【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ

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第5章 籠の中の鳥

第3話 ホレイショカフェ(後編)

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 リョウの言葉に、ラインハルト王とグレン団長は顔を見合わせ、まるで長年の経験から得た珠玉の知恵であるかのように、ゆっくりと口を開いた。

「俺なら全員抱く。口を動かすより、腰を動かすんだ!」

 ちょっ⁉ あんた、大陸七剣神で最強と謳われているグレン・アルバース団長でしょ⁉
 何をとんでもないことを口走っている!

「待て待てグレン。ここはまずは意思確認が大事よ。『好きだ、責任は取る』と告げて反応を伺うのが先決だ」

 いやいやいやいやいや! ラインハルト王も飛躍し過ぎだぞ!

 ま、まずはデ、デートとかして、そ、そういう雰囲気を作ってからじゃないと、駄目だから!

 リョウも黙っていないで何とか言え!

「まず、ないですね。ベレニスなんかはイケメンでなければ男ではないとまで言ってきて……ヴィレッタは俺に怒ってばっかりです。ローゼも俺と話すより、みんなと話していたほうが楽しそうです……」

 なんと! ここまでリョウのメンタルが弱っていたなんて!
 う~、私はそんなこと思っていないぞ!
 ただ、みんなとは会話が弾むだけだから!

「……よし、わかった。今日は娼館に行くぞ。そこで男になるのだ」

 グレンのおっさん! 何をリョウを娼館に連れていこうとしている!

「……俺も行こう。グレンだけに任せてはおけぬゆえにな」

 おいいいいい! ラインハルトのおっさんも、なに友の危機に力を貸す的な、カッコいいセリフを吐いているんだあああああ!

 言っておくけど、言っていることは最低だからな!
 まったくもう! 男って女の人がいないとこういう会話をしてるのか!

「えっと、興味はありますが……行ったことがバレたら俺……多分殺されます」

 そんなリョウの返答に、おっさん2人は、『だろうなあ』と呟いた。

 は? いやいや、殺しはしないって。
 ただ縛り上げて、1週間ぐらい御飯抜きにして、魔法の実験台になってもらうだけだし!

「……詰んでいるな。リョウ、これは詰んでいるぞ。仕方ないなハルトよ、俺たちだけで行こうぞ」

「うむ。ではグレンよ、行くとしようぞ。リョウよ、人生の先輩として忠告しておく。女心は難しく複雑だ、ときには諦めるのも肝心よ」

 ホント良いことを言っている風だが、これから娼館に行こうとしているんだと思うと、なんだかなあ。

 7つ目のパフェを頬張りつつ、おっさんたちとリョウがお会計をしてクジを引く声を耳にする。

「おお、フィーリアちゃん。ここで働いていたとは驚いたぞ」

「クジ? 7人の若き英雄たちのぬいぐるみが当たる? ……ほお? さすがフィーリア殿、面白い企画をしておるのだな」

「あっ……フィーリア。お、俺たちの話を耳にしていたか?」

「いえいえ、自分は忙しかったっすから。何かやましい話でもしていたんすか、リョウ様? まあともかく、クジを引くっすよ」

 そう言ってフィーリアは、クジ引きの箱を3人に引かせると……

「げっ……俺かよ」

「うむ。俺もリョウだな。……娘のが欲しかった」

「フィーリアちゃん? 俺もリョウだったが、もしや、クジにハズレしか入っていないんじゃ……」

 ちょっ⁉ 何で私が6杯もパフェを食べて出なかったリョウが3人に当たっているんだ⁉
 うう~、リョウがリョウのぬいぐるみをゲットしてしまった。

 ていうか、グレンのおっさん、リョウがハズレは酷くない?
 ラインハルトのおっさんも、自分の娘のレオノール狙いってキモいよ。

 そうしてリョウたちは、私に気づかずお店を出ていったのだった。

 このことは、あとでマーガレット叔母様とアレクシアさんに報告するとして、まずは7杯目のパフェだ。

 ウップ。さすがに限界かも。
 これで当たらなかったら、一生くじ引きシステムを恨むぞ。

 席からどかず、居座り続けて回転率を妨げる私に、うんざり顔のフィーリアがやってきて、クジの箱を向けてくる。

 クジを引き、いざ中身を確認。

 きたああああああああああああ。
 よっしゃあああああああ。
 リョウのぬいぐるみゲットしたああああああああ。

 思わずガッツポーズをとる私。
 周りのお客さんは呆れた顔で見ているが、気にしない!
 むしろ、羨ましがっているんだろうなあ。フッフッフ。

「あはは、おめでとうっす。それじゃあローゼさん、そろそろ帰るっすよ。ていうかローゼさん、ローゼさんはそんなぬいぐるみより、リアルのリョウ様の方に目を向けてくださいっす」

 フィーリアのそんな呟きは、当然私の耳には届いているはずがなく、私はルンルン気分で、滞在している王宮の一室に戻るのでした。

 帰った私は、リョウのぬいぐるみをさっそく机の上に飾り、ニヤニヤが止まらない。
 ああ~可愛いなあ! このふてぶてしい顔とか最高だし。何より抱き心地もいいし!

「あら? ローゼ、戻っていらしたのですね?」

「あっ、ヴィレッタ……はっ! そうだ、ごめん、一緒にお昼を食べる約束を忘れてた!」

「いえ、わたくしも先程戻ったところなのです。わたくしも、うっかり忘れておりました」

 やば~い。リョウのぬいぐるみに夢中でヴィレッタとの約束をすっぽかしてしまったよ。
 でも真面目で几帳面なヴィレッタが約束を忘れるって、何かあったのかな?
 ん?

「あれ? ヴィレッタ、お腹が苦しそうじゃない? 大丈夫?」

「ローゼもお腹が苦そうですが……はっ!」

「はっ⁉」

 私とヴィレッタは互いに察した。

「わたくし……当分、くじ引きはしたくありません」

「同感……ていうかお互い気づかなかったって驚き。まあ、めちゃくちゃ混んでいたから、しょうがないかな」

「ですが、リョウ様と、ラインハルト陛下と、グレン団長はお見かけしました。会話もしっかりと耳にしました。いえ、ローゼが気にすることではありません。わたくしからきっちり、リョウ様にお説教をしておくつもりです」

 うわ~、あれをヴィレッタが聞いちゃっていたのか。
 これはヤバイよ……リョウをどうフォローすべきか悩む。

 それにしてもヴィレッタも、リョウのぬいぐるみ目当てだったのかな?
 うう~、そっちのほうがめっちゃ気になるぞ。

 そんなこんなで、私とヴィレッタが見事お目当てをゲットして、結果オーライでホッと一息ついていた頃、ホレイショカフェでは……

 ***

「う~ん、まさか目当てが出るまで、ずっと居残られるとは思わなかったっす」

「でも凄い売上! さすがフィーリアね。手伝ってくれて助かったよ~。そのくじ引きの箱って魔導具なんだよね? 思念を読み取って、当たり確率を上げていくっていう」

「まあ、完全ランダムだと、運の悪い人はずっと当たらないっすからねえ。7回目で天井設定はしておいたんすが、まさか初日で天井到達者が2人も出るとは思わなかったっすよ」

 ローゼはリョウが好きで、ヴィレッタはローゼを大事にしているのは知っていた。
 だが、まさかここまでしてくるとはフィーリアも想定していなかった。
 商人としてまだまだだったと、フィーリアはため息をつくのだった。

「オープン記念で、今日だけじゃないのにね。でも好評だったし、第2弾もよろしくねフィーリア」

「了解っす、ミレーヌさん。味も評判良いっすから、この調子で頑張るっすよ」

 ちなみにホレイショカフェはその後、ファインダ王国王都リオーネの、観光ガイドブックにもでかでかと掲載される人気店となる。

 けどそれはまた別のお話で。
 
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