、2人に叫ぶ。

「私の身体に掴まって!」

 リョウとベレニスが私の身体に掴まったことを確認し、私は魔力を解放する。

『転移』

 私たち3人はビオレールの街の裏路地へと転移した。
 
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