旦那様は、転生後は王子様でした

編端みどり

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第一話

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「よぉ、久しぶり」

あぁ、もう! あの笑い方は間違いなく旦那様だわ。

「生まれ変わっても、一緒になるって言ったよな?」

言いました! 言いましたわよ! だからここに来るのも嫌で仕方なかったのに……まさか王子様が旦那様とは思わなかったわ。

生まれ変わっても一緒になろうと愛する旦那様と誓ったものの、今世はお金はあるけどヤバい両親で、今日のお茶会で王子の婚約者にならなかったら街で見つけた可愛い女の子を替え玉にしてわたくしを捨てるって言ってたわ。あれは、捨てる気満々だったわよね。

そりゃあわたくしあんまり華はないわよ!
背だって低いし、華やかなドレスも似合わない!

でも、仕方ないでしょ?!

このヨーロッパ調の世界で、顔は前世の日本人のままなんだから!!!

髪や瞳は色が違うけど、他のパーツは全部以前のまま。すごく見覚えのある顔で安心するやら残念やら。

おかげで、両親からは全く可愛がられた記憶がない。一つ下の妹は、溺愛されてるけどね。

だから、家を継ぐのは妹らしいわ。わたくしは、15歳から2年通う貴族学校を卒業したら、追い出される予定よ。

だけど、どうせなら妹の為に王子を誘惑してこいって言われたわ。まぁ、出来る訳無いけどってバカにもされた。王家の命令で、婚約者の居ない12歳から15歳までは今日のお茶会は強制参加なんですって。行くしか選択肢が無いじゃない!

この世界、12歳の子どもでも働けるけど……わたくしみたいな世間知らずは間違いなく犯罪に巻き込まれるもの。せめて街に知り合いでも居れば良いけど、貴族の教育は休む間が無いのよね。街に行く暇なんてない。

しかも、貴族の嗜みだとか言う刺繍を妹の分までさせられるからまったく休みはないわ。ずっと働き詰めよ。無給だから、ブラック企業よりキツいわ。

妹は、刺繍入りのハンカチを渡して好感度をアップして……既に宰相の息子さんの婚約者に収まっている。

お姉様より先にお相手が決まるなんてお姉様に申し訳ないわとか言いながら、蔑んだ目をしていたのは忘れないわ。

わたくしにも何度かお見合いはあったけれど、みんな妹が良いと言うのよね。まぁ、確かに妹はお人形みたいで可愛いけどさ。

だから、公爵家の不細工な姉と天使な妹って事になってる。勝手に言ってろ!

正直、結婚はしたくないもの。今でも旦那様以外と結婚するなんて考えられない。だから、学校を卒業したら修道院にでも入ろうかと思っていた。

それなのに……なんで本日の主役の王子様は旦那様の顔をしてるの?!

旦那様が子どもだったらこんな顔よね。絶対旦那様に決まってる。あぁ、めちゃくちゃ可愛いわ。髪や瞳の色は違うけど、わたくしみたいに野暮ったくはないわね。とっても素敵だわ。さすが旦那様!

うっかり、見惚れていたわたくしは、目の前に旦那様が来るまで気が付かなかった。

「見つけた!」

真っ直ぐわたくしに向かって来たって事は、旦那様もわたくしの事覚えてるわよね。この状況、ものすごく注目を集めてるから逃げたいけど、あの目は逃げるな、動くなって言ってるわ。

ここで逃げたら、後が怖い……。旦那様はいつも優しいし、素敵な方なんだけど……わたくしの弱点を的確に突いてくるのよね。特に、夜は。

あの目は、逃がさないって言ってるもの。散々見てきたから分かる。

「僕の婚約者は、君だ」

周りの悲鳴が凄いわ。色んな人に敵意を向けられてる。もうヤダ! 逃げたい! 涙目で王子を見ると冒頭の言葉を仰いました。

「よぉ、久しぶり」

「しょ……初対面ですわ」

「今世ではな。生まれ変わっても一緒になるって言っただろ?」

初対面の筈のわたくしを抱きしめて、耳元でそんな事は仰らないで!

拒否出来る訳無いじゃないの!

真っ赤な顔でプルプル震えるわたくしは、そのまま王子に手を引かれ、会場を後にしました。

コレは完全に浮かれておりますわね。後で、じっくりお話し合いが必要ですわ。
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