お姉様優先な我が家は、このままでは破産です

編端みどり

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番外編

番外編5

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「失礼しましたわ。エレーヌ様。ご挨拶は済みましたので戻りましたわ」

あらあら、そんな嫌そうなお顔をなさらないで。

「ごめんなさい、フレッド。すぐご挨拶は終わったわ」

そう言って、フレッドの腕に抱きつく。フレッドはびっくりして固まってるし、エレーヌ様はますます不機嫌なお顔をされている。

こんな顔するって事は、フレッドに色目を使う気はあるみたいね。

人の夫に色目を使うなんて、下品だわ。どうしてこんな女に、遠慮していたのかしら。今までの悪い癖が出ていたわね。

譲れば、面倒にならない。そんな事ないわ。絶対にフレッドは渡さない。わたくしに足りなかったのは、フレッドの妻である覚悟ね。

「シャーリー、どうしたんだ?」

「夫婦ですもの。これくらい普通ですわ。フレッドはお嫌?」

「……そんなにくっついてはフレッド様もご迷惑ですわよ」

エレーヌ様には聞いてないわ。

「いや、いつもシャーリーは夜会では照れてくっついてくれないからな。嬉しいよ」

あぁ! フレッドが優しくわたくしの頭を撫でて下さいましたわ!
な、なんてかっこいいの! エレーヌ様までお顔が赤いじゃないの! 

「フレッド、そのお顔は反則ですわ……」

「ん? 何がだ?」

「も、もう良いですわ! わたくしもご挨拶があるので失礼致しますわ!」

あら? エレーヌ様が退散なさいましたわ。

「やるわね、シャーリー」

「エリザベス! ごきげんよう。お誕生日おめでとう」

「エリザベス様、お誕生日おめでとうございます」

「ありがとう、今大人気の辺境伯夫妻に祝って頂けて嬉しいわ」

「……だいにんき?」

「ええ、おふたりは結婚されてから大人気よ。フレッド様はシャーリーをとても大事にしてるでしょう?」

「当然です」

「今までフレッド様を怖いと見向きもしなかった令嬢達が、シャーリーをエスコートする姿を見て素敵だと騒いでいるのを知らないの?」

「……知らなかったわ」

「シャーリー、貴方も男性に人気なのよ? フレッド様が目を光らせてるから近寄ってこないだけで」

「やはりな。貴重な情報ありがとうございますエリザベス様」

「どういたしまして。シャーリーは社交は苦手だものね。でも、情報は武器よ。例えば、とある伯爵家はお金がなくなってきていて、モテモテだった令嬢は華やかな暮らしが忘れられずに、お金のある辺境伯の愛人を狙ってる。もしくは、妻を蹴り落とそうとしている……とかね」

エリザベスが、小声で教えてくれたわ。そう、エレーヌ様にはそんな事情があるのね。フレッドは、愛人を持たないし、妻の座を明け渡すなんてありえないわ。苦手だからと避けていてはダメね。他に優先して勉強する事があると思っていたけれど、逃げていただけかもしれないわ。

「エリザベス、わたくし社交をもっと勉強するわ」

「さすがシャーリーね。今度のお茶会で少し教えてあげるわ。先生もいらっしゃるのでしょう?」

「ええ! この間打ち合わせた通り、先生にお会いしたからお誘いしておいたわ」

「先ほどお会いして聞いたわ。招待状を送るから、ゆっくり話しましょうね。フレッド様もいらっしゃいますか?」

「参加者はどなたがいらっしゃるのですか?」

「わたくしとシャーリーと、先生だけよ」

「なら、私は送り迎えだけやりましょう。シャーリーも、たまにはゆっくり懐かしい話をしておいで」

「あら、珍しいですわね」

「男が居れば、必ず参加しますけれど私が居ない方がゆっくり話せるでしょう?」

フレッド……、うれしいけれどちょっと寂しいわ。

「そのかわり、帰って来た日はゆっくり2人で話そうな?」

見透かしたように小声で言うのは反則よ。フレッド。
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