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第1章 復讐の魔女
第24話 魔女3人
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「なっ⁉」
ディアナさんを庇うように前へ出て、いつでも魔法を放てるように構える。
しかし……
「駄目じゃない、ジーニア。まだ出てきちゃいけないわよ」
「うっせえなあディアナ。2対1で話したほうがローゼマリー王女様も話しやすいと思ってさ」
「‼」
「ヒャハ♥ その顔良いねぇ、ゾクゾクしちゃう♥ ……教会ではよくもやってくれたなあ」
ジーニアは剣を構え、今にも飛び掛かってきそうな殺意を放つ。
「ジーニア。話し合いよ。待ちなさいな」
「は~い♥ でもでもぉ♥ ……このまま無理矢理言うこと聞かせたほうが早くね?」
……嘘……でしょ?
まさかディアナさんがジーニアの仲間?
つまりは邪神崇拝の関係者で、私の両親を殺した人物とも何らかの接点があったってこと?
「一つだけ先に答えて……領主を殺したのはジーニア! 貴女なの⁉」
「さすがはお姫様って感じぃ♥ 人の話を聞かないで質問ってぇ♥ ……ここにはあの都合良くお姫様を守る傭兵もいなければ、気分次第のへんてこりんなエルフもいない。立場を考えろよぉ♥」
「ジーニア」
「はいはぁい♥ しゃあない。ディアナの邪魔したついでに教えてやるよ。あたしらじゃねえ。あたしらも困ってるんだよ。だからこうしてお姫様に強硬手段を取ったのさ」
剣を舌舐めずりして、ジーニアは答えた。
「困る? それに私をどうしようと? ……それに何で私のことを……」
「だ~か~ら~。次から次へと質問すんなっての。これだからお姫様ってのはよぉ」
「私は……姫じゃない。魔女ローゼ・スノッサ。それが今の私!」
私は意を決して魔法を放つ。
放たれた魔力弾はジーニアに直撃する……はずだった。
しかし……
バアァァン‼
窓が開け放たれていたのもあり、私の攻撃は外へと飛んで行った。
「落ち着いてローゼちゃん。これは貴女にとってもいい話よ?」
背中越しに聞くディアナさんの声と、首筋に当たる刃の感触。
ジーニアも歪んだ笑みを浮かべながら、私に漆黒の剣を突きつけている。
「ディアナさん……貴女たちは何を?」
私は震える声を絞り出す。
「ローゼちゃん。王女に戻るつもりはないかしら? 私たちが全面的に協力するわ。お望みなら大陸全てを統一するわ」
その言葉と同時に、私の首に当てがわれた刃の力が強まる。
「手始めにビオレールを乗っ取り高々と宣言しましょう。先王カエサル・ベルガーの第一王女にして正統なる後継者ローゼマリー・ベルガーは、王国の腐敗を正す為に立ち上がった。ビオレール領主ハインツ伯爵を暗殺したのは、私利私欲に塗れ王国を腐敗させる、テスタ宰相が側近トール・カークス。そして貴女が王女に戻り、私利私欲に塗れるテスタ宰相を断罪し、このベルガー王国を治める。悪くないでしょう?」
ディアナさんは歌うように語る。
「出来るわけがない。そもそも私は十年前に、両親と共に流行り病で病死したことになってる。魔女ディルによる魔法で……」
「そうねえ、本当にディルとかいう貴女の師匠は厄介。フフッ、教えてあげるわローゼちゃん。貴女の両親を殺したノエルも見事にディルの魔法に巻き込まれたわ。自身が殺したはずの王夫妻なのに現実は病死したと認識する世界。……クスクス、どうなったと思う? 改竄された世界の中心で、真実と虚構の境界が曖昧になる感覚。……ノエルは発狂し死んだわ」
「なっ⁉」
なんてことだ……あのクソババアめ。
絶対知っていたはず。
私の復讐相手の結末を!
それなのに何食わぬ顔で、師匠として私を鍛えてやがったのか!
いや……教えられていたら私はどうなっていただろう?
魔法の習得も諦め、世界に羽ばたくこともせず、スノッサの森でただ無意味な時を過ごしていたのだろうか?
私のそんな内心を見透かしたように、ディアナさんが言葉を紡ぐ……
「改竄魔法が強大であろうと、インパクトがある現実が提示されればそちらが真実と世界は認識する。それが魔法よ、ローゼちゃん。貴女が王女として振る舞い民衆に真実を語っていけば、十年前の真相も病死ではなく、魔女ノエルによる暗殺だと認識させられるわ。ね? ローゼちゃんにとってメリットしかない話でしょ?」
「キャハ♥ お姫様は王女になったら、王侯貴族の社会でやりたい放題出来ちゃうんだよぉ? ディアナの言うこと聞いときなって。あたしらと一緒に王国を牛耳って、楽しく過ごそうぜぇ?」
ジーニアも追い打ちをかけるように私の耳元で囁く。
けれど……
それでも私は揺るがない。私の心は決まっているのだから!
「断る!」
「あん? あ~そっかそっか。じゃあこういうのはどうよ? お姫様は王女になったらぁ、政略結婚で好きでもない男に抱かれる運命だもんねぇ。キヒ♥ それは可哀相だからさぁ。あのリョウとかいう傭兵を、時々お姫様のベッドに運んでやるよぉ。あたしら優しいからぁ♥」
その言葉にドクン……と私の心臓が大きく跳ねた。
「ふざけないで! 好き勝手言ってきて……私にメリット? たしかに両親の死因が正しく認識されてない現実や、王国の現状には思うことがある。でも! 魔女ディルになんとかしてと頼んだのも私。その結果がこれ! 自業自得! だから私はディルを恨んではいない! むしろ感謝してる! 私が魔女としての人生を歩めたのはディルのお陰なんだから! それに自分たちの目的やメリットも話さないで、一方的に協力するって言われても、信用できるわけない! バカじゃないの? 他にもトール・カークスって奴がハインツ伯爵を殺したってのも、証拠もないのに断定するのもおかしい! そもそも王国の腐敗を正す? 教会にあった悪意ある魔法陣、それとロック鳥に人を食べさせていたあんたたちに、そんなことを言う資格なんてない!」
私の怒号にディアナは目を丸くし、ジーニアは笑いだす。
その笑みはまるで腹を空かせた獣のよう。
「おいおい、良い子ちゃんて聞いていたが、とんだじゃじゃ馬じゃねえか。さすがのあたしも吃驚だよ」
「クスクス、まるで私たちが極悪人みたい。もう少し、しおらしくしててもバチは当たらないのに。……まあ良いわ。私たちの目的と、ローゼちゃんを仲間に引き入れるメリットを教えてあげる。十年前のベルガー王国の国王夫妻暗殺から、大陸各地の戦乱や混乱を裏で操っている存在。ローゼちゃんは私たちのことを、そう認識してるのかしら?」
「今更違うとでも?」
「合ってるわ。でも私たちの真の狙いは、この大陸に平和をもたらす為に動いているの」
「……平和?」
「誰もが平等で、力ある者が弱者から何もかもを奪ってもお咎めのない世界。千年前、魔族が大陸に現れた時のような世界を創り上げる。それが私たちの目指す世界の理念」
首筋に当たる刃、そこに映るディアナの笑みは狂気に染まっていた。
「平和? 平等? 単語が違うんじゃない? 絶望と恐怖が支配する世界のどこが平和?」
「キャハ♥ 誰だって平等に弱者を狩れる機会があるんだぜぇ? 四六時中、何時だって誰にだって弱者をいたぶれる世の中だよ。それって最高に平和で幸せじゃぁん♥」
ジーニアは私の胸に剣先を当て、恍惚とした表情を浮かべて嗤う。
私は、まるで氷水を浴びせられたような寒気と怒りを感じた。
「……だからあんたたちは、人の命を犠牲として稼働する魔法陣まで使用しているのね。あれは魔物や魔獣を増加させる為の魔法陣でしょ?」
私はさらに怒りを込めて言う。
「大陸各地で戦乱も起きてる。けど魔獣被害の報告も増えてる。……真の狙いは千年前のように、魔界への門を開いて魔族共を大陸に呼び覚ますことでしょ?」
私がそう語るとディアナは笑いだす。
まるで私の言葉が滑稽だとでも言わんばかりに……
そしてジーニアは口を開く。
魔王が唱える破滅の呪文のように……
「そこまで気付いたのはカエサル王とローラ妃に続いて3人目かぁ。……うざいわぁホント♥」
……そっか。どういう経緯で両親が知ったのかはわからないけど、だから邪魔者として狙われちゃったんだ。
「あ~あ。大人しくあたしらの言うこと聞いてれば、魔王の嫁にでもしてやったのになぁ。キヒ♥」
ジーニアが剣を振るう。
首筋にあるディアナの短剣も、私に鮮血を噴出させるべく力が込められる。
「残念ね。ローゼちゃんなら、大陸を統べる最後の人類の王にしてあげられたのに。クスクス」
そして……赤い血飛沫の鮮血が舞った。
ディアナさんを庇うように前へ出て、いつでも魔法を放てるように構える。
しかし……
「駄目じゃない、ジーニア。まだ出てきちゃいけないわよ」
「うっせえなあディアナ。2対1で話したほうがローゼマリー王女様も話しやすいと思ってさ」
「‼」
「ヒャハ♥ その顔良いねぇ、ゾクゾクしちゃう♥ ……教会ではよくもやってくれたなあ」
ジーニアは剣を構え、今にも飛び掛かってきそうな殺意を放つ。
「ジーニア。話し合いよ。待ちなさいな」
「は~い♥ でもでもぉ♥ ……このまま無理矢理言うこと聞かせたほうが早くね?」
……嘘……でしょ?
まさかディアナさんがジーニアの仲間?
つまりは邪神崇拝の関係者で、私の両親を殺した人物とも何らかの接点があったってこと?
「一つだけ先に答えて……領主を殺したのはジーニア! 貴女なの⁉」
「さすがはお姫様って感じぃ♥ 人の話を聞かないで質問ってぇ♥ ……ここにはあの都合良くお姫様を守る傭兵もいなければ、気分次第のへんてこりんなエルフもいない。立場を考えろよぉ♥」
「ジーニア」
「はいはぁい♥ しゃあない。ディアナの邪魔したついでに教えてやるよ。あたしらじゃねえ。あたしらも困ってるんだよ。だからこうしてお姫様に強硬手段を取ったのさ」
剣を舌舐めずりして、ジーニアは答えた。
「困る? それに私をどうしようと? ……それに何で私のことを……」
「だ~か~ら~。次から次へと質問すんなっての。これだからお姫様ってのはよぉ」
「私は……姫じゃない。魔女ローゼ・スノッサ。それが今の私!」
私は意を決して魔法を放つ。
放たれた魔力弾はジーニアに直撃する……はずだった。
しかし……
バアァァン‼
窓が開け放たれていたのもあり、私の攻撃は外へと飛んで行った。
「落ち着いてローゼちゃん。これは貴女にとってもいい話よ?」
背中越しに聞くディアナさんの声と、首筋に当たる刃の感触。
ジーニアも歪んだ笑みを浮かべながら、私に漆黒の剣を突きつけている。
「ディアナさん……貴女たちは何を?」
私は震える声を絞り出す。
「ローゼちゃん。王女に戻るつもりはないかしら? 私たちが全面的に協力するわ。お望みなら大陸全てを統一するわ」
その言葉と同時に、私の首に当てがわれた刃の力が強まる。
「手始めにビオレールを乗っ取り高々と宣言しましょう。先王カエサル・ベルガーの第一王女にして正統なる後継者ローゼマリー・ベルガーは、王国の腐敗を正す為に立ち上がった。ビオレール領主ハインツ伯爵を暗殺したのは、私利私欲に塗れ王国を腐敗させる、テスタ宰相が側近トール・カークス。そして貴女が王女に戻り、私利私欲に塗れるテスタ宰相を断罪し、このベルガー王国を治める。悪くないでしょう?」
ディアナさんは歌うように語る。
「出来るわけがない。そもそも私は十年前に、両親と共に流行り病で病死したことになってる。魔女ディルによる魔法で……」
「そうねえ、本当にディルとかいう貴女の師匠は厄介。フフッ、教えてあげるわローゼちゃん。貴女の両親を殺したノエルも見事にディルの魔法に巻き込まれたわ。自身が殺したはずの王夫妻なのに現実は病死したと認識する世界。……クスクス、どうなったと思う? 改竄された世界の中心で、真実と虚構の境界が曖昧になる感覚。……ノエルは発狂し死んだわ」
「なっ⁉」
なんてことだ……あのクソババアめ。
絶対知っていたはず。
私の復讐相手の結末を!
それなのに何食わぬ顔で、師匠として私を鍛えてやがったのか!
いや……教えられていたら私はどうなっていただろう?
魔法の習得も諦め、世界に羽ばたくこともせず、スノッサの森でただ無意味な時を過ごしていたのだろうか?
私のそんな内心を見透かしたように、ディアナさんが言葉を紡ぐ……
「改竄魔法が強大であろうと、インパクトがある現実が提示されればそちらが真実と世界は認識する。それが魔法よ、ローゼちゃん。貴女が王女として振る舞い民衆に真実を語っていけば、十年前の真相も病死ではなく、魔女ノエルによる暗殺だと認識させられるわ。ね? ローゼちゃんにとってメリットしかない話でしょ?」
「キャハ♥ お姫様は王女になったら、王侯貴族の社会でやりたい放題出来ちゃうんだよぉ? ディアナの言うこと聞いときなって。あたしらと一緒に王国を牛耳って、楽しく過ごそうぜぇ?」
ジーニアも追い打ちをかけるように私の耳元で囁く。
けれど……
それでも私は揺るがない。私の心は決まっているのだから!
「断る!」
「あん? あ~そっかそっか。じゃあこういうのはどうよ? お姫様は王女になったらぁ、政略結婚で好きでもない男に抱かれる運命だもんねぇ。キヒ♥ それは可哀相だからさぁ。あのリョウとかいう傭兵を、時々お姫様のベッドに運んでやるよぉ。あたしら優しいからぁ♥」
その言葉にドクン……と私の心臓が大きく跳ねた。
「ふざけないで! 好き勝手言ってきて……私にメリット? たしかに両親の死因が正しく認識されてない現実や、王国の現状には思うことがある。でも! 魔女ディルになんとかしてと頼んだのも私。その結果がこれ! 自業自得! だから私はディルを恨んではいない! むしろ感謝してる! 私が魔女としての人生を歩めたのはディルのお陰なんだから! それに自分たちの目的やメリットも話さないで、一方的に協力するって言われても、信用できるわけない! バカじゃないの? 他にもトール・カークスって奴がハインツ伯爵を殺したってのも、証拠もないのに断定するのもおかしい! そもそも王国の腐敗を正す? 教会にあった悪意ある魔法陣、それとロック鳥に人を食べさせていたあんたたちに、そんなことを言う資格なんてない!」
私の怒号にディアナは目を丸くし、ジーニアは笑いだす。
その笑みはまるで腹を空かせた獣のよう。
「おいおい、良い子ちゃんて聞いていたが、とんだじゃじゃ馬じゃねえか。さすがのあたしも吃驚だよ」
「クスクス、まるで私たちが極悪人みたい。もう少し、しおらしくしててもバチは当たらないのに。……まあ良いわ。私たちの目的と、ローゼちゃんを仲間に引き入れるメリットを教えてあげる。十年前のベルガー王国の国王夫妻暗殺から、大陸各地の戦乱や混乱を裏で操っている存在。ローゼちゃんは私たちのことを、そう認識してるのかしら?」
「今更違うとでも?」
「合ってるわ。でも私たちの真の狙いは、この大陸に平和をもたらす為に動いているの」
「……平和?」
「誰もが平等で、力ある者が弱者から何もかもを奪ってもお咎めのない世界。千年前、魔族が大陸に現れた時のような世界を創り上げる。それが私たちの目指す世界の理念」
首筋に当たる刃、そこに映るディアナの笑みは狂気に染まっていた。
「平和? 平等? 単語が違うんじゃない? 絶望と恐怖が支配する世界のどこが平和?」
「キャハ♥ 誰だって平等に弱者を狩れる機会があるんだぜぇ? 四六時中、何時だって誰にだって弱者をいたぶれる世の中だよ。それって最高に平和で幸せじゃぁん♥」
ジーニアは私の胸に剣先を当て、恍惚とした表情を浮かべて嗤う。
私は、まるで氷水を浴びせられたような寒気と怒りを感じた。
「……だからあんたたちは、人の命を犠牲として稼働する魔法陣まで使用しているのね。あれは魔物や魔獣を増加させる為の魔法陣でしょ?」
私はさらに怒りを込めて言う。
「大陸各地で戦乱も起きてる。けど魔獣被害の報告も増えてる。……真の狙いは千年前のように、魔界への門を開いて魔族共を大陸に呼び覚ますことでしょ?」
私がそう語るとディアナは笑いだす。
まるで私の言葉が滑稽だとでも言わんばかりに……
そしてジーニアは口を開く。
魔王が唱える破滅の呪文のように……
「そこまで気付いたのはカエサル王とローラ妃に続いて3人目かぁ。……うざいわぁホント♥」
……そっか。どういう経緯で両親が知ったのかはわからないけど、だから邪魔者として狙われちゃったんだ。
「あ~あ。大人しくあたしらの言うこと聞いてれば、魔王の嫁にでもしてやったのになぁ。キヒ♥」
ジーニアが剣を振るう。
首筋にあるディアナの短剣も、私に鮮血を噴出させるべく力が込められる。
「残念ね。ローゼちゃんなら、大陸を統べる最後の人類の王にしてあげられたのに。クスクス」
そして……赤い血飛沫の鮮血が舞った。
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