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第4章 竜は泉で静かに踊る
第26話 勝利 〜そして〜
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私とクリスが水面に浮かび上がると、泉全体が七色に輝いていた。
湖畔で待っていた仲間たちは、私たちの無事を確認すると安堵の表情を浮かべた。
そして、ヴィレッタが私を思いっきり抱きしめてくる。
ちょっと苦しいです。はい。だってフィーリアもベレニスも、レオノールまで抱きついて来るから!
「師匠は抱きつかないんですか⁉ ここ、空けておきますね!」
ちょっ! 余計なことをするな、レオノール!
リョウにまで抱きつかれたら恥ずかしくて死んじゃうぞ!
「あ~いや……俺はその……うん。無事でよかった。ローゼ、お疲れ」
ヴィレッタの神聖魔法で回復したリョウの姿に安堵しつつ、照れている顔を見て羞恥心が湧き上がってくる。
顔が赤いのは恥ずかしいから?
こっちまで顔が赤くなっちゃうよ。
何はともあれ、みんな無事でよかった。
当のクリスまで、みんなの真似をして私に抱きついてきたが、よく考えたらクリスは裸で水浸しじゃないか⁉
あっ、私も服が水浸しだった。
ヴィレッタたちの暖かい体温が伝わる中、リョウがベレニスに飛び蹴りされたんですけど⁉
「ムッツリはあっちで待機よ! そんでもって、私たちはこっからさらに抱きつくっと♪」
ベレニスの言葉に促され、フィーリア、レオノール、ヴィレッタが再び私とクリスに抱きついてきた。
「あはは~。みんな温かいね~」
嬉しそうなクリスの笑い声が響いた。
みんなが抱き合う中、リョウは頬をポリポリと照れくさそうに掻いて後ろを向く。
それを眺めながら、私はリョウに微笑むのだった。
「これは……⁉ どうやら無事のようだな」
泉に多くのエルフやリザードマンが現れ、クーリンディアさんがホッとしたように呟いてきた。
どうやら私たちを心配して駆けつけてくれたようだ。
「ったく、もの凄え魔力を感じたぜ。この森の終わりが来たと震えたが、リョウたちと赤竜ちゃんかよ。おい、赤竜ちゃんよお、この前は俺をよくもラフィーネに置いていきやがったな」
「ん~? 誰だっけ~?」
「んな⁉ ザイルーガだよ! リザードマンの族長代理の! ったく……相変わらず呑気な赤竜ちゃんだぜ」
「てか! ザイルーガ! あんたも男なんだからシッシ! 女子の裸を覗こうなんて、とんだエロリザードマンね」
「んがっ! 誰が鱗のねえ肌を見て興奮するかよ! ったく……魔女の嬢ちゃんは相変わらずだなあ」
頭を掻きつつも、私の言うことを律儀に実行するザイルーガであった。
意外と紳士な奴め。
「クーリンディア! 男たちは傭兵のいる場所まで下がって待機よ! ララノアたち女子組は、傭兵たちがこっちへ近づこうとしたら阻止しなさい!」
ベレニスの冗談なんだろうけど、本気の命令と受け取っていないか?
エルフもリザードマンたちも、一斉に言う通りに動いたんですけど⁉
リョウがクーリンディアさんとザイルーガに、何があったかの説明を求められ、しどろもどろしているなあ。
早く合流しないと駄目かも。
もう! みんなのリョウへの評価が、さっきまで天井知らずだったのに、また頼りないって思われているぞ!
「それじゃ、クリス。服を着よっか?」
「え~? 別にこのままでもいいと思うけど~」
私の言葉にクリスは不思議そうな顔で答えた。
どうやら服が嫌いのようだ。
「服を着ないと一緒にいられないから! 竜の姿が本来の姿なのかもしれないけど、裸だと街に入れないから! 私は服を着たクリスと、ずっと一緒にいたいかな~なんて」
ここは説得しないと。
赤竜の姿のクリスは強くてカッコいいけど、街の中で一緒にお買い物とか、お風呂とか、食事とか、寝る前の女子トークとかができなくなっちゃうからね♪
「ローゼさん。それ告白みたいっすよ。リョウ様が言ったら、クリスさんが竜に戻ってリョウ様を踏みつけそうっす。そんくらい恥ずかしいセリフっすよ」
「フィーリア茶化さない! って! なんでリョウだと踏みつけるの⁉」
フィーリアはニヤニヤしつつ私とクリスを眺め、その隙にヴィレッタとレオノールがクリスに、シュバババと服を着せていった。
うん、似合っている。
ロングスカートが美しい脚線を強調し、タイトなブラウスがクリスのくびれを際立たせている。
長身のスレンダー体型には、こういう服装が似合うよね。
色も赤色でクリスのイメージカラーでピッタリだよ。
「股間がスースーするよ~」
「そういうセリフは言っちゃ駄目! リョウには絶対言っちゃ駄目だからね!」
「街に戻ったら下着屋さんに直行ですね」
そんな、私とヴィレッタによる和やかな雰囲気の締めくくり。
クーリンディアさんたちエルフも、ザイルーガたちリザードマンもホッと安心している様子。
リョウもようやく私たちの下へやってきて、みんなと笑い合うのだった。
そんな時だ。
森の奥からパチパチパチと乾いた音が響き渡り、闇の中から男が姿を現す。
「いやあ、見事見事。あのペンダントを撃ち破るなんてなあ。さすがの俺も、この結末は予想しなかったわ」
低い、嘲笑を含んだ声。
リョウの顔が一変した。
これまでの寛容さや優しさが一掃され、ただ憎しみと怒りだけのような表情になった。
ザイルーガやクーリンディアさんたちが一斉に武器を手にし、猛獣を睨むように男を警戒した。
私はその緊迫した空気に呼応するように体が震え上がり、背筋を走る恐怖を感じてしまった。
「ノイズ‼」
リョウが剣を抜き、男へ斬りかかる。
男……ノイズも長剣を持ち、嗤いながらリョウの剣戟を受け止めた。
「よお! 生きていて嬉しいぜ。以前のように父さんと呼んでいいんだぜ?」
赤く光る禍々しい長剣を持ち、鎧の漆黒が光沢を放ち、眩しい。
黒髪に無精髭でガッシリした体格。
その鎧は無数の傷跡を負いながらも、まるで生き物のように光を反射する。
黒髪は乱れ、鋭い眼光は獲物を狙う獣のようであり、その瞳の奥底には底知れぬ闇が潜んでいた。
ノイズの体格は、鍛え上げられた筋肉が鎧の下でも盛り上がりを示している。
こいつが……こいつがノイズ・グレゴリオか!
リョウを少年兵にし、パルケニア王国デリムで叛乱を起こし、自ら率いる少年兵を惨殺して去った男!
リョウが旅をする目的の復讐相手!
そして邪教の魔女ルシエンが、死ぬ間際に呟いた名前!
まさかの人物の登場に先程までの和やかな空気は、もう、どこにも残っていなかった。
湖畔で待っていた仲間たちは、私たちの無事を確認すると安堵の表情を浮かべた。
そして、ヴィレッタが私を思いっきり抱きしめてくる。
ちょっと苦しいです。はい。だってフィーリアもベレニスも、レオノールまで抱きついて来るから!
「師匠は抱きつかないんですか⁉ ここ、空けておきますね!」
ちょっ! 余計なことをするな、レオノール!
リョウにまで抱きつかれたら恥ずかしくて死んじゃうぞ!
「あ~いや……俺はその……うん。無事でよかった。ローゼ、お疲れ」
ヴィレッタの神聖魔法で回復したリョウの姿に安堵しつつ、照れている顔を見て羞恥心が湧き上がってくる。
顔が赤いのは恥ずかしいから?
こっちまで顔が赤くなっちゃうよ。
何はともあれ、みんな無事でよかった。
当のクリスまで、みんなの真似をして私に抱きついてきたが、よく考えたらクリスは裸で水浸しじゃないか⁉
あっ、私も服が水浸しだった。
ヴィレッタたちの暖かい体温が伝わる中、リョウがベレニスに飛び蹴りされたんですけど⁉
「ムッツリはあっちで待機よ! そんでもって、私たちはこっからさらに抱きつくっと♪」
ベレニスの言葉に促され、フィーリア、レオノール、ヴィレッタが再び私とクリスに抱きついてきた。
「あはは~。みんな温かいね~」
嬉しそうなクリスの笑い声が響いた。
みんなが抱き合う中、リョウは頬をポリポリと照れくさそうに掻いて後ろを向く。
それを眺めながら、私はリョウに微笑むのだった。
「これは……⁉ どうやら無事のようだな」
泉に多くのエルフやリザードマンが現れ、クーリンディアさんがホッとしたように呟いてきた。
どうやら私たちを心配して駆けつけてくれたようだ。
「ったく、もの凄え魔力を感じたぜ。この森の終わりが来たと震えたが、リョウたちと赤竜ちゃんかよ。おい、赤竜ちゃんよお、この前は俺をよくもラフィーネに置いていきやがったな」
「ん~? 誰だっけ~?」
「んな⁉ ザイルーガだよ! リザードマンの族長代理の! ったく……相変わらず呑気な赤竜ちゃんだぜ」
「てか! ザイルーガ! あんたも男なんだからシッシ! 女子の裸を覗こうなんて、とんだエロリザードマンね」
「んがっ! 誰が鱗のねえ肌を見て興奮するかよ! ったく……魔女の嬢ちゃんは相変わらずだなあ」
頭を掻きつつも、私の言うことを律儀に実行するザイルーガであった。
意外と紳士な奴め。
「クーリンディア! 男たちは傭兵のいる場所まで下がって待機よ! ララノアたち女子組は、傭兵たちがこっちへ近づこうとしたら阻止しなさい!」
ベレニスの冗談なんだろうけど、本気の命令と受け取っていないか?
エルフもリザードマンたちも、一斉に言う通りに動いたんですけど⁉
リョウがクーリンディアさんとザイルーガに、何があったかの説明を求められ、しどろもどろしているなあ。
早く合流しないと駄目かも。
もう! みんなのリョウへの評価が、さっきまで天井知らずだったのに、また頼りないって思われているぞ!
「それじゃ、クリス。服を着よっか?」
「え~? 別にこのままでもいいと思うけど~」
私の言葉にクリスは不思議そうな顔で答えた。
どうやら服が嫌いのようだ。
「服を着ないと一緒にいられないから! 竜の姿が本来の姿なのかもしれないけど、裸だと街に入れないから! 私は服を着たクリスと、ずっと一緒にいたいかな~なんて」
ここは説得しないと。
赤竜の姿のクリスは強くてカッコいいけど、街の中で一緒にお買い物とか、お風呂とか、食事とか、寝る前の女子トークとかができなくなっちゃうからね♪
「ローゼさん。それ告白みたいっすよ。リョウ様が言ったら、クリスさんが竜に戻ってリョウ様を踏みつけそうっす。そんくらい恥ずかしいセリフっすよ」
「フィーリア茶化さない! って! なんでリョウだと踏みつけるの⁉」
フィーリアはニヤニヤしつつ私とクリスを眺め、その隙にヴィレッタとレオノールがクリスに、シュバババと服を着せていった。
うん、似合っている。
ロングスカートが美しい脚線を強調し、タイトなブラウスがクリスのくびれを際立たせている。
長身のスレンダー体型には、こういう服装が似合うよね。
色も赤色でクリスのイメージカラーでピッタリだよ。
「股間がスースーするよ~」
「そういうセリフは言っちゃ駄目! リョウには絶対言っちゃ駄目だからね!」
「街に戻ったら下着屋さんに直行ですね」
そんな、私とヴィレッタによる和やかな雰囲気の締めくくり。
クーリンディアさんたちエルフも、ザイルーガたちリザードマンもホッと安心している様子。
リョウもようやく私たちの下へやってきて、みんなと笑い合うのだった。
そんな時だ。
森の奥からパチパチパチと乾いた音が響き渡り、闇の中から男が姿を現す。
「いやあ、見事見事。あのペンダントを撃ち破るなんてなあ。さすがの俺も、この結末は予想しなかったわ」
低い、嘲笑を含んだ声。
リョウの顔が一変した。
これまでの寛容さや優しさが一掃され、ただ憎しみと怒りだけのような表情になった。
ザイルーガやクーリンディアさんたちが一斉に武器を手にし、猛獣を睨むように男を警戒した。
私はその緊迫した空気に呼応するように体が震え上がり、背筋を走る恐怖を感じてしまった。
「ノイズ‼」
リョウが剣を抜き、男へ斬りかかる。
男……ノイズも長剣を持ち、嗤いながらリョウの剣戟を受け止めた。
「よお! 生きていて嬉しいぜ。以前のように父さんと呼んでいいんだぜ?」
赤く光る禍々しい長剣を持ち、鎧の漆黒が光沢を放ち、眩しい。
黒髪に無精髭でガッシリした体格。
その鎧は無数の傷跡を負いながらも、まるで生き物のように光を反射する。
黒髪は乱れ、鋭い眼光は獲物を狙う獣のようであり、その瞳の奥底には底知れぬ闇が潜んでいた。
ノイズの体格は、鍛え上げられた筋肉が鎧の下でも盛り上がりを示している。
こいつが……こいつがノイズ・グレゴリオか!
リョウを少年兵にし、パルケニア王国デリムで叛乱を起こし、自ら率いる少年兵を惨殺して去った男!
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