【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ

文字の大きさ
50 / 314
第2章 英雄の最期

第8話 私の評価

しおりを挟む
 え~っと、なになに?

『ローゼ。魔女。性格は仲裁型で、場の空気に流されやすい。問題に対し、常に正面から向き合おうとしている姿は尊敬に値し好感が持てる。武器は白銀の杖。魔女の腕前は上位。ただ、まだ底がしれない』

 ……えっと、仲裁型って⁉ 流されやすいって⁉
 いやいやいや、でも次からの文は褒められてるよね。

 はあ……良かった。
 ……悪口雑言なら泣いてたよ。

 そして次の文は……っと。

『立ち居振る舞いや整った容姿から、どこかの王侯貴族の出身と推察する。冒険者としては優しすぎる思考。他者との関り合いから学びを得て改善しようとする姿勢。驕り高ぶりは皆無な点から、苦労はしているものの衣食住に悩まされる生活は経験していないようだ。気になる点は多々あるが、最大の懸念は魔女としての資質だ。伝承に聞く魔王アリスと同じく、闇に飲まれる可能性がある。魔力が暴走し、人の身に余る程の魔法を行使する可能性を考慮すれば放置は危険である。アラン傭兵団が魔女をリストアップしてるのはたしかだろう。そのためにリョウ・アルバースも彼女の側にいるのではなかろうか? 要注意人物と判断する』

 …………え?
 リョウが私と一緒にいる理由……何それ…………

 それに力に呑まれるって……魔王アリス?
 え? 魔王ってそんな名前なの?

 どの文献にも出てこない魔王の名前……
 それに……私が魔王になる可能性があるってどういうこと?

 放心していると、ムクリと起きたフィーリアが、私の手に日記帳があるのを見て慌てふためく。

「よ、読めるんすか? ローゼさん?」

 コクリと力なく頷く私。

「あちゃー油断したっす。この文字はドワーフぐらいしか使ってないっすからね」

「ごめん……読んじゃって」

「まあ、自分も、うたた寝しちゃったっすからね。……にしてもビックリっす」

「これって人物評だよね」

 私はフィーリアにそう確認すると、コクリと頷かれる。

「旅で得た商人としての知識や、各地方の特産品や気候や住んでいる人の好みの把握。それから、出会った人物を評価する手記っすね。あ~、気にしなくっていいっすよ? 自分が思っただけを書いた手記っすから」

 私はフィーリアにそう慰められると、日記帳を閉じて返す。

「アラン傭兵団が魔女をリストアップしていて、リョウが私の側にいる理由って……」

「いやいや、マジで気にしないでほしいっす。自分の想像ですし、リョウ様の性格っすからねえ。……ガチで何も考えてない可能性もあるっすよ」

 私が落ち込んでいる姿を見せると、フィーリアは慌てて元気づけようとしてくれる。

 うん。この話題は後日に持ち込むとして、もう一つ聞きたいことがある。

「魔王アリスって?」

「あ~、人間では、魔王軍を追い出した後の大乱で記録が失われたんすよねえ。……魔王アリス。それが魔族をこの大陸に呼び寄せ、服従させ、大陸の人口を十分の一に激減させた張本人っすよ」

 フィーリアの説明に私は驚く。
 人間が魔族を服従させた⁉
 そんなのは信じられないと、否定しようとする私にフィーリアが続ける。

「千年前の魔王軍との戦い。自分らドワーフの代表として、当時の王様のシュタイン様が七英雄として名を残しているのは知っているっすよね?」

「名匠シュタイン。大いなる武具を作り出した英雄王」

「そっす。シュタイン様がドワーフに伝えし伝承だと、仲間である魔女アニスのお姉さんが、魔王アリスだったそうっす」

 フィーリアの言葉に私は衝撃を受ける。

 アニスは七英雄の1人であり、最初に魔王に国を滅ぼされた姫。
 ということは……

「ディンレル王国第一王女アリス。元々は誰からも、魔法からも愛されていたという話っすね。……すいませんっす。自分も細かくは知らないんすけど、たしか愛する騎士が殺されてから人格が崩壊したと伝承にあるっす。里に詳しい学者がいるんすけど、着いたら紹介するっすよ。詫びっす」

「うん……ありがと」

「詫びついでにローゼさんの日記帳っすけど、それ激レア魔導具っすね。記述した体験を、他の人間が経験値として追体験出来る魔道具っす。それを与えたローゼさんの師匠って、相当ヤバいと思うっすよ」

「ああ~。まあ、なんとなくは理解してたけど。そういう人だったから。多分私が死んだら回収する気なのかも。でも、それは別にいいかなあって。その前に再会して、お祖母ちゃんも書いてるんでしょ! だったら読ませて! って言おうと思ってたから」

「……ローゼさんて、やっぱり変な人っすね。これはいい意味っす」

 ホ、ホントかなあ?

「フィーリアが魔女をよく思ってないのって、魔王になる危険性があるから?」

「まあ、それもあるっすが、話を聞かない人が多いんすよ。おまけに魔導具に強欲すっからね。大体が自分が強くなれればいいって人ばっかだったっすから、何度か危険な目に遭ったんすよ。その点ローゼさんはお人好しの善人ですので、よく思っているっすよ」

 ホ、ホントかなあ?

「うるさいわねえ。あんたたち、まだ起きてるの? これ以上私の睡眠の邪魔したら……明日のご飯……全部貰っちゃう……から……ね。スピー」

 ベレニスの寝言に私たちは顔を見合わせて笑う。

 そして、明日の旅に備え、灯りを消してベッドへと潜った。

 とにかく今は寝よう。明日も山道だし盗賊や魔獣も多く出るらしいし。

 翌朝、私のほっぺたにフィーリアとベレニスの足が引っ付いていて、目を覚ました私は身動き出来ないことに気づく。

 おにょれベレニス!
 だからどうしていつも隣のベッドで寝たのに、私が起きたら私の寝ているベッドで、逆さを枕にして寝ているんだあああああ。

 フィーリアは同じベッドで寝たし、初犯だし可愛い足裏だから許す。

 とりあえず強引に起き上がって、2人を起こした。

 外ではビュンビュンと剣を振って、朝の鍛錬をしているリョウ。
 ベレニスが相変わらず理解できないという顔をし、フィーリアも疲れないんすかねあれ、と呆れている中、出立の準備をする。

 さて、今日はどこまで行けるかなあ?
 なにはともあれ、私もドワーフの里に行く用事ができたのだ。

 逸る気持ちを胸に私たちは宿を後にした。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...