【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ

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第5章 籠の中の鳥

第2話 ホレイショカフェ(中編)

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 ほへえ、お店の中も綺麗だなあ。
 カフェの内部は温かく落ち着いた雰囲気に包まれていた。
 大理石のカウンターやメイプル材の家具が調和を成している。

 立派な装飾とかではないが、清潔感があって温かみのある店内は、ミレーヌさんのセンスの良さが窺える。

 そして私は4人が座れるテーブルで、私の前に並んでいた3人組と一緒になる。

 混雑しているオープン初日だと、こういうことはよくあるみたい。
 3人組のお姉さんたちは、私に気にせず世間話を楽しんでいた。

 メニュー表には『英雄の勇気パフェ』や『魔女のポーション・ドリンク』など、冒険者をモチーフにした料理名が並んでいる。
 どれにしよっかな~。

 えっと、おまけのぬいぐるみは会計の時に、箱の中のクジを引いて決めるのか。
 ならとっとと食べて、リョウのぬいぐるみをもらって帰ろう。

 お昼はヴィレッタと食べる約束もしているしね♪

 おっ! パフェきたきた♪……おお! 美味しい! 甘過ぎずサッパリしていて食べやすいし、いちごも入っている!

 ふ~美味しかった。ちょっと甘いのが欲しかったからちょうどよかったなあ♪

 満足した私は「お会計したいで~す」と店員さんに声をかけた。

 はいはいっす~、とフィーリアがやってくる。

「はいっす。小銀貨1枚、あざーっす。それじゃ、これがクジっす」

 フィーリアから箱を受け取り、クジを1枚引く。

 すると……なぬ? この絵柄は⁉

「はいっす。魔女ローゼのぬいぐるみっすね。あざーした~、またのお越しを待っているっす~」

「……もう1品」

「はい? っす」

「もう1品頼むから、またクジを引かせて‼」

「……ローゼさん……目がマジっすね。はあ~、しゃあないっすね~。ぬいぐるみのモデルの人には特別っすよ」

 ふう、助かった。
 次だ。次こそリョウのを当てるぞ~♪

 そして2つ目のパフェも完食してクジを引く。

「……レオノールか。まあダブりじゃなかったしいいかな? それじゃフィーリア。次の注文するね」

 頬をピクピクさせて半笑いしているフィーリアに小銀貨1枚を渡し、次のパフェを待つ。
 その間に、相席していた3人組のお姉さんたちは満足して、店外へと出ていった。

 その後も何人かと相席していき、見送る私が続く。

 いつしかお昼を過ぎてパフェも5杯目。
 さすがに私もお腹がたぷたぷしてきたなあ……と思った矢先、店内のキャッキャウフフな空間が一変する。

「いらっしゃいませ~。……へっ、陛下⁉」

 ミレーヌさんの驚く声が店内に響いた。

 現れたのは、ラフな恰好をしているファインダ王国の王、黒髪黒瞳に黒髭のラインハルト王だった。
 その横にはアラン傭兵団の団長、ブラウン髪の渋いおじさまって感じのグレン・アルバースさんが、これまたラフな格好でやってきたのだった。

 てか、真冬で半袖って意味がわからないんですが⁉

 半端ないオーラを放つ2人の後ろからは、なんとリョウの姿も⁉

 って! なんで私の後ろのテーブルに案内しちゃうのミレーヌさん⁉

 いやまあ、後ろでよかった。
 パフェを5杯も完食した私を見て、リョウがドン引きしなくて済んだ。

 それにしても……なんでこんなところに来ているんだ? おっさんたち!
 もしかしてぬいぐるみ目当てか⁉

「グレンよ。お主と甘い物を食べるのは久しいな」

「ハルトよ。そうだなあ、こうやってお前と、のほほんと甘い物を食べられる。感無量よ」

「フッ。それでは再会と、我らの甘い物との出会いを祝して……」

「「乾杯!」」

 そう言って、ラインハルト王とグレン・アルバース団長はパフェを食べ始めた。

 ……まあいいや、ほっとこう。
 それより6杯目のパフェを食べねば。

 ええい、頑張れ私。今のところ順調にダブりもなく、ぬいぐるみが増えている。
 このペースなら最悪あと2つ食べれば、リョウのぬいぐるみがゲットできるんだ!

「ときにリョウよ。相談があるなら聞くぞ? 先程もため息をしておったしな」

「昔はあまり見なかった姿だな。リョウ、お前ストレスを溜めているんじゃないか? そういうときは甘い物だ、パフェを食え」

 リョウの悩み? なんだろう……全く想像つかないなあ。
 むう……気になる。
 ここは聞き耳を立てて、聞き逃さないようにしなくては。

「……いえ、いつも通りの日々を過ごしています。昨日の夜はノックせずに部屋に入ったら、みんな着替え途中でして……ベレニスにキモいと言われ、ローゼの魔法を浴びて、ヴィレッタからお説教されたという、いつも通りです」

 うん、あったね。
 いつも通りの光景だったが、それがどうしたのかな?

「ほう? それで?」

「今朝は布切れが落ちていたんで、ズボンのポケットに入れていたら……『もうその下着、履けないってローゼたちが言ってたから捨てといて~』とクリスから言われてしまいまして……はあ、俺って、そんなに汚いんですかね?」

「ほう? それは……ハルトよ、どう思う?」

「ふむ。俺もレオノールから言われたことがあるな。昔は『父上のお嫁さんになる』なんて言っていたが、今じゃ一緒にお風呂も入ってくれぬ」

 いやそれ当たり前だから!
 年頃の少女なんだから当たり前でしょうが!

 てか、リョウが拾ったクリスの下着ってアレかな?
 クリスの洗濯失敗で、縮んじゃって履けなくなったやつ。

 だからリョウが汚いんじゃなくて、純粋にクリスの下着が縮んだだけだから!

「前にもフィーリアから言われたこともあります。俺はどうしたらいいんでしょうか?」

 いやいや、リョウは悪くないから!
 ただ、もうちょっと女の子の心情を学ぼうね?

 でも、このおっさんたちには通じなさそう。
 頼むから余計なアドバイスとかするなよ?

「俺の目からは皆、リョウを慕っているように見えるがな。ハーレムクソ野郎という渾名、言い得て妙だとも思っておる。正直羨ましい」

「俺は可愛い女の子たちと、同じ屋根の下で暮らすのが夢だった。団長になったが未だ叶わぬ見果てぬ夢よ」

 おっさんたち……何を言っているのかな?
 マーガレット叔母様と、アレクシア副団長に報告してやるぞ。

「ハハ、慕っているんですかね? 会話に混ざらなかったら怒られ、会話に混ざったら怒られる。……どうすればいいのかわからないです」

 いやいや、そんな難しいことじゃないでしょ! ただ、もうちょっと周りに気を使えばいいだけなのに!
 リョウが会話に参加しないのが悪いのであって、参加するときも、何かとりあえず言えばいいって感じで口にするから、みんな怒るだけだから‼

 ……どうしよう、リョウは女子たちに囲まれる生活に限界が来ているようだぞ。

 マズい、どうにかしないと……と思っているとグレン団長もラインハルト王も、私が驚愕するアドバイスをリョウにするのであった。
 
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